ハリルジャパン、対戦相手の攻略法は? “本命不在”のグループHは白熱必至

清水英斗

ブラジル大会で負った傷

いたずら好きで知られるサッカーの神様は、日本にリベンジマッチの舞台を用意した 【写真は共同】

 第3戦でコロンビアに1−4で敗れ、失意のうちにブラジルの地を去ったワールドカップ(W杯)前回大会。あれから4年の月日が流れ、ロシア大会で日本が迎える初戦の相手は、またもコロンビアに。いたずら好きで知られるサッカーの神様は、日本にリベンジマッチの舞台を用意した。

「W杯はスポーツの面だけでなく、選手にとっても大きな出来事になる。前回の大会で傷を負ったからだ。彼らはモチベーションが上がっていると思う。悪い思い出を消すためには、今回のW杯にまず出場することだ」(17年3月、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督)

 前回の傷について何度か口にしてきた結果、この初戦の相手だ。もしかすると、われわれの代表監督はフラグを立てたのだろうか。とにもかくにも、最高の舞台は出来上がった。4年前に負った傷――。われわれは、そのかさぶたを勢いよく剥がし、前に進むことができるのか。

日本はポーランド、コロンビア、セネガルと同組に

セネガルのサディオ・マネ(10)ほか、グループHには超世界級のフィジカルモンスターがごろごろいる 【Getty Images】

 12月1日(現地時間)にモスクワで行われた組み合わせ抽選会を振り返ると、そのラストを飾ったのは、日本と韓国だった。残された2つの席は、ドイツ、メキシコ、スウェーデンと同組のグループF。そしてポーランド、コロンビア、セネガルと同組のグループH。韓国がFに入り、日本がHに決まったとき、「よしっ、ラッキー!」、そう感じた人は多いのではないだろうか。かく言う筆者も、その1人だ。

 だが、よくよく見ると、このグループH、日本にとって幸運とは言い切れない。超世界級のフィジカルモンスターがごろごろいるじゃないか。コロンビアにはパワフルで決定力のあるFWドゥバン・サパタ(サンプドリア)、ラダメル・ファルカオ(モナコ)が最前線に、スピードスターのMFフアン・クアドラード(ユベントス)がサイドに構える。彼らを中央から操るのが、MFハメス・ロドリゲス(バイエルン)だ。

 2戦目のセネガルは、プレミアリーグ勢が多い。世界最高クラスのスピードを誇るリバプールのFWサディオ・マネを筆頭に、ウェストハムのFWディアフラ・サコとMF(DF)のシェイフ・クヤテ、エバートンのMFイドリッサ・ゲイエら、フィジカルバトルが特徴のプレミアリーグにおいて、より一層の強さとスピードを見せつける選手たち。最も警戒すべきはマネのスピードだが、ゲイエ、クヤテらの圧倒的なボール奪取力にも、日本は悩まされるだろう。

 また、コロンビアもセネガルも、空気を読まないチームだ。一見してパッとしない試合でも、試合の流れに何も関係がないところで、スコアをひっくり返す個の力を発揮してくる。日本がいちばん苦手なタイプといえる。それに比べると、グループFのドイツ、メキシコ、スウェーデンは、より整理されたサッカーをする傾向があり、むしろ日本にとってはくみしやすいグループだったかもしれない。グループHで良かったと、一概には言えない。

 もっとも、現監督のハリルホジッチが繰り返し強調し、尻をたたいてきたのは、日本が苦手とする“デュエル”(球際の競り合い)だった。コロンビア戦、セネガル戦は1対1の戦いが試される場面がたくさんあるはず。4年前にコートジボワール、コロンビアに圧倒された局面を、日本はひっくり返すことができるのか。この4年間で積み重ねた答えをぶつける相手としては最高だ。

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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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