スピード感溢れるチームバスケットが売り B1東地区 仙台89ERS編

『hangtime』編集部

仙台89ERSの顔は160センチのポイントガード・志村雄彦だ 【B.LEAGUE】

 9月22日に開幕を迎える男子プロバスケットボールの新リーグ「Bリーグ」。B1に所属する18クラブをカウントダウン方式で紹介していく。第2回はB1東地区の仙台89ERSだ。

NBAには「76ers」、仙台には「89ERS」がある

 プロスポーツチームのチーム名には意味がある。プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスなら「イヌワシ」。Jリーグベガルタ仙台の「ベガルタ」は織り姫「ベガ」と彦星「アルタイル」に由来する造語らしい。ならば仙台89ERSの「89ERS」は? 西暦に由来することは察しがつくとしても、正解はちょっと難しいかもしれない。

 1889年、市制町村制の施行により「仙台市」が誕生したこと、その100年後の1989年に政令指定都市となったことを受け、「89」をフューチャーしたチーム名になったという背景を持つ。89ERSはbjリーグがスタートした2005−06シーズンから参戦している6チームのひとつであり、敬意を込めて「オリジナル6」と呼ばれている。

 07−08シーズンにプレーオフに進出し3位になったものの、それ以降は残念ながら上位に進めていない89ERS。しかし、熱心なブースターに支えられるチームは昨シーズン、リーグ24チームのうち4番目の平均観客動員数を記録するなど、熱気に溢れたアリーナの雰囲気は最高だ。ちょっと強面に見えるキャラクター「ティナ」のリードで大いに盛り上がっている。ティナは子供ライオンで明るく活発、でもちょっと気弱と意外な一面も!? 会場に駆け付けたブースターには、ぜひティナのことも見守ってほしい。

スピード感溢れるチームバスケットで活路を開く

熱心なブースターに支えられており、昨シーズンはリーグ24チームのうち4番目の平均観客動員数を記録 【B.LEAGUE】

 チームの持ち味はスピード感溢れるチームバスケット。その長所を継続してチームづくりを行っている。弱点として指摘されていたのはベンチプレーヤーの手薄さだ。選手個々の負担が大きくなり、一度劣勢になると挽回が難しかった。弱点の解消に努め、見いだした解決策は同じポジションに複数の選手を置いて負担軽減を図る「タイムシェア」だ。

 バスケットボールは1試合10分の4クォーター制で40分間。ハーフタイムやクォーター間の休憩、タイムアウトの他にファウルやターンオーバーなどがあれば時間が止まる。2時間弱の試合の中で、うまくメンバー交代を行うのが「タイムシェア」であり、いかにフレッシュな状態で選手をコートに送り出せるかがポイントの1つとなる。メンバーチェンジをしても遜色なく働ける選手がいれば、自分たちのペースを保つことができるのだ。実力やサイズが似通った選手の獲得が必要となるが、その一番手が190センチと身長のあるシューター、熊谷宜之の獲得だ。彼の存在が昨シーズンから在籍する片岡大晴、柳川龍之介らに好影響を与えている。

 バスケットボールではスタメン以外でいち早く(状況によって出場順は変わるが)コートに出てゲームの流れを変える選手のことを「シックススマン(6th Man)」と呼ぶ。チームはこの部分の補強がうまくいったようだ。

チームの顔は160センチの志村雄彦

 背の高さが有利になるバスケにおいて、160センチのポイントガード・志村雄彦がこのチームの顔である。地元の仙台出身で仙台高校時代にはウインターカップ連覇に貢献した。その後進学した慶應大学では、インカレを制覇しMVPを獲得。念願だったプロ選手となり、地元に凱旋(がいせん)した。

 持ち味はハートの強さ。アグレッシブなゲームメークでチームを引っ張る姿は感動を覚えるほどで、子供たちにとっては良いお手本になる選手だ。東日本大震災によるチームの活動休止など、さまざまな経験を積みながら、しっかりとベースの部分を築き上げてきた。新戦力の獲得で意気上がるチームにおいて、精神的支柱となる彼の活躍からは目が離せない。

 また、チーム発足時にアシスタントコーチを務めた間橋健生が新たにヘッドコーチに就任した。仙台市出身でチームのことをよく知っており、地元との連携がますます深まるはずだ。セント・ジョーンズ大学でアシスタントコーチの経験がある福田将吾アソシエイトヘッドコーチとのコンビでチームをさらに進化させていく。

【スポーツナビ】

(グラフィックデザイン:相河俊介)

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