中国が見据える「五輪後」というテーマ
北京五輪はまだ10カ月先。この風景は、五輪に向けて会場設備や運営面をテストするプレ五輪である。この「グッドラック北京」シリーズが始まって2カ月。私は、ほぼすべての会場に足を運び、競技場の様子を取材してきた。先日開催された北京マラソンでは、取材用車両の不備や距離不足などの問題が噴出し、運営面での不安を抱かせた。だが、日本で言われているほど心配ではない。一連の「プレ五輪」に関しては、今のところ、ほぼ“準備万端”。運営側の並々ならぬ意気込み、言い換えれば、絶対に失敗できないという悲壮感さえ感じさせる徹底ぶりが見受けられる。
大学内に五輪スタジアムが建てられる理由
バレーボールの会場となる北京理工大学体育館 【朝倉浩之】
実は、五輪ではいくつかの「大学体育館」が会場として使用される。中国のお家芸、卓球は最高学府の北京大学だし、重量挙げは中国唯一、航空を専門とする航空航天大学。レスリングは北京農業大学、バレーボールは北京理工大学、柔道は科学技術大学、等々。いずれの大学も、その分野では「一流」の名が付く名門である。つまり北京では、五輪スタジアムを「大学の体育館」として、次々に建設しているというわけである。