アラベスが今シーズン過ごす幸福な時間 バルセロナとの国王杯決勝を待ちわびる
バルセロナには大敗したが……
2月11日のリーグ戦ではバルセロナに大敗したが、アラベスファンが現在浸っている幸福感が薄れることはない 【写真:ロイター/アフロ】
バランスのとれた好チームを作り上げたアラベスのマウリシオ・ペジェグリーノ監督は、現役時代の1998年にバルセロナの新戦力として初めてスペインへやって来た。偶然にもこの年、アラベスが43年ぶりに1部昇格を果たした。しかも同年の前半、つまり97−98シーズンには、2部所属だったにもかかわらず、コパ・デル・レイでレアル・マドリーやデポルティーボ・ラ・コルーニャら強豪を破り、28年、29年以来となる史上3度目の準決勝進出を経験している。
今季のそれとよく似た当時の快進撃は、今もあらゆる地元ファンの記憶に残っている。だが21年の創立から現在に至るまでのクラブ史において最も輝いた瞬間と言えば、それは00−01シーズンのUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)決勝だろう。リバプールと壮絶な打ち合いを繰り広げた末、延長戦でゴールデンゴールを喫して4−5で敗れたこの一戦は、大会史上最高のファイナルとして語り継がれている。
UEFAカップで歴史に名を残したチームを模範に
アラベスにとって、00−01シーズンのUEFAカップ決勝進出ほど、あらゆる予想を上回った快挙はない 【Getty Images】
ペジェグリーノ率いる現チームが模範としている当時のアラベスは、前シーズンのリーガで6位に入ってUEFAカップの出場権を獲得した。彼らは2年後の02−03シーズンにも再びヨーロッパの舞台に舞い戻ったが、この時は2回戦で敗退しただけでなく、リーガでも不振に陥り2部に降格してしまう。
以降、バスク州都ビトリアのクラブは厳しい低迷期を迎えた。クラブを買収したウクライナ系米国人のディミトリ・ピーテルマンのずさんな経営によって深刻な財政難に陥り、07年には破産法の適用を申請。並行してチームも選手獲得から試合の采配まであらゆることに口を出すワンマンオーナーに振り回され、08−09シーズンには3部降格となった。