メッシの強すぎるプレー意欲、休養は必要? アルゼンチン代表監督が危機的状況に

正論をメッシに納得させるのは簡単ではない

良いコンディションを保つためには、プレーすべき試合や時間を見極める必要があるのだが…… 【写真:ロイター/アフロ】

 ロンドン在住のカタルーニャ人ジャーナリスト、ギジェム・バラゲ著『メッシ』の中で、ジョセップ・グアルディオラは08年にバルセロナの監督に就任した時点で、メッシとの関係がこれ以上ないほど悪いものだったと振り返っている。

 メッシは当時、グアルディオラに一言も言葉をかけることなく練習場を後にしていた。そこでペップは選手の相談役であるマネル・エスティアルテに事情を確認すると、メッシの怒りはクラブが北京五輪への出場を許さなかったことが原因であることが分かった。

 そこでグアルディオラはジョアン・ラポルタ会長に対し、メッシを五輪に出場させるべきだと訴えた。その結果、アルゼンチンは金メダルを獲得し、バルセロナは史上初の3冠獲得を実現する最高のシーズンを送ることになった。

 とはいえ、これは常に選手の周囲が気を利かせればいいという問題ではない。時にあまり重要ではない試合を休むことが、結果的により多くの重要な試合でプレーするための助けになる。そのことをメッシ自身に理解させることも必要である。

 良いコンディションを保つためには、プレーすべき試合や時間を見極める必要がある。またフットボールはチームスポーツであり、チームを仕切る監督が常にスター選手と仲良しでいられるわけではない。

 いずれも正論である。ただ選手として進化し続けるメッシがピッチ内外で発言力を強めている現状、それらの正論を彼に納得させるのは簡単なことではないのである。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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