W杯予選を控え、人事で揺れるオランダ 去るV・バステン、交渉決裂のフリット
盛り上がることのなかったユーロ期間中のオランダ
大事なW杯欧州予選を前に、オランダ代表が人事問題で揺れている 【写真:ロイター/アフロ】
しかし、代表チームがいったん失った信頼は、そう簡単に回復できるものではない。大事なW杯欧州予選の初戦、スウェーデンとのアウェーマッチを5日後に控え、オランダは1日にアイントホーフェンでギリシャと親善試合を戦ったが、3万5000人収容のフィリップス・スタディオンはわずか2万2000人しか埋まらなかった。メーンスタンド2階の南側は開放されず、無人で寒々としていた。
リオデジャネイロ五輪のオランダは“チームNL(Nederland=オランダ)”として戦い、メダルを獲得しては喜び、有望選手が負けては悔しがり、女子バレーや女子ホッケーでは1点の攻防に固唾(かたず)をのんだ。共に笑い、共に泣く――代表チームを応援する醍醐味(だいごみ)。代表チームへの国民のシンパシー。それをサッカーのオランダ代表は失っている。
1週間で噴出した人事絡みの騒動
「そりゃあ、選手たちは『自分たちの頭の中にはサッカーのことしかない』って答えるよ。だけど、それは無理だ。だって俺たち記者は、選手たちにサッカーのことより騒動のことを質問したいわけだ。それが続けば多かれ少なかれ、今回の件は選手にも影響するはずだ」と大手紙の代表番記者は言う。
ファン・バステンはスウェーデン戦を最後に、コーチを務めていたオランダ代表から去り、FIFA(国際サッカー連盟)に転身することが決まっている。「KNVBとファン・バステンの契約は残っているので、FIFAが移籍金を払うわけですね(苦笑)」とオランダのニュース番組は解説していた。
この1週間だけでも、オランダではこれだけの騒動があった。
・テクニカル・ディレクター(TD)のハンス・ファン・ブルーケレンの意向で、20年間チームマネジャーを務めてきたハンス・ヨリツマが2017年1月1日付でKNVBを退職。これにダニー・ブリント監督とチームスタッフが反発し、選手のサインも集めて決定の撤回を要求
・KNVBのプロサッカー部門ディレクター、ベルト・ファン・オーストフェーンが退任を発表。彼はオランダ代表チームの責任者でもあり、監督・コーチ人事も行った人物
・ファン・バステンコーチがKNVBを辞め、FIFAに転身することがテレビのトークショーでリークされる
・ファン・ブルーケレンTDがフリットにコーチ就任を打診するも、交渉は決裂。2人の関係が険悪になる