オランダが「ロッベン・システム」へ回帰 ウェールズ戦で見せた現実的な戦い方
ユーロ出場権を逃し、立場が逆転
ユーロ出場権を逃したオランダは、ロッベンを生かす5−3−2システムで新たな船出を勝利で飾った 【写真:ロイター/アフロ】
陸上短距離界のプリンセス、ダフネ・シパーズを応援するためリオデジャネイロ五輪に行くオランダ人も多いらしい。一方、例年ならオランダ人に人気のコート・ダジュールは、ユーロ開催国内のリゾート地ということもあってオランダ人には居心地が悪く、敬遠されるだろうという噂もある。傷心のオランダ人はサッカーを忘れるための夏を過ごそうとしている。
11月のインターナショナル・マッチウィーク、オランダは13日にアウェーでウェールズと戦った。オランダにとってウェールズという国は、08年ユーロ、14年W杯の直前に、ホームで壮行試合として戦う相手だった。それが今回は立場が逆転し、ユーロに出場するウェールズのスパーリングパートナーとしてオランダは敵地に赴かなければならなかった。悲しいかな、それが今のオランダ代表の実力である。
スナイデルとロッベンのホットラインが機能
ロッベン(左)と抜群のコンビネーションを見せたスナイデル(右) 【写真:ロイター/アフロ】
5−3−2は14年W杯で、ルイ・ファン・ハール監督の率いたオランダが3位という望外な成功を収めた時と同じフォーメーションである。ただし、W杯の時のオランダは中盤の3人がマンツーマンで相手に付くことが多かったのだが、ブリント監督の5−3−2はゾーンと少し中盤のシステムが違っている。それでも、2トップの一角、アリエン・ロッベンの能力を最大限に生かすという点では同じ。ファン・ハールの5−3−2にしろ、ブリントの5−3−2にしろ、「ロッベン・システム」の色合いが大きいのは一緒であった。
試合の開催地カーディフは雨が振り、ピッチ状態も悪く、さすがのロッベンもキックオフ直後はつまらないミスがいくつかあったが、徐々にピッチコンディションにアジャストしていき、快速とテクニックがさえだした。とりわけ、中盤の底でプレーしたヴェズレイ・スナイデルとのコンビは秀逸だった。スナイデルからのミドルパス一本で、ロッベンがウェールズ守備陣の背後をとったケースが何回あったことか。この日、ロッベンはカウンターから2ゴールを決め、チームの3−2の勝利に貢献したが、決勝ゴールの3点目もスナイデルとロッベンのホットラインから決まった。