“バスケ王国”で育まれた熱狂的ブースター B1東地区 秋田ノーザンハピネッツ編

『hangtime』編集部

ハピネッツの試合会場は、「クレイジーピンク」と呼ばれる日本一熱いブースター集団で常に埋め尽くされる 【松岡健三郎】

 9月22日に開幕を迎える男子プロバスケットボールの新リーグ「Bリーグ」。B1に所属する18クラブをカウントダウン方式で紹介していく。第3回はB1東地区の秋田ノーザンハピネッツだ。

観客席は「クレイジーピンク」に染まる

「クレイジーピンク」を目撃したことはあるだろうか? 秋田ノーザンハピネッツで特筆すべきことは、おそらく日本一熱いブースター集団だ。チームカラーのピンクを身にまとい、試合開始前から相手チームを圧倒する。昨シーズンのbjリーグ、その前年のbjリーグファイナルもそうだった……観客席はクレイジーピンクに染まっていた。

 これほどまでに「秋田」が熱いのはバスケの街・能代があるからだろう。高校バスケット界ではその名を知らぬ者はいない伝統校・能代工業高校は、リンク栃木ブレックスの田臥勇太をはじめ、数々の名選手を輩出している。以前、こんな光景を目にしたことがある。トップリーグの試合の前に組まれた能代工の試合、どうやらその試合を目当てに来た観客も多かったようで、メーンイベントがかすんでしまったほどの盛り上がりだった。

 ハピネッツはそんな心配は必要ない人気チーム(昨シーズンの平均観客動員数はリーグ2位)である。Bリーグでは、初めてクレイジーピンク襲来の洗礼を受けるチームもあるが、果たしてその圧力に耐えられるだろうか。

日本代表にたどり着いた雑草魂、田口成浩

 そんなハピネッツの人気にあって、着実に成長を遂げた選手がいる。今や日本代表候補にも名を連ねる田口成浩だ。スマートなプレースタイルとは言い難いが、常にアグレッシブで、目の前にボールが転がればダイブしてマイボールにしようと必死の形相を見せる。持ち味は高確率の3ポイントシュートで、今まで何度もチームのピンチを救ってきた。関東に集まる強豪大学の出身ではなく、岩手の富士大学を卒業してプロ選手に。いわゆるバスケエリートではないが、その「雑草魂」で頭角を現した。ブースターに愛されるキャラクターもあり、人気の高い選手だ。

 チームも強豪の一角となり、ここ3シーズンは有明でプレーオフ、ファイナルを戦った。大勢のブースターに見守られながら、精いっぱいのプレーを見せる田口だったが、最後は悔し涙で終わった。ならばBリーグ初年度こそ、最後まで笑顔で過ごしたいという思いは誰よりも強いはずだ。

 そんな彼にとっても、チームにとっても、この上ない新戦力が戻ってきた。かつてチームに所属していたディショーン・スティーブンスだ。オールラウンダーとして大活躍した彼の特長は素早い身のこなしと類まれなシュートセンス、得点、リバウンド。頼もしいチームメートの復帰で、田口との名コンビがまた見られるのはうれしい限りだ。

期待の若手がチームの推進力となり、いざ頂点へ

 前述の2人に加えて、魅力的な新戦力、2020年の東京五輪を目指す若手選手たちもいる。カナダやフィリピンのリーグでプレー歴があり、司令塔としての役割を任される安藤誓哉、高い運動能力の持ち主でハッとするプレーを披露する白濱僚祐の2人はプレータイムが増えれば増えるほど、ポテンシャルの高さを証明してくれそうだ。

 また、昨シーズンから在籍するビッグマン谷口大智は『SLAM DUNK』の作者である漫画家・井上雄彦氏が創設した「スラムダンク奨学金」の第2回奨学生だ。サウスイースタン・オクラホマ州立大を卒業し、プロ生活をスタートさせた彼が本領発揮となれば、ペイントエリア内は強さを増す。3人ともそれぞれのポジションで将来を嘱望される逸材であり、指揮を執る長谷川誠ヘッドコーチも「育成」と「勝利」を両立したいところだろう。

 その長谷川ヘッドコーチといえば、松下電器で日本リーグデビューを果たし、新人王とMVPを同時受賞した経験のあるスーパースターだ。彼もまた、秋田県出身で能代工OBでもある。

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(グラフィックデザイン:相河俊介)

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B.LEAGUEを中心に、AKATSUKI FIVE(日本代表)やストリートボールまで、日本のバスケットボールの魅力を、わかりやすい記事とデザイン性の高い誌面でお届けする、新しいバスケットボール専門誌。Issueごとに独自の視点で特集を組み、興味深い企画で構成。

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