石井監督「クラブW杯決勝の経験が生きた」 天皇杯決勝後 鹿島、川崎の監督会見
トロフィーを掲げて喜ぶ石井正忠監督(中央)と鹿島の選手たち 【写真は共同】
試合は、鹿島が前半42分に山本脩斗のヘディングシュートで先制すると、川崎は後半9分、小林悠が決めて追いつき、1−1で延長戦に突入した。延長前半4分には、途中出場のファブリシオがゴール。そのまま鹿島が川崎を振り切った。
鹿島の石井正忠監督は「クラブワールドカップ(W杯)の決勝でも延長で戦った経験が、ここで生きた」と連戦続きで、この日の決勝も延長戦になったにもかかわらず、選手たちが走り切れた要因を振り返った。また、チームの勝負強さについて問われると、「タイトルを取った者だから分かる勝負どころ」と答えた。
一方、今季限りで退任することが決まっている川崎の風間八宏監督は「われわれのサッカーを見せられたと思います。結果は悔しいですが、たくましくなった選手たちはそれ以上に喜びであり、誇りであったと思います」と、選手をねぎらった。
試合後、石井正忠監督のコメント
延長前半4分、途中出場のファブリシオ(中央)が勝ち越しゴールを決めた 【写真は共同】
この歴史ある天皇杯で、6年ぶり5回目の優勝ができて良かったです。CS(チャンピオンシップ)からクラブW杯、そして天皇杯。1カ月ちょっとで10試合をしてきましたが、クラブW杯決勝でレアル(・マドリー)に敗れて、悔しい思いをしたなか、この天皇杯を取ることが2016シーズンの締めくくりだと思っていました。その試合で、しっかり勝ち切れて良かったと思っています。今年1年間、アントラーズを支えくれたチームスタッフ、スポンサーの皆さま、全国にいるアントラーズのファンやサポーターの皆さまのおかげだと思っています。
──10試合やったとのはどちらだと思うくらい、鹿島の選手は走っていたと思うが。(大住良之/フリーランス)
コンディションについては、クラブW杯の決勝でも延長で戦った経験が、ここで生きたと思います。内容的にも(相手に)押し込まれながらも耐えてチャンスを狙うというのがはっきりしていたというのも、120分持った要因ではないかと思っています。当然、クラブW杯終えて、天皇杯の準々決勝が一番やりにくいかと思ったんですが、ホームで勝つことで、準決勝と決勝をモチベーションを高く戦えたんじゃないかと思います。
──鹿島の勝負強さについて、一言で言い表すとしたら?(湯浅健二/フリーランス)
それはやはり、タイトルを取った者だから分かる勝負どころ、でしかないと思います。
──守備の固さということで、昌子(源)がこの1カ月で成長したと思うが、監督から見ての評価は?
もともと1対1の強さというものはあって、その中で安定したポジショニングやコーチングというものが、試合を重ねるごとによくなっていったと思う。ビルドアップのところでも、自分からミスをしてペースを乱すことがあったが、そこの部分でも安定感が増してきているように思う。クラブW杯でレアルのFW陣をおさえたのは、彼自身にとっても自信になっていたと思うし、それがプレーにも表れている。
──小笠原(満男)選手に優勝カップを掲げることを促されたときに何を思ったか?
満男はああいう性格なので、チームのために戦うことを常に頭に入れてプレーしている。ゲームキャプテンの彼が(カップを)掲げるべきだと思いましたが、監督の私にまずカップを持たせてくれたというのは、日頃から自分が犠牲心を払っていることの表れだと思っています。うれしく思いました。
──選手交代に関して。山本(脩斗)を後半に変えたことと、1−1の場面(後半43分)でファブリシオを投入した理由を教えてほしい。
山本は少し前の試合から痛めていたところがよくありませんでした。ドクターとも相談して、後半からファン・ソッコにしました。それから1−1になったところでのファブリシオですが、90分で決着をつけようとして3枚目のカードを切りました。そこはうまくいきませんでしたが、その後もチームが一体感をもって、やるべきことをやってくれました。
ファブリシオ自身のパフォーマンスについては、しっかり前線でためを作って、後ろのサポートを待ちながら、1点を取るために相手ディフェンスの背後を狙うということで彼を投入しました。シュート力もあるし、前にいく推進力もある。そこを期待して入れたので、彼が点を取ってくれて良かったですし、非常に満足しています。