魔裟斗が現役引退を発表 大みそかでラストマッチ=引退会見要旨

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魔裟斗が今年の大みそかDynamite!!での引退を発表 【スポーツナビ】

 K−1MAXで世界王者に2度(2003年、08年)輝いた魔裟斗が現役引退を正式発表した。1日、都内ホテルで記者会見に臨んだ魔裟斗は「今年12月31日をもって現役を引退します」と年内引退を宣言した。
 今後は7月のK−1 MAX武道館大会と大みそか12月31日の「Dynamite!!」に出場する予定。出場が注目されていた4月21日の福岡大会では“魔裟斗二世”HIROYAとエキシビションマッチを行うことが決まった。

 「一番強い時に、まだもっと見たいと思われながら引退したかった」と引退理由を明かした魔裟斗は、残り2試合について「ゆるい試合をするつもりはない。ファンのみなさんが観たいと思う相手と戦いたい。最後はしっかりとした引退試合をしたい。最後までカッコよくいきたい」と意気込み。将来については「試合が終わってみないと分からない。いまは残りの2試合で最高の試合を見せたいだけ」と明言を避けた。

 なお、大みそかのラストマッチに関しては「今年のチャンピオンとやりたい」と今年の世界王者を最後の相手に指名。その理由を問われると「オレはカッコつけマンだから(笑)」とニヤリ。また、通常の3分3Rではなく、「3分5R、または3分7Rとかでやりたい。その方がKOの確率も高くなるから」と、最強の選手を相手に完全燃焼したい意向を語った。

2度の世界王者、“顔”としてK−1MAXを牽引

昨年、5年ぶり2度目の世界王座を戴冠 【t.SAKUMA】

 魔裟斗は1997年3月に全日本キックボクシング連盟からデビューし、99年には全日本ウェルター級王座を獲得。その後同王座を返上し、2000年にK−1に初参戦して以降は、70キロ級の中心選手としてまだ草創期だったK−1MAXを牽引するようになった。
 02年にスタートした第1回K−1MAX世界一決定トーナメントでは準決勝でアルバート・クラウス(初代王者)の前に涙を飲むも、翌03年には決勝戦でリベンジKOし、日本人初のK−1世界王者に。また、そのルックスと“反逆のカリスマ”と呼ばれる強気な言動で、格闘技以外のファン層にまで人気が拡大。テレビドラマ、バラエティーやCM、映画などにも出演し、文字通り“顔”としてK−1MAXをヘビー級以上のメジャーイベントにまで押し上げた。
04年大みそかのDynamite!!では山本“KID”徳郁とK−1ルールで対戦し、ダウンの応酬となる大激闘の末、判定2−0で勝利。この試合は最大で31.6パーセントの高視聴率をマークしている。04年以降は、ライバルであるブアカーオ・ポー.プラムック、アンディ・サワーに屈しタイトルから遠ざかっていたが、昨年、2度目の世界王者に返り咲いた。

 一方、私生活では、女優の矢沢心さんと約6年間の交際を実らせ07年2月11日に入籍し、結婚。また、今年3月22日には東京マラソンに出場し、3時間51分14秒で完走した。

 前人未到の3度目のK−1MAX世界王者への期待がかかっていた今シーズンだったが、世界トーナメント開幕戦(21日、マリンメッセ福岡)を前に現役引退が発表された。

谷川プロデューサー「引退が正式に決まったのは1週間前」

谷川氏(右)は複雑な心情を織り交ぜつつ、魔裟斗引退に至るまでの経緯を語った 【スポーツナビ】

 また、会見には谷川貞治K−1イベントプロデューサーも同席し、引退発表までに至る経緯を語った。

 今年に入ってから魔裟斗に会う機会が多く、魔裟斗夫人の矢沢心さんを交えての食事会などでも話し合いを持ったと明かした谷川氏。「僕の勘としては、もう引退するかもしれないなと去年くらいから思っていた」と、早くから予感めいたものがあったという。
 ただ「格闘家は時間がたてば、また試合をやりたくなってくるものなので、僕の方からは何も言わず魔裟斗君の結論を待っていた」と、現役続行への心変わりに期待を寄せていたが、魔裟斗の考えは引退へと進んだ。
 「正式に決まったのは1週間前」と谷川プロデューサー。「断腸の思いはあるし、ファンのみなさんには残念な思いをさせます」と語りつつも、長年魔裟斗を見てきた身としては、「魔裟斗君ほどの選手が決めたことに関して、『もうちょっとやってよ』とは言えないなと思いました」と今年いっぱいでの引退を了承したとのことだ。

 その一方で、魔裟斗不在となるK−1MAXの人気・興行面には不安も残るが、谷川プロデューサーは「不安はありません」とキッパリ。最後の相手に今年の世界王者を指名していることにも触れ、「確かに魔裟斗君は15年とか20年に一人の選手だと思う。でも、複雑な気持ちですけど、逆に今年のチャンピオンに魔裟斗君をぶっ飛ばして引退させてもらいたい。それくらいの気持ちでチャンピオンには戦ってほしいし、佐藤君とか小比類巻にぜひ世界王者になって、魔裟斗君をぶっ飛ばしてほしいですね」と、魔裟斗がいなくなってもK−1MAXは大丈夫だということを示すよう、今年のトーナメント出場全選手へゲキを飛ばした。

 また、魔裟斗は引退後の第二の人生について「まったく何も考えていない」と語っているが、谷川プロデューサーは「タレントになるとか考えていないと思うし、きっとMAXのために頑張ってくれると思います」と明言。その時は自分が引退して今後のMAXは魔裟斗君に任せようかな、と魔裟斗体制のK−1MAX確立も冗談交じりに語った。


(引退会見要旨につづく)

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