村田諒太、世界戦略へ近づく10勝目 次回ラスベガス後に大きな勝負に出る

トップランク社アラム氏も村田戦を視察

村田諒太(左)のプロ10戦目は4回2分50秒TKOで完勝 【写真:ロイター/アフロ】

 プロボクシング・ミドル級村田諒太(帝拳)のプロ10戦目が5月14日、香港コンベンション&エキシビションセンターで行われ、フェリペ・サントス・ペドロソ(ブラジル)に4回2分50秒TKO勝ち。まずはいい内容での勝利だった。

 村田は試合2日前に現地入り。ショッピングモールで一般にも公開された計量では、182センチ、73キロの堂々たる体がひと際目立っていた。村田とプロモート契約を結ぶ米トップランク社の総帥ボブ・アラムも姿を現し、「印象的な試合を期待している」と語った。村田の成長を確かめるためにわざわざアメリカからやってきたのだ。やはりオリンピックのゴールドメダリスト、それもミドル級となると違う。

 計量をクリアした村田は「今回も、ひとつの試合に臨むという気持ち以外にはありません。僕は全部が全部、結果論だと思っているので。結果として、次につながればいい」とプロ10戦目に向けて抱負を述べた。「結果として」のフレーズを繰り返したのは、すでに11戦目も発表されていたからだ。異例なことに、ペドロソ戦の発表会見では7月23日に米国で予定されている次戦まで明らかにされていた。もちろんペドロソと下手な試合をするようでは計画の変更もあり得るし、それを承知して村田はあくまで目の前の相手に集中していたのである。

序盤から圧倒 3R以降にフィニッシュ狙う

序盤からペドロソを圧倒した村田 【写真:ロイター/アフロ】

 直に見たペドロソの印象についてはユーモアを交えて語った。「絶対にいいヤツでしょう。でも真面目なヤツほど諦めないものだから、タフな試合も覚悟しています」。これは試合映像をチェックしてペドロソのガードの堅さを知ってもいたからだろう。

 ペドロソは13勝11KO1敗の右ボクサーファイター。なるほど、KO率の高さから想像しがちのスラッガータイプではない。フットワークとガードを駆使してボクシングをする選手であることは、ゴングが鳴るとすぐに分かった。この日の村田は左ジャブ、そして得意の右ストレートが好調だったが、ペドロソも最初から村田の主武器を警戒して懸命にしのごうとする。

 それでも試合は初回から村田が圧倒した。自らもガードに注意して、力強く左ジャブを繰り出しつつ右ストレートにつなげていく。右を2発打ち込んでロープへと弾き飛ばすと、密着してパンチを封じようとしたペドロソに、器用に右アッパーをヒット。村田は再び左ジャブ、右ストレートで追い、今度はワンツーのタイミングで右アッパーをきれいに決めてぐらつかせた。右のアッパーは試合に向けた練習で磨いてきたものだ。

 村田はディフェンス面をしっかり意識しており、ペドロソが前に出てくるのを察知するや無理をせずにバックステップをし、そしてすぐさま再び自分の攻撃態勢をとる。試合の前日、村田はこうも言っていた。
「序盤から倒しに出て相手のいいパンチを食らったら意味がない。ボクシングを組み立てて3ラウンド以降に行ければ」

 それでいてプレッシャーをかけ続ける自らのスタイルは捨てていない。3回になるとプレスをさらに強め、相手をロープに詰めて右ストレートから左ボディーも返しだした。ペドロソは守るのに必死だ。特に村田得意の右ストレートの決定打から逃れようと、グローブでアゴを守りつつ、体を右へ右へと流す。ペドロソがそうする以上、村田も思うような右ストレートは当てづらい。

右ストレートからラッシュをかけ勝利

 しかし村田は次の4回できっちりと右を打ち込み、深いダメージをペドロソに与え、フィニッシュに持ち込むのである。この回になって村田は左フックを多用する。「セコンドの指示で(右ストレートを当てるために)左サイドから攻めました。1ラウンドがよかったから右を当てよう、当てようとしていたんです」。左フックで逃げ場を防がれたペドロソの顔面は、村田の鋭い右ストレートの格好の標的になっていたにちがいない。

 村田の右ストレートを直撃されたペドロソの体が弛緩し、たまらず後退する。すぐさま村田は追いかけ、ロープを背負ったペドロソを連打。ワンツーが決まったところでスラット主審が試合終了を宣した。

次戦は過去最多キャリア持つ選手と対戦

7月にラスベガスでの試合が決定しているが、すでにその先の“世界戦略”も視野に入れている 【写真:ロイター/アフロ】

 この日の試合は村田本人、帝拳ジムの本田明彦会長ともに合格点と認める内容だった。そしてアラム氏も村田に「ネクスト、ラスベガス」と声をかけた。その際村田は右拳を示して「ノー・ペイン」。ケガもしていないから2カ月余後の次戦は大丈夫ですよ、と伝えたのだ。その7月23日の次戦は41戦34勝24KO2敗3分2無効試合のジョージ・タドーニッパー(アメリカ)と対決する。村田の対戦相手では過去最多のキャリアの持ち主となる。

 しかも本田明彦会長によると、すでにトップランク社は7月の試合のあとは11月頃を計画している。「そのとき(11月)か、その次で大きな勝負ができれば」(同会長)という。帰国後はほどなくしてロサンゼルス合宿に向かうつもりだ。

「(ペドロソに勝って)いまやっと7月の試合について考えられるようになりました」。試合を終えたばかりの村田の気持ちはすでに次戦に向けられていた。「ガードを固めて相手をプレスするというスタイルはできてきている。あとは攻撃のバリエーションを増やしていきたい」と意欲をみなぎらせた。

 これで今年は中国、香港で勝った村田。そしてゆっくりする暇もなくラスベガス――“ゴールデンボーイ”の世界戦略はカウントダウンに入っている。
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