自らチャンスを引き寄せたイチロー、次戦はスタメン濃厚?

丹羽政善

代打でファーストゴロに倒れたイチロー 【Getty Images】

 6月14日(現地時間)、9回表、先頭打者。

 日米通算ながらピート・ローズが持つ大リーグ最多安打記録(4256安打)にあと1本と迫っていたイチローが打席に立つ。

 並ぶか――。

 そのとき観客席にいた多くのファンは、その瞬間を捉えようとスマートフォンを構えた。

 しかし、パドレスのクオッケンブッシュと対戦したイチローは、2ボールと打者カウントになったが、見逃しのストライク2つで平行カウントとなった。その後の5球目、内角低めのカーブを打ってファーストゴロに倒れている。その瞬間、日本が第1回ワールド・ベースボール・クラシックを制した舞台、サンディエゴのペトコ・パークの客席からは大きな、大きな溜息が漏れた。

6月は6試合に先発し打率4割6分4厘

 記録達成そのものはしかし、もう時間の問題か。15日のシリーズ最終戦では再びスタメン出場することが予定されている。今のイチローならスタメン出場さえすれば、同じ試合で並んで、そして超える可能性が高い。
 
 今年は22試合に先発出場し、95打数33安打で打率3割4分7厘。昨年は89試合に先発して、332打数78安打で打率2割3分5厘。1割以上の開きがある。今月に限ればスタメンに6試合名を連ね、28打数13安打、打率4割6分4厘と打ちまくっている。マルチ安打も猛打賞2試合を含め5試合。スタメンの時はかなり高い確率で複数安打が出ているのだ。6月の通算安打は月半ばとはいえ、33打数で14安打。4月は30打数で10安打。5月は57打数で18安打だったことを考えれば、今の勢いが知れる。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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