鹿島、4連覇とアジア制覇に必要なもの=前半戦の過密スケジュールとの戦い

田中滋

今季のスケジュールで重要な前半戦

新戦力のイ・ジョンス(中央)には攻守に期待がかかる 【Getty Images】

 新加入ながらすでに先発出場しているもう1人の選手が、ブラジル人MFのフェリペ・ガブリエルだ。昨季までいたダニーロとは違い、運動量とスピードはほかの日本人選手と同等で、同じリズムでプレーできることを特徴とする。ワンタッチ、ツータッチでボールを離すため、チームメートからは「ブラジル人らしくない」という声がよく聞かれた。ただ、すぐにボールを離すということは、ボールを持ってのプレーに驚きは少ないことも意味する。ドリブルで相手を抜いていくスタイルではなさそうだ。

 また、マルキーニョスのように相手を半分ずらして強烈なシュートを放つというパンチ力も少ない。サイドチェンジが特徴の鹿島だが、フェリペ・ガブリエルから鋭いボールが逆サイドに飛ぶ場面は今のところない。
 ただ、優しい顔つきとは裏腹に、試合中はファイターに変ぼうする。G大阪との試合では、加地亮のセンタリングを阻止してガッツポーズをする熱さを見せた。また、混戦の中でもボールに突っ込んでいく勇気を持っており、意外と泥臭い選手なのかもしれない。

 J1リーグ4連覇だけでなくアジア制覇をもくろむ鹿島にとって、ワールドカップ開催時の中断が挟まる今季のスケジュールで重要なのは、とにかく前半戦だ。この2年間、ACL予選リーグは首位で突破してきたが、決勝トーナメントの初戦を越えられなかった。今シーズンはそのACLラウンド16の試合が、5月12日に控えている。そこを越えられなければ、アジアの戦いは5月で終わってしまうのだ。オリヴェイラ監督が若手の遠藤康を交代出場で起用し続けるのも、大一番まで期間が短いことを考慮に入れてのことだろう。

 それまでチームは総力戦。全員の力で前半の過密日程を乗り切る必要がある。キャプテンとしてチームをまとめる小笠原満男は、イ・ジョンスのハイパフォーマンスについて言葉を向けられると、「1人を褒めれば、もう1人がかわいそう」と自らの発言から結束力が崩れることに細心の注意を払っていた。イ・ジョンスにポジションを奪われる形となった伊野波雅彦の出番も必ず来る。そうしたとき、大岩剛や中田の背中を見てきた伊野波がいつも通りの力を発揮したら、鹿島には本当に穴がなくなる。

<了>

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著者プロフィール

1975年5月14日、東京生まれ。上智大学文学部哲学科を卒業。現在、『J'sGOAL』、『EL GOLAZO』で鹿島アントラーズ担当記者として取材活動を行う。著書に『世界一に迫った日』など。

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