【第108回日本選手権室内】1日目ハイライト

日本陸上競技連盟
チーム・協会
2日間の日程で行われる第108回日本陸上競技選手権大会・室内競技(日本選手権室内)が、2月1日に開幕。大阪市の大阪城ホールで、1日目の競技が行われました。大会は、U20、U18、U16の年代別カテゴリに区分して実施される2025日本室内陸上競技大阪大会(日本室内大阪大会)との併催で、日本選手権の部では、男女60mハードル、女子棒高跳、女子三段跳の4種目で決勝が行われました。

女子60mハードルは青木が6連覇。男子は、西が混戦を制し、初戴冠

【JAAF】

日本選手権女子60mハードルは、この種目で8秒01の日本記録を持つ青木益未選手(七十七銀行)が2021年に自身がマークした大会記録(当時、日本記録)に記録に並ぶ8秒05でフィニッシュ。日本選手権室内としては6連覇。前身の大会を含めると7年連続での優勝を果たしました。ここ数年は、左足外側くるぶし付近に生じる原因不明の痛みに苦しんできた青木選手。昨シーズンは5月のセイコーゴールデングランプリ以降、ハードルのレース自体から遠ざかっていました。しかし、カウンセリングによる原因究明のなかで「慢性疼痛」の可能性が挙がり、認知行動療法を取り入れたところ、劇的に改善。再び全力で練習に取り組めるようになったといいます。
この後は、2月末にニュージーランドで100mハードルの屋外初戦に臨み、4月に国内シーズンを迎える予定。2025年シーズンに向けては、“世界選手権イヤー”という意気込みよりも、「1試合1試合、記録を狙って走りたいという気持ちのほうが強い」そう。「痛みがなくなったことで、自分が本来やりたかったレース…最初の3台目まで急がずに入り、そこから得意なスプリントを生かし、どんどん加速していくレースができるんじゃないかと思っている。“自分史上”、一番速く走りたい」と瞳を輝かせました。

【JAAF】

男子60mハードルは、昨年、ダイヤモンドアスリートを修了したばかりの西徹朗選手(早稲田大)が、ベテランの高山峻野選手(ゼンリン)を0.01秒かわして7秒75で先着。シニアとして、初のタイトルを獲得しました。レースに当たっては、「先に出られても気にせず、3台目、4台目、5台目とスピードを上げて前を食っていこう。それがたぶん110mハードルになったときにもつながってくるはず」と考えていたとのこと。練習のときからポイントに置いてきたという「“60mハードルだけど、110mハードルを走りきるつもりで走る”というレースができた」と振り返りました。
西選手は、110mハードルの前高校記録(13秒69、2021年)保持者。昨年、13秒57まで自己記録を短縮してきました。大学最終学年で迎える自国開催の世界選手権に対して、「大学に入ったときから、ずっと大きな目標に据えていた」というだけに、初めて手にした“日本一”の座は、大きな自信になった様子。「まだまだトップとの差はあるが、今回、高山さんに競り勝つことができたので、そこを自信に差を埋めていき、7月(日本選手権)の時点で追い越せるようにしていきたい」と、力強い言葉を聞かせてくれました。

船田は、女子三段跳で3連覇達成。女子棒高跳・那須は1位決定戦を制し、5年ぶりのタイトル

【JAAF】

フィールド種目は、女子三段跳と女子棒高跳が行われました。
女子三段跳は、この大会2連覇中の船田茜理選手(武庫川女子大)が2回目に13m21を跳んでトップに立つと、優勝決定後の最終跳躍で記録を伸ばし、大会記録新記録となる13m39をマーク。3連覇に、自ら花を添えました。
ずっと課題として取り組んできた助走スピードが向上し、「去年は、“助走、頑張るぞ”ということを一番に考えて走っていたが、今年は意識しなくてもスピードが出せるようになっている」と手応えを感じられるようになりました。さらに、この冬は、その助走から踏み切って、しっかりと身体を弾ませていく技術と感覚を練習してきたと言います。今大会での跳躍について、「完璧ではないけれど、今回、そこが少し出せたことが良かった」と笑顔で振り返りました。ニコニコのりの所属で迎えることになる2025年シーズンは、「“14m”を通過点として越えていくこと」が目標。「世界選手権も狙っていけるようにしっかりと取り組んでいきたい」とルーキーイヤーを見据えました。
なお、女子三段跳には、昨年、13m03のU20日本記録・高校記録を樹立した山﨑りりや選手(鳴門渦潮高)も出場。3回目にマークした12m44を、最終跳躍で12m65まで伸ばすパフォーマンスを披露し、2位の成績を残しています。

