デスマッチ王座奪取へ 竹田が邪猿気違’Sを撃破

高木裕美

鉄檻も設置された地獄のデスマッチを竹田(下)が制す 【t.SAKUMA】

 29日の大日本プロレス・後楽園ホール大会では、1001人を動員。夏のビッグマッチとなる7.12横浜文化体育館大会に向け、死闘・激闘が繰り広げられた。

 メーンイベントでは、「地獄の鉄檻 蛍光灯血の池地獄 キグルイ狂奏曲」と題し、竹田誠志&木高イサミ組と葛西純&“黒天使”沼澤邪鬼組が激突。5.28後楽園で行われた「最侠タッグリーグ戦」決勝戦で宮本裕向&佐々木貴組を破って優勝を果たし、BJWタッグ王座に君臨すると同時に、現BJWデスマッチヘビー級王座への挑戦権を手に入れた竹田が、早くもエースの風格を見せ付けた。

葛西と沼澤が竹田の王座奪取にエール

邪猿気違’S(手前)も竹田(中央)にエール 【t.SAKUMA】

 リングの2面には蛍光灯、1つのコーナーには蛍光灯が仕込まれ高さ3メートルの鉄檻も設置された、まさに地獄のような戦場で、両チームとも序盤からペース配分を完全に無視して大暴走。味方同士で蛍光灯で殴り合って気合を注入し、4人同時に自ら蛍光灯に激突していくなど、まさに「キ○ガイ」ファイトを繰り広げた。
 竹田の誤爆によってイサミが鉄檻の蛍光灯に激突したり、葛西の鉄檻からのパールハーバースプラッシュのエジキになるなど、危ない場面は何度もあったものの、タッグ王者としての絆が3カウントを許さず。逆に葛西を鉄檻の上から合体の雪崩式ブレーンバスターで投げたり、連係プレーで沼澤を鉄檻に押し込んだりといった息の合ったオプレーを見せつけ、20分過ぎに竹田が蛍光灯ヘッドバットからのジャーマンスープレックスで沼澤を沈めた。

 横浜では「“廣島大治組プレゼンツ” 高所作業に付き立体足場 建築現場デスマッチ」という、圧倒的に王者有利なルールでタイトルに初挑戦する竹田に対し、宮本の“デスマッチの師匠”である葛西は「おまえがベルトを持ってる方がふさわしい」と王座奪取に猛ゲキ。沼澤も「そんなオシャレな髪型にしてるんじゃねぇ」と、ひがみをムキ出しにしつつも、竹田の根性を認めた。

 先輩からのエール、そして観客の大声援を行けた竹田は、リング上から「この勢いで宮本を新世代のキ○ガイでぶっつぶす!」と王座奪取を宣言。自らのデスマッチ魂を横浜で全部吐き出し、自分が新たな時代を築くことを予告した。

関本が新パートナーに岡林を指名

岡林(下)が関本相手に大奮闘。タッグ結成へ 【t.SAKUMA】

 セミファイナルでは大日本のレスリング部門をけん引するエース・関本大介と、ポスト関本として今後が期待される岡林裕二が一騎打ちを行った。

 175センチ・110キロの関本に対し、岡林は175センチ・105キロとほぼ同じ体格。関本に憧れて大日本の門を叩き、ちょうど1年前にデビューを果たしたばかりの新人が、インディー界随一のパワーファイターとして知られる先輩を力で圧倒してみせた。
「力で圧倒されたのは(新日本プロレスの)中西(学)さん以来」と関本が舌を巻くほどの馬力を見せ付けた岡林は、関本のジャーマン、ダイビングボディープレス、ラリアットといった交通事故級の威力を誇る技の数々を受けながらも立ち上がり、顔面を張り合い、タックルを打ち合うだけの根性を見せ付けるも、やはりデビューわずか1年というキャリアの差はいかんともしがたく、関本がぶっこぬきジャーマンで完勝を飾った。

 未来のエースの底力を自らの肌で体感した関本は「会社が許してくれるのならタッグのベルトも狙ってみたい」と岡林にラブコール。かつて佐々木義人と防衛記録を樹立し、マンモス佐々木と共に毎月の防衛戦を乗り越えていった思い出のベルトで、竹田&イサミ組が持っているBJWタッグ王座奪回に照準を定めた。
 一方、敗れた岡林は「関本大介を倒さないと上には行けない。勝つまでやる」と、近い将来でのシングルでのリベンジを誓った。

デスマッチドラゴンが完全復活

伊東(左)が負傷から復活。再びトップ戦線へ 【t.SAKUMA】

 5.9四日市大会の試合中に背中を負傷して以来、長期欠場していた伊東竜司が約1カ月半ぶりにリング復帰。宮本&佐々木貴と組んで、シャドウWX&アブドーラ・小林&星野勘九郎組と対戦した。
 伊東は当初、5.28後楽園の「最侠タッグリーグ戦」決勝戦への進出が決まっていたが、四日市大会で背中に蛍光灯が刺さってしまうアクシデントが起きたため、試合出場を断念。代わりに繰り上がりで決勝進出となった竹田&イサミ組が優勝をさらった経緯がある。

 この日は当初、先月のタッグリーグ戦決勝戦で優勝を争う相手となるはずだった宮本&貴とタッグを結成。コーナー2カ所に有刺鉄線ボードが設置されたリングに降り立った伊東は、欠場前と何ら変わらない伸び伸びとしたファイトを見せ付けると、試合中、自らTシャツを脱ぎ、その生々しい傷跡をさらした。遠目から見てもハッキリと分かるほど深く大きな傷跡に、客席は騒然。さらにその背中を有刺鉄線ボードに打ち付けられ、傷口をえぐられると、女性ファンからは悲鳴が上がった。
 しかし、伊東はひるむことなく、ドラゴンスプラッシュ、バックドロップ、ドラゴンキッカーといった得意技を繰り出し、チームの勝利に貢献すると、「タッグでもてっぺんを取りたいし、もちろんシングルでもてっぺんは取りたい」と、早くもタイトル戦線復帰を予告。優勝を目前に涙を飲むことになってしまったパートナー・石川修司に借りを返すことを誓った。

■大日本プロレス「後楽園ホール大会」
6月29日(月) 東京・後楽園ホール 観衆1001人

<メーンイベント 地獄の鉄檻 蛍光灯血の池地獄 キグルイ狂奏曲 30分1本勝負>○竹田誠志、木高イサミ
(20分32秒 ジャーマンスープレックスホールド)
葛西 純、●“黒天使”沼澤 邪鬼

<セミファイナル シングルマッチ 30分1本勝負>
○関本大介
(18分52秒 ぶっこぬきジャーマンスープレックスホールド)
●岡林裕二

<第4試合 伊東竜二復帰戦 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
伊東竜二、○宮本裕向、佐々木 貴
(20分01秒 ファイヤーサンダーon theボード→エビ固め)
シャドウWX、アブドーラ・小林、●星野勘九郎

<第3試合 メンズワールド 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
MEN’Sテイオー、怨霊、○藤田峰雄
(14分40秒 スワントーンボム→エビ固め)
ツトム・オースギ、ヘラクレス千賀、●忍

<第2試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
大黒坊弁慶、●河上隆一
(11分51秒 ローリングクラッチホールド)
谷口裕一、○大橋 篤

<第1試合 大日本プロレスvs.大阪プロレス タッグマッチ 30分1本勝負>
佐々木義人、●石川晋也
(10分13秒 カウンターの片エビ固め)
原田大輔、○小峠篤司
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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