竹内択の16位が日本勢の最高順位=スキージャンプ サマーグランプリ最終戦

小林幸帆

結果を残せなかった日本勢

4季ぶりに国外のGP出場を果たしたものの、1回目に飛距離が伸びず残念がる船木和喜=クリンゲンタール 【共同】

 スキージャンプのサマーグランプリ(以下サマーGP)最終戦が1日(日本時間2日)、ドイツのクリンゲンタールで行われ、個人最終戦(HS140メートル、K点125メートル)で、竹内択(北野建設)が16位に入った。
 日本からは、前日の予選を通過した作山憲斗(北野建設)、栃本翔平(雪印)、船木和喜(フィット)、予選免除の竹内、湯本史寿(東京美装)の5選手が参加。竹内以外の4選手は2本目に進めず、飛び終わった選手たちからは「残念、悔しい」と、結果を残せなかったことを悔やむコメントが続いた。
 日本勢の最高成績となる16位で競技を終えた竹内は、2本目の着地後は悔しそうなそぶりも見せたが、結果的には1本目より順位をあげる16位で最終戦をしめくくった。
「冬もこの調子でいきたい。今は最低でもこのジャンプができるという自信がある」

 今大会は、昨季ワールドカップ(W杯)総合優勝のシュリーレンツァウアー(オーストリア)を誰が止めるかに注目が集まった。シュリーレンツァウアーはクリンゲンタールで4戦4勝中だったこともあり、優勝候補の最右翼。そして、その一番手として期待されたのが、2日間の練習でもシュリーレンツァウアーの持つジャンプ台記録143.5メートルを超える146メートルを飛んでいたフィンランドのオリだった。
 しかし、終わってみればシュリーレンツァウアーが1本目の2位から逆転優勝を決めて5戦5勝。オリは3位に終わった。
 サマーGP総合優勝はスイスのアマンが手にしている。

 ジャンプの新シーズンは、11月27日(日本時間28日)フィンランドで開催されるクーサモ大会から始まる。日本チームは10月末に、昨季やサマーGPの成績などをもとに開幕戦遠征メンバー6名を決定。11月10日からリレハンメルで今季最初の雪上トレーニングとなる合宿を行い、開幕を迎える予定となっている。

 サマーGP最終戦、日本選手のコメントは以下の通り。
■竹内択(北野建設)16位
 去年の冬のシーズン(=W杯転戦)を早目に切り上げ、基礎トレーニングばかりやっていたんですけど、その時にたてた目標<サマーGPをまわって確実に2本目に進んでシングル順位を何回か>というのが達成できている。夏の間ずっと同じジャンプができているので、冬もこのままいけると思う。
 腹筋の中の筋を鍛えたり、基礎トレーニングを積んだことで、アプローチでのバランスが良くなってブレなくなってきた。調子が良すぎると欲が出てきてしまうが、余計なことを考えずに開き直っている時の方が逆に成績は良かったりする。
 チームで1番になろうとかじゃなく、2番とか3番でも自分のジャンプができればいいかなと。(飛ぶ直前に減点対象となるゲート上げがあったことについて)そういうこともあんまり気にしちゃいけないと思っているけれど、それが難しい。けれど、今年はそれができている。今回も気にしなかった。最低でもこのジャンプができるっていう自信があるので、それを繰り返していけばチャンスは来ると思う。

■湯本史寿(東京美装)31位
 ここまでのサマーGPは良かったのに、ここにきて崩れたので、どうかなという感じです。今はこんな感じかなという感じもしますけど。アプローチでひざが入りすぎて上手く足が使えない。そこがなかなか直らず悩んでいる。
 まわり(=前後)は強い人ばかりだったので、それに便乗できるかなと思ったんですけど、ちょっと難しかったです。
 サマーGPはいい感じできていたけれど最終的に課題を残してしまったので、もう少ししっかりやりたい。開幕までの時間は調子を落とす前の状態につなげられるようにしたい。技術的に足りないところもあるので、いつでも同じジャンプができるようにしたい。(サマーGP総合13位については)白馬でポイントを取れたのが大きかった。今シーズンは開幕戦からまわれることがオリンピックに向けて1番大事なので、それができるように。

■栃本翔平(雪印)43位
 いや〜、良くなかったです。アプローチの滑りがうまくいっていない。夏と冬では違うので、今は冬のことしか考えていない。開幕までの2ヵ月弱は、もう少し体力づくりをしてジャンプをしたい。今シーズンはオリンピックに合わせていきたい。

■船木和喜(フィット)46位
 悔しい。今日まで1本1本距離を伸ばしてたんですけど、今日は重心が右に乗りすぎてしまった。せっかくのチャンスを……。こういう大きい台は日本にないので、ずっと日本をまわっていると曲線的なことができない。飛躍の中盤でライン通りに飛べない。(新シーズン)もしW杯(遠征)がダメだったら、コンチネンタルカップにまわらせてもらえるならまわりたい。

■作山憲斗(北野建設)48位
 調子はそんなに悪くなかったけれど……ちょっと悔しいです。自分のジャンプもできなかったので。条件にもあまり恵まれなかった。今日はちょっとしょうがないかなぁと。社会人になって筋力トレーニングとか増えたので力はついていると思う。(シーズン目標は)W杯をまわりたいけれど(それは)分からないので、今は(1月末にドイツ・ヒンターツァーテンで開催される)世界ジュニア選手権で上位に食い込みたいと思ってます。


<了>
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著者プロフィール

1975年生まれ。東京都出身。京都大学総合人間学部卒。在学中に留学先のドイツでハイティーン女子から火がついた「スキージャンプブーム」に遭遇。そこに乗っかり、現地観戦の楽しみとドイツ語を覚える。1年半の会社員生活を経て2004 年に再渡独し、まずはサッカーのちにジャンプの取材を始める。2010年に帰国後は、スキーの取材を続けながら通訳翻訳者として修業中。

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