「このグループは最後までもつれる」 W杯最終予選 サウジアラビアの監督会見

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サウジアラビア代表のファン・マルバイク監督。PKの判定に不満を示した 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 サッカー日本代表は15日、埼玉スタジアム2002でワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第5戦となるサウジアラビア戦に臨み、2−1で勝利した。日本は前半45分に相手のハンドで得たPKを清武弘嗣が決めて1−0で試合を折り返すと、後半35分に原口元気がW杯最終予選4試合連続となるゴールを決めた。試合終了間際の後半45分には、日本はオマルイブラヒム・オスマンにゴールを許すもそのまま逃げ切り、年内最後の試合を勝利で締めくくった。

 試合後、サウジアラビア代表のベルト・ファン・マルバイク監督は「今日の試合は日本が勝つべくして勝ったと思う」とコメント。しかし、PKの判定については「あのプレーがPKだったかどうかについて、私としては疑いを持っている」と納得していない様子だった。

 日本に敗れ、両チームは勝ち点10で並んだ。これについて、ファン・マルバイク監督は「このグループは最後までもつれる接戦になるのではないか」との見解を示した。

全員がトップパフォーマンスではなかった

 昨日も(前日会見で)言ったが、日本はこのグループの本命だ。日本に勝つためには全選手がトップレベルのパフォーマンスを見せなければならないことは分かっていた。残念ながら今日はそういった状態にはなかった。日本のほうが少し良かったと思う。だからこそ、日本が勝ってしまった。

 悔やまれるのはまず、前半で不必要なイエローカードが2枚出されてしまったこと。さらに、前半に2回ほどチャンスがあった。時折チームとして良いプレーは見られていたが、時折見られる程度では今日のゲームは十分ではなかった。試合中、サウジアラビアらしいプレーができた場面はあまり多くなかった。今日の結果は大変残念だが、われわれも先に進むしかない。

――日本はこの試合で香川真司や本田圭佑、岡崎慎司を先発で使わなかったことをどう思うか。(外国人記者)

 それはこちらの予想どおりだった。99パーセントはこちらの予想どおりになった。

――2つ質問がある。まず、アブドゥルマジード・アルルワイリ(20番)を外し、アブドゥルマレク・アルハイブリ(11番)を通常とは異なるポジションで起用したのはなぜか? 2つ目は試合の最初になぜもっと攻撃的なプレーをしなかったのか。早い段階で選手にプレッシャーがかかっているのは分かっていたのに、どうして監督は試合を支配できるよう指示を出さなかったのか。(外国人記者)

 通常とはどのポジションのことを言っているのか。それは別のスタジアムで見たのではないか(笑)。いつもとまったく同じポジションでプレーしていた。

 2つ目の質問について、そんなに簡単にものごとがうまくいくのであれば、世界中のどのチームと対戦しても全勝できると思う。この話を説明すると30分ぐらいかけても終わらないと思うが、いずれにしてもそんなに簡単に勝てるようなら、サウジアラビアはどの試合にも勝てるだろう。

――どうして指示を出して、別の試合運びに持ち込むことができなかったのか答えてほしい。(同じ外国人記者)

 まじめな質問をお願いしたい。そのような質問には答えない。

PKに疑いを持っている

――まず監督には礼を言いたい。われわれは引き続き自信を持つことができる。質問だが、日本のPKになったときにどう思ったのか? 特別なプレッシャーを感じたのか。(外国人記者)

 日本があのような形でプレッシャーをかけてくるのは分かっていた。こちらも日本に対してプレッシャーをかけることができた時間帯もあったと思う。(試合前の段階で)日本は勝ち点で3ポイントほどビハインドだし、ホームゲームだ。日本代表がチームとしてプレーする機会がそれほどなかったとしても、この試合で非常に士気高く仕掛けてくることは分かっていた。

 よって、ああいった時間帯(前半終了間際)にはなるべく静かにプレーする必要があったと思う。今日はそこがうまくいかなかった。日本のようなチームと試合をするときには、われわれは常にトップレベルで試合をしていかなければいけない。それは分かっていたが、今日はそこまでチームをうまく高いレベルで維持できなかった。

 また、フィジカル面でも今日は日本の方が上回っていたと思う。そしてPKのあとにプレッシャーを感じたかという質問に関してだが、そもそもあのプレーがPKだったかどうかについて、私としては疑いを持っている。チームとして非常に苦しい瞬間だったし、楽なことではない。ハーフタイムにも(映像を)見たが、ちょっとどうかなと思った。

 チーム全体としてはハーフタイムの間にモチベーションを持たせて後半に臨むことができた。もっとたくさんチャンスがあっても良かったが、なかなかうまくいかなかった。ただ、士気は高くして臨めたと思う。結果としてうまくいけば2点目を取れたチャンスもあったと思う。いずれにしても、大変重要な影響があったのは不必要なイエローカードを最初のうちに2枚も出されてしまったことだ。あれは本当にいらないカードだった。

――今日の敗戦という結果を受け入れることができるか?(外国人記者)

 試合に負けるということは、どんなときでも受け入れるのが難しい。だが、正直にいうと今日の試合は日本が勝つべくして勝ったと思う。サウジアラビアとしても勝てる可能性はあったと思うが、このような結果になってしまった。われわれのグループBはこの結果を受けてサウジアラビアと日本が勝ち点10で並んでいる。タイ対オーストラリアの試合がどうなったかは知らないが、このグループは最後までもつれる接戦になるのではないか(編注:タイ対オーストラリアは2−2の引き分け)。

――後半は日本が引いて、サウジアラビアがボールを持てる時間が長かったと思う。そこで得意な速い攻撃ができなかったのはフィジカルやコンディション以外でも要因があるのか?(田村修一/フリーランス)

 記者の方はとても良く試合を考察されている。確かに1−0と日本がリードしたあとは守備位置が深くなったので、われわれが主導権を取っていける時間帯はあった。ただし、今日は選手全員のプレーレベルがそこで違いを出せるほどのレベルにならなかった。そうしたチャレンジはしたのだが、全選手がトップレベルでなければ勝てない試合であったにもかかわらず、そうした状態になかった。

 通常、われわれがリードを取ることができれば素早く仕掛けていくことができる。それができていればこの試合はなんとか引き分け、もしくは勝つこともできたのではないかと思う。だが、今日はそのような展開にできなかった。

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