孫悟空”な福留と“殿馬”なイチロー、いざ球宴へ=小グマのつぶやき

阿部太郎

福留とイチローは何を起こすか

 7月16日(日本時間)にニューヨークで行われるMLBオールスターゲームの栄えあるスターターに2人の日本人選手が名を連ねることが決まった。ご存じの方がほとんどだと思うが、イチローと福留孝介がファン投票で選出されたのである。イチローは8年連続出場で、昨季の球宴MVP受賞者。一方の福留はルーキーとしては実に52年ぶりのスターターの座を射止めたニューウエーブ。全米でも、両者の注目度は抜群で、見どころはたっぷりある。

 そこで、今回は“2人のオールスター”の見どころを、またしても本当に勝手に三つ挙げてみた。笑い飛ばしたり、失笑したり、ときには真剣なまなざしを向けたりしてくれるとありがたい。

1.福留はイチローの「かわいい後輩」になれるか

2006年3月、WBC準決勝の韓国戦で勝利し喜び合う福留(左)とイチロー 【Getty Images/アフロ】

 あれはことしのスプリングトレーニングで、イチローと福留が対戦したときのこと。福留がイチローを見かけるとベンチからダッシュで駆け付けてあいさつに向かった。試合後、イチローはこのことをどう感じたか問われ、「かわいい後輩って感じでもないからね。難しい存在だよねぇ」。2006年3月のワールドベースボールクラシック(WBC)で、共に日本代表でプレーした以外では2人の接点はあまりない。そういった事情から出た発言だと思うが、今回のオールスターで日本人は2人のみ。福留は偉大なる先輩に絡む大チャンスである。春先にはM‐1グランプリのDVDを見たと話しており、お笑い好きな面を見せていた福留だけに、ここは一つ、つかみをとるべく、とびっきりのギャグを用意していってはどうだろうか。

2.ひょっとしたら、リードオフマン対決!?

 アメリカンリーグの1番はイチローで決定だろう。問題はナショナルリーグ。ソリアーノが出場すれば1番は彼だったであろうが、ソリアーノはプレーしないことが決定している。となれば、「1番・福留」の可能性もなきにしもあらず。チームでも最近まで1番を務めていたし、適性は十分。ナ・リーグを指揮するクリント・ハードル監督(ロッキーズ)のさじ加減次第では、リードオフマン対決も見られるかもしれない。そうなれば、「Agressive(攻撃的)」vs.「Patience(我慢強さ)」の対決ともいえよう。シカゴにボブ・メルビン監督(現ダイヤモンドバックス監督で元マリナーズの監督でもある)がきたとき、イチローと福留の違いをこう話していた。

「イチローは福留よりどちらかといえばフリースインガー。福留はじっくり球を見るイメージがある。でも、イチローの場合、まねできない打撃技術があるから、じっくりと球を見る必要はないんだけどね」

 福留は自分のストライクゾーンを持っている。追い込まれれば多少(ゾーンを)広げることになるが、それまではゾーンを絞って対応してくる。一方のイチローは早いカウントからでも、難しいボールでもさばくイメージ。両者のタイプの違いがオールスターでも鮮明に表れると面白い。たとえば、福留はフルカウントまで粘りに粘って四球。イチローは初球、難しいコースをいとも簡単に外野の前に運ぶとか。

1/2ページ

著者プロフィール

1978年1月9日生まれ、大分県杵築市出身。上智大卒業後、シアトルの日本語情報誌インターンを経て、スポーツナビ編集部でメジャーリーグを担当。2008年1月より渡米し、メジャーリーグの取材を行う

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント