11名退場劇の裏にあったミスと問題 選手・クラブ・リーグが得た教訓とは
問題の詳細をリーグが説明
11名退場・退席問題について説明を行った大河チェアマン 【大島和人】
バスケットボールのルールでは暴力行為が起こったとき、もしくは起こりそうなときに、ヘッドコーチとアシスタントコーチを除く選手、スタッフがインプレー中のコートに入ることを禁じている。その結果、30日の試合では直接ファウルを犯した千葉のヒルトン・アームストロング以外の10名も失格処分となった。11月1日の規律委員会では千葉、A東京にそれぞれ50万円の罰金が科せられるとともに、騒動の発端を作ったアームストロングが2試合の出場停止と10万円の罰金処分に。他の選手もけん責、厳重注意、戒告といった処分が下された。当日の映像チェックでコートへの侵入が見落とされた田中大貴も、戒告処分を下されている。
今回の事態は「Bリーグ発足によってルールが変わったから起こった」ということではない。ただしB1は各節9会場に映像システムが導入され、判定の参考に再生装置が用いられている。今回はそれによってプレーを精査した結果が、大量退場劇につながった。
今回の一件を「乱闘」と報じたメディアもあったが、処分につながった出来事はアームストロングが絡んだ接触プレーを除けば、せいぜい揉み合いレベル。仮にプレーが止まってタイムアウトが宣告された後ならば、それが大きくとがめられることもなかっただろう。
注目度アップがゆえに大きな問題に
今回はA東京のベンチメンバーが2人、千葉のベンチメンバーが1人という状況になったが、バスケのルール上5人未満になっても2人までは試合の続行が認められる。過去にファウルトラブルなどで途中から「4人対5人」で行われた国内の公式戦もあったという。
また2000年3月12日に行われたJBL「トヨタ自動車(現A東京)vs.三菱電機(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)」(横浜文化体育館)はトヨタの2名、三菱電機の8名が退場処分となった。没収試合となり、記録上はトヨタ自動車が20−0で勝利した扱いになっている。
大河チェアマンが「判断の材料のために(ビデオ判定を)使ったということは正しい行為だと思います」と述べるようにリーグとして判定内容はもちろん、審判の直後の対応については問題にはなっていない。阿部審判部部長も「インスタントリプレーシステムが始まって1カ月という中で、奇異なケースを冷静に対処し、マイクでの場内説明も行い、よく対応してくれたと評価しています」と述べ、審判の対応については一定の評価を下した。
ただし田中のコート侵入については直前までプレーしていた、ユニホームを着ていたといった要素から見落としが生じてしまった。これについて阿部審判部部長は「見逃してしまったことに関しては、隠すことでもないですし、謝らなければいけない。処罰というよりは、1週間だけでも勉強していこうということで間を空けました」と説明している。
また判定に10分以上という時間を要したことについては、3台というカメラの少なさと、ボールの位置とは全く違った場所で接触プレー、侵入が起こったことが影響している。会場のファン、中継の視聴者にとっては不要な時間が生まれたわけで、大河チェアマンも「迷惑をかけたことはリーグ、クラブとして反省しなければいけない」と述べている。
Bリーグ発足により試合を多くのファンが観戦し、オンデマンド中継も行われていたこともあり、映像がSNSなどで拡散した。Bリーグにとってはややネガティブな話題になってしまったが、判定が精密になったのならば、選手たちはルールを順守するしかない。現場のスタッフと選手たちには、これを教訓として同じ過ちをもう繰り返さないという責任がある。
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