フェデラーvs世界772位、夢物語が実現 全英で話題を呼んだ「テニス界の奇跡」

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25歳コーチがたどり着いた夢舞台

世界772位のウィリス(左)がウィンブルドンのセンターコートでフェデラーと対戦。絵に描いたような夢物語が実現した 【写真は共同】

 テニスのウィンブルドン第3日(現地時間29日)は、午前中から間断なく小雨が降るあいにくの天候。屋根付きのセンターコート以外では、前日に順延された試合などが行われたにとどまり、錦織圭(日清食品)とジュリアン・ベネトー(フランス)の2回戦、土居美咲(ミキハウス)、奈良くるみ(安藤証券)の試合も順延された。

 この日のハイライトは、センターコートに登場したロジャー・フェデラー(スイス)とマーカス・ウィリス(イギリス)の第3試合だ。ウィリスは地元イギリスの小都市ウォーリックにあるテニスクラブでコーチとして働く25歳。世界ランクは772位で、予選出場の推薦枠をめぐる国内プレーオフの3試合を失セット0で突破し、予選1回戦で世界ランク99位の杉田祐一(三菱電機)を破ったのが対トップ100相手の初勝利。予選3試合を突破して本戦初出場を果たし、リカルド・ベランキス(リトアニア)との1回戦がツアーレベルでは初めての試合。ここで初勝利を飾るという初物ずくめ。夢の舞台ウィンブルドンのセンターコートでフェデラーと対戦するという、まさに絵に描いたような夢物語が大会に花を添えた。

 センターコートは満員、記者席も地元記者を中心にすし詰め状態の中で試合がスタート。一味違った緊張感が漂って、ぎこちない立ち上がりになったのは仕方ないだろう、第1セットは両者ともにファーストサーブが50%を切る内容だったが、フェデラーが24分、6−0で奪った。

 どうなることかと不安がざわめく中、ウィリスも徐々に落ち着きを取り戻していった。第2セットの第2ゲームで初めてサービスをキープすると、会場はまるで勝ったかのような大騒ぎ。0−6、3−6、4−6でストレート負けを喫したが、雨にたたられた第3日に明るい話題を振りまいたことは確かだった。

普段はテニスコーチを務める25歳の快挙は、雨が降りしきるウィンブルドンに明るい話題となった 【Getty Images】

「あのランキングからはい上がって来るなんて、いまのテニスではあり得ないことをやってのけた。テニス界の奇跡と言っていいと思う。試合後にも祝福してこれからも頑張るように言ったんだ」と、試合後のフェデラー。

 地方都市のテニスコーチが、ウィブルドンのセンターコートでフェデラーと対戦する――まさに現代の奇跡と言っていいだろう。

脇腹痛の錦織、練習でも精彩を欠く

 この日行われた他の試合では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が順当勝ち。前日の続き試合では、男子のトマーシュ・ベルディハ(チェコ)、バーナード・トミック(オーストラリア)、ドミニク・ティエム(オーストリア)、アレキサンダー・ズベレフ(ドイツ)、女子では第3シードのアグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)、ペトラ・クビトバ(チェコ)らが勝ち進んだが、ウィンブルドン初出場だった日比野菜緒(フリー)はアンドレア・ペトコビッチ(ドイツ)にフルセットの末に惜しくも敗れた。

 一方の錦織は、午前11時からの練習が雨のためにできず、雨が上がった12時半からマイケル・チャン、ダンテ・ボッティーニの2人のコーチと軽く打ち合った。1回戦で手当てを受けた脇腹痛が心配されるが、この日は軽いボレー練習の後に、サーブ練習もごく軽目に5分ほど打ちこんだだけ。再び雨足が強くなったところで早々に切り上げた。

 試合前ということがあったにしても、試合開始が危ぶまれる天候の中、隣のコートでぎりぎりまで練習を続けるアンディ・マリー(イギリス)らとは対照的に精彩を欠いた。天の恵みの休養日となればいいのだが……。

(文:武田薫)

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