「リアル」この熱気を感じよ! 初代タイガーマスク
メーンイベントでタッグを結成する(右から)長州、初代タイガー、ウルティモ 【スポーツナビ】
――そう豪語するだけあって今回の6.17後楽園ホール大会も蝶野、長州らが出場し、実に凄い顔合わせとなった。そればかりか折原が勝手に新ベルトを作って、新しいリアルジャパンを作り出そうと躍起だ。6.17後楽園ホール大会名は「STRONG STORM」。その大会名にふさわしく地の底からシューッと噴き出してくるような熱い息吹が伝わってくるようだ!
蝶野正洋に小躍りする少年の心を感じたい!
蝶野(右)は初代タイガーとの遭遇に燃えている 【スポーツナビ】
「興味あるかって? 当たり前じゃないですか。初代タイガーマスクが出てきた衝撃というのは、それをみた人たちの頭から消えるわけがない」というのは“黒のカリスマ”蝶野正洋だ。
「だって、初代タイガーとやれるんですよ。この年になっても大先輩の初代タイガーから学びたいものはいくらでもありますよ」
蝶野の興奮は久しぶりだ。
蝶野が入団した頃、私はぶらりと新日本の道場を訪ねたことがある。ガラ〜ンとした合宿所に橋本真也が漫画を読みながら寝そべっていて、蝶野は台所にいたような気がする。とにかく、クーデターによって先輩たちがみんないなくなってしまい、道場と合宿所はまったく緊張感がなかったことが強烈な記憶として残っている。こちらも拍子抜けしたが、蝶野たちのほうが当事者だから、もっと拍子抜けしていたことだろう。
本来なら新日本の道場で憧れの初代タイガーにもみくちゃにされて練習できると思っていたのに、心にぽっかりと風穴が空いたような感じだったのだ。
少年の頃に抱いた憧れというのは、自分が大物になったとしても憧れのままである。新日本入団以来、25年の月日を経て初代タイガーと対戦する蝶野。
「ソバットは受けたくない。しかし、受けてもみたい」という。その気持ち、凄い分かる。
「昭和のプロレスラーって、ブレ幅が大きい。長州さんだって右に振れていたのが、逆に遊び心のほうも出てくる。遊ばれないようにしないといけないですね」(蝶野)
プロレスにはいろんな見方で観戦できる楽しみがある。私は蝶野に小躍りするような少年の心を感じながら見ようと思う。なんか蝶野のウキウキ感が伝染しそうだ。
また、初代タイガーが、そのストロングな戦いにホレ抜いている大日本の関本に期待している。リアルジャパンに上がったら、一層にストロングな大変身を遂げてもらいたい。
この試合を猪木にぶつける!?
大塚は王者として澤を迎撃(写真は3.1後楽園大会) 【t.SAKUMA】
澤は「波風を立てる!」と意気込んでいるように負けて当たり前だから、プレッシャーなどはない。どんどん大塚を攻め立ててくることだろう。
そんな澤に対して、王者として風格が出てきた大塚。もたついてはいられない。
「絶対に負けられない。負けられないし、素晴らしい内容で勝ってみせる」と自分に言い聞かせるようなコメントをした。
えっ、と驚かせてくれたのが初代タイガーの発言だった。
「これからのプロレス界にとって一番何が必要なのか。こういう試合が必要じゃないですか、というのを猪木さんにぶつけてみたい大会にしたい。その意味で、この試合はぶつけられる試合になると思います」
そう言われては、一層の力が入るというものだ。大塚が「澤は自分よりも器用貧乏な男。そこそこやれてしまう」とわざと挑発すれば、ぐさりと心をえぐられた澤も「いろんな意味で僕は貧乏。ぎりぎりの戦いをしていきたい。毎回毎回引退のつもりで」と切り返す。
澤が器用を打ち消して、がむしゃらであればあるほど大塚も熱くスリリングなプロレスを展開しやすい。面白くなってきた。
初代タイガー発言で新旧バトラーツの激突に火が点いた!