ギリギリの7人で戦うレバンガ北海道 特別指定、新卒選手の加入で挽回へ

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46歳のオーナー兼任選手に頼る状況

46歳のオーナー兼任選手・折茂(後列右から3人目)に頼らざるを得ない状況がチームの苦しさを表している 【素材提供:(C)B.LEAGUE】

 バスケは5人でやるスポーツだが、試合中の選手の入れ替えは自由だ。Bリーグを見ていると、延長がなければ最長40分の中で主力選手のプレー20分台に留めて、8〜9人で時間を“分け合う”チームが多い。しかしレバンガ北海道は第5節の千葉ジェッツ戦を7名で戦い、2連敗した。

 Bリーグは登録契約の人数が1クラブ当たり「10〜13名」、ベンチ入りは「10名〜12名」と定められている。北海道は10人というぎりぎりの登録数で開幕を迎えていた。そんな中、9月14日の練習で牧全が左手舟状骨を骨折し、治療中。9月30日の大阪エヴェッサ戦は体調面を考慮して牧をベンチに入れず、「10名以上」という登録数を満たせなかった。結果としてリーグからけん責処分を受けることになっている。

 牧はその後、プレーできない状態でベンチ入りを続けている。加えて前節のリンク栃木戦で西川貴之が右足、ブライアン・フィッツパトリックが左足を痛めたため、今節はプレーが不可能な。計3名がリーグの規定を満たすために千葉まで移動してベンチ入りはしても、プレーしない前提だった。

 試合だけでなく、チームのトレーニングと戦いにも影響が出る事態だ。46歳のBリーグ最年長選手にして、クラブのオーナーでもある折茂武彦はこう述べる。

「Bリーグが始まったばかりというのに、既にけが人が3人出て、故障しているのに頑張って出ている選手もいる。そういった意味ではクラブではしっかりと補強を考えていかなければいけないし、早く結論も出さなければいけない。今週は1回も5対5ができず、練習もいつもと違う形になっていた。ヘッドコーチ(HC)、選手に対して大変申し訳ない」

 7人のうち3人が退場になって試合自体ができなくなるのは非現実的だが、例えばセンターのポジションは「外国人選手が1人しかいない中、(ダニエル)ミラーのファウルトラブル(※ファウル5度で退場になる)は避けなければいけなかった」(折茂)という状況があった。となるとプレーに“遠慮”が出る。実戦形式の5対5ができないことで、戦術確認の“詰め”も甘くなる。

 46歳の折茂は幸いにしてコンディションが良好で、22日の千葉戦も18分32秒の出場時間で9ポイントを記録している。ただ折茂に頼らなければいけない状況ということでもある。

水野HC「チャンスととらえるしかない」

 クラブは現在、特別指定選手(アマチュア資格の高校生、大学生を2人まで登録可能)の活用も含めて選手の補充に動いている。ただレベルの高い大学生選手が多いのは関東大学連盟と関西大学連盟。北海道までの交通費を毎回負担することによるコストは、決して経営が楽でない彼らにとって小さくない。選手とプロ契約をするならば、最低保証金額(年額300万円)というハードルがある。もちろんそれだけの価値がある選手がマーケットに残っていれば、彼らも獲得をするだろう。とはいえ折茂が「誰でもかれでも入れればいいという問題ではない」と説明するように、時間に追われながらも、しっかり人も選ばねばならない。

 折茂の「大学生も含めて、北海道にどういう選手がいるのか。地域と密着しながら模索していくというところも考えていかないといけない」という説明を踏まえると、まずは地元の現役学生から特別指定選手を登用することになるのだろう。また大学バスケの全国大会は11月末に終了し、新卒の選手がシーズン中途からチームに合流する。西川、フィッツパトリックの復帰も含めて、状況は徐々に改善していくはずだ。

 水野宏太HCは“7名問題”について問われてこう述べる。「そこは自分たちのチームが一番注目されているところかなと思うのですが……。中でやっている自分としては、言葉を選んで言わなければいけないんですけど、正直関係ないなと思っている。不都合は当然あるけれど、チャンスととらえてやっていくしか方法はない」(水野HC)

 リーグ戦は長く、ここから挽回できる。北海道はその苦しさを糧にして前に向かわねばならない。B1東地区の6チーム中5位という24日時点の戦績も、決して絶望的なモノではない。水野HCは「最初から最後まであきらめずに戦うという意思を見せてくれたことは、このチームのこれから大きな根幹になってくると思う」と胸を張る。北の指揮官は、苦境にあってチームの先を見据えていた。
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