三冠楽勝アーモンドアイはまさに別次元 ルメール断言「ウオッカにもすぐ届く」
「だから、アーモンドアイは特別です」
「三冠は特別です。1年間ずっと馬のコンディションをキープするのはすごく難しい。国枝先生、スタッフの皆さんはすごくいい仕事をしてくれました。また、三冠レースは阪神1600メートル、東京2400メートル、京都2000メートルと、全て違うタイプのレース。東京の2400と京都の2000を比べても全然違う。それだけ難しいことですし、それを勝てるような素晴らしい馬である必要もあります。だから、アーモンドアイは特別です」
「アパパネのときは初めてということもあり、仕上げにも苦労しました。今回は2頭目でしたし、アーモンドアイは気のいい馬ですから、ぶっつけ本番でも大丈夫だろうと。馬のレベルにも差がありましたから、今回は気が楽でしたね」
出来自体も「8分からもうちょっとくらいかな」とも明かしており、実際にまたがったルメールも「同じくらいだと思います」と同調。それでいてあのパフォーマンスなのだから、ただ、ただ恐れ入るばかり。そして、今回の出来が8分を上回るくらいであるのならば、次走以降はさらにピークに近づくというわけだ。「これからまだまだ良いところを見せてくれると思いますよ」と、さらなる期待感を抱かせてくれるトレーナー。一方のジョッキーも「もう(十分に)強いですよ(笑)」と笑顔で返しつつ、また冗談交じりに手綱、背中から伝わる“自慢の彼女”の最強ぶりを惜しみなくアピールした。
「今日の瞬発力は素晴らしかったですし、いまだに信じられません。これ以上もっと強くなったら、どこへでも行けます。飛びますね(笑)。ウオッカにもすぐ届くと思います。能力は同じくらいだと思いますし、加速、力、瞬発力、スタミナ、スピード……アーモンドアイは全部持っています」
世界への挑戦を視野に
そういうわけだから、次走は未定のまま。ジャパンカップか有馬記念か、はたまた別のターゲットになるのか、「まずはゆっくり疲れを癒してから」と国枝調教師。一方、米本代表は補足する形で「世界へ挑戦したいと思いますし、その資格がある馬。来年は視野に入ってくると思います」と、世界挑戦を前向きに語っている。ルメールも“世界挑戦”の気持ちは同じだ。
「アーモンドアイのレベルは高いです。どこへでも行ける。もし、来年のメインターゲットが凱旋門賞だとしたら楽しみですね」
プリンセスから女王になった――とは、レース後の共同会見を締めくくったルメールの言葉だが、まさに日本競馬界のクイーンたるスーパーホースが名実ともに誕生した平成最後の秋華賞。アーモンドアイの第1章はこれにて完。これまた国枝調教師の言葉を借りれば「今までにない領域に踏み込む」第2章がもう今から楽しみでならない。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)