【JAAF】

女子棒高跳は、ともに3m80から試技を開始した那須眞由選手(KAGOTANI)と大坂谷明里選手(園田学園女子大)が、すべての跳躍を1回でクリア。4m10で優勝争いは、この2人に絞られました。次の4m20は、どちらも成功することができず、ここから2人の1位決定戦に。両者とも4m20、4m15、4m10を失敗し、バーを4m05に下げての試技でクリアした那須選手が、2020年大会以来5年ぶりのタイトルを獲得しました。
「今日は、“あ、突っ込みのタイミングがわかる!”という感覚が何年かぶりにあった。走力トレーニングとかウエイト(トレーニング)とかも、しっかりやってきたので、それがつながってきたのかなという感じ。4m20でポールを変えて、動きが変わってしまった点は課題だが、屋外に向けて自信になった」と那須選手。ここ数年は、故障の影響でベストのパフォーマンスから遠ざかっていましたが、2022年には4m33を跳んでいるだけに、屋外シーズンでの復調が楽しみになってきました。

古賀、U20男子60mハードルで7秒66!

【JAAF】

併催の日本室内大阪大会は、U20、U18、U16と年代でカテゴリが分けられての実施。ここまで行ってきた冬期練習の成果を確認すべく、中・高校生中心にエントリー。久しぶりとなる実戦に挑みました。
予選で目を引く走りを披露したのは、U20規格で実施されるU20男子60mジュニアハードルに出場した古賀ジェレミー選手(東京高、ダイヤモンドアスリートNextage)。3回ものスタートやり直しがあったなか集中力を切らさずに7秒66マークし、村竹ラシッド選手(現JAL)が2020年に樹立したU20日本記録・大会記録(7秒61)に0.05秒まで迫りました。「7秒4台を狙って」(!!)臨んでいたという決勝は、こちらも一度スタートを仕切り直した影響で、「スタートの完成度が低かった」(古賀選手)レースに。新記録誕生は叶いませんでしたが、競り合いをきっちり制して7秒72で優勝しました。
U16女子走幅跳では、この種目を1年時から制してきた藤本茉優選手(津幡中)が5m69で3連覇を達成。U18女子走幅跳は、岡林結衣選手(大津中)が最終試技で5m77をマークし、逆転優勝を果たしました。また、U20規格で実施されるU18男子60mジュニアハードルでは、明星学園高の櫛野カリック選手と冨永笙ノ介選手が、7秒88と7秒89の大激戦でワン・ツーフィニッシュ。U16男子走幅跳では筑後蒼人選手(福山神辺西中)が6m94の大会新記録で、U16女子60m中学ハードルでは今村好花選手(太宰府東中)が8秒37の大会新記録で、それぞれ制しています。

最終日の2月2日は、トラックは男女60m、フィールドでは男女6種目の決勝が行われます。競技は午前9時40分から始まる日本選手権女子走幅跳とU20女子走幅跳でスタート。U20でも6種目の決勝が予定されているほか、小学生男女60mがオープン種目として行われます。競技の模様は、1日目と同様にメインとフィールドの2チャンネルに分けてライブ配信の予定。配信情報を含め、スタートリストや記録速報へのアクセスは、日本陸連公式サイト( https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1833/ )および日本陸連公式SNSをご覧ください。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト

ライブ配信1日目:2月1日(土)

メインチャンネル 9:30~(予定)YouTube
トラック競技全種目・表彰
フィールドチャンネル 9:30~(予定)YouTube
フィールド競技全種目

ライブ配信2日目:2月2日(日)

メインチャンネル 9:40~(予定)YouTube
トラック競技・表彰、U20女子走幅跳、日本選手権女子走幅跳、日本選手権女子走高跳、U20男子棒高跳
フィールドチャンネル 9:40~(予定)YouTube
U20男子棒高跳、U20男子走幅跳、日本選手権男子走幅跳、日本選手権男子棒高跳、日本選手権男子走高跳、U20男子三段跳、日本選手権男子三段跳
※配信時間は目安となります。
※応援TV・日本陸連公式チャンネル(https://ohen.tv/channel/)、日本陸連公式X(https://twitter.com/jaaf_official)でも予定しています。
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