鹿島、4連覇とアジア制覇に必要なもの=前半戦の過密スケジュールとの戦い

田中滋

スーパーカップ勝利でまず1冠

G大阪との富士ゼロックス・スーパーカップを制し、鹿島は今季初タイトルを獲得した 【Getty Images】

 稲本潤一が川崎フロンターレへ、小野伸二が清水エスパルスへ、そして田中マルクス闘莉王が名古屋グランパスへ。このオフはいつになく積極的な補強を行うクラブが多かった。それだけに、蓋を開けてみなくては分からないチームが多いとはいえ、どんなサッカーを見せてくれるのか楽しみだ。川崎の攻撃力はさらに増すのか、清水は魅惑的なパスワークと4−3−3の布陣を成功させるのか、一躍タレント軍団となった名古屋は結果を残せるのか――リーグ戦の行方に興味は尽きない。

 そうしたライバルチームを迎え撃つ鹿島は、一足先にベールを脱いだ。2月23日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)予選リーグ第1戦を長春亜泰とカシマスタジアムで戦い、1−0の勝利。さらに27日には「FUJI XEROX SUPER CUP」(富士ゼロックス・スーパーカップ)でG大阪と対戦し、1−1の同点からPK戦の結果、5−3で今季初タイトルを手にした。この2試合を、昨季までの優勝メンバーに、イ・ジョンスとフェリペ・ガブリエルを加えた新布陣で戦った鹿島にとって、新たな選手が加わってもこれまでと同様の戦いができた意義は大きい。

 中でも、驚きを持って迎えられたのがイ・ジョンスだ。もともと能力の高い選手であることは誰もが認めるところではあったが、まさかここまでとは思わなかった。まるで、長年鹿島でプレーしていたような安定感とフィット感を見せ、周囲を驚かせた。
 それは、コンビを組んだ岩政大樹が驚くほど。通常、連係が取れていない最初の期間は、どうしても意思疎通ができないため、危うい場面を個人の感覚で防がなければならなくなる。しかし、イ・ジョンスとはそうした場面が全くなかったという。
「誰かと初めて組んだときは、どうしても試合の中で“ぼかす”場面が出てくるのだけれど、ジョンスと組んだときはそうした感覚が全くなかった」

 事実、富士ゼロックス・スーパーカップでは、G大阪にボールを支配される時間帯があったものの、ゴール前は岩政とイ・ジョンスががっちりと固めたことで、ゴールを脅かされるシーンは少なく、攻め手がないという印象を相手に与えたのである。

イ・ジョンスの加入で増したセットプレーでの得点力

 イ・ジョンスが加わったことで高まったのは守備力だけではない。もともとFW出身で攻撃力も高いため、鹿島のウイークポイントになっていたセットプレーの得点力は近年になく高まった。

 伝統的にセットプレーを長所としてきた鹿島だが、最近はターゲットになる選手が岩政しかおらず、そこを抑えられると得点の匂いはほとんど消えていた。しかし今季は、イ・ジョンスの加入だけでなく、キャンプメニューをすべてこなせた中田浩二も体調は万全、得点源が一気に3人に増えた。
 長春戦では、FKから中田のヘディングシュートが決勝点。富士ゼロックス・スーパーカップでも、FKの場面で高さを警戒した相手が、ペナルティーエリア内でイ・ジョンスを引き倒し、そのPKによる得点が先制点となった。2戦ともその効果が出たと言えるだろう。

 ACLだけでなく、ナビスコ杯、天皇杯と、リーグ戦に比べるとトーナメントで結果を出せてこなかった鹿島にとって、セットプレーでの得点力アップは、もしかしたらより堅固な守備力を手にしたことよりも大きな意味を持っているかもしれない。

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著者プロフィール

1975年5月14日、東京生まれ。上智大学文学部哲学科を卒業。現在、『J'sGOAL』、『EL GOLAZO』で鹿島アントラーズ担当記者として取材活動を行う。著書に『世界一に迫った日』など。

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