江越大賀、新生金本阪神の3番として――「もっと打撃の質を上げていくことが必要」

週刊ベースボールONLINE

思い切りのいい打撃で、新生金本阪神の3番に座るプロ2年目の江越 【写真は共同】

 4月に入り2試合連続本塁打を放ち、スタメンに起用されると、さらに2試合連続本塁打を記録。新生金本阪神の3番に抜てきされた。開幕前後に味わった「悔しさ」を胸に抱きながらつかんだスタメンの座。今は自らのバットでチームを勝利に導くことだけを考えている。

開幕戦あたりから打撃が上向き

――今年は金本知憲監督が若手を多く起用し、チーム内の競争が激しいです。外野手は特に……。

 激しいです。僕はオープン戦で結果を残せず、開幕からスタメンで試合に出ることができなかったので、悔しいという思いと、試合に出たい、という思いがありました。

――ルーキーの高山俊選手、20歳の横田慎太郎選手が活躍し、チームも勝ちが続く中、複雑な思いがあったのではないですか。

 複雑というよりは、試合に出たいけど、アピールの場がない状態が続きましたので、実際、焦りのほうが大きかったです。

――そういう経験は今まであったのでしょうか。

 プロに入るまではなかったです。昨年のプロ1年目も「試合に出たい」という気持ちはありましたけど、それとはまた違う感情です。試合に出て結果を出したい。で、できない、悔しい、という……。

――今季最初の出場機会は開幕戦で回ってきました。結果は8回に代打でセカンドゴロでした。

 開幕戦あたりになって、自分の打撃が上向きになっていたことと、開幕戦で打席に立てたことで、まずは良かったな、と。結果は気にならなかったです。

――次の打席は5日後の3月29日ヤクルト戦(神宮)での代打でした。レフト前ヒットと結果が出ました。

 結構早めに今季初ヒットが打てたので、ホッとしました。でも、このときはまだ「スタメンで使ってほしい」というところまでは思わなかったです。次またチャンスが回ってきたときに、絶対に打てるようにしよう、とだけ考えていました。

東京ドームの本塁打は風!?

オープン戦で結果を残せなかったものの、開幕戦あたりから打撃が上向きになっていったという江越 【写真=毛受亮介】

――そろそろスタメンで使ってほしいな、と強く思い始めたのはいつごろですか。

 常に使ってほしいとは思っていましたよ(笑)。でもチームがずっと勝っていましたから、チームのリズムというのもあると思うので、それを変えるわけにもいかないですよね。その時期はもどかしいという感情がありました。

――いつ試合に出場できるか分からないですよね。モチベーションを保つのは難しかったのでは。

 そこはチャンスをもらったら「結果を残そう」と思うだけでした。味方投手の交代の動きを見ながら、代打なら、初球からしっかり強く振っていける状態にはしようと考え、気持ちは整えていました。また、相手投手の初球の入り方なども注意深く見ていました。

――そして4月3日の横浜DeNA戦(横浜)と同7日の巨人戦(東京ドーム)で2試合連続本塁打が出ましたね。

 どちらも守備から試合に入っていけたことが大きかったですね。守備からだと、試合の中でのリズムが作りやすかったので。代打でポーンと打席に入るよりも、集中力が出やすいんです。

――2本とも完ぺきな本塁打でした。

 いや、僕的にはどっちも完ぺきではないです。でも、1本目は左投手の変化球をうまく合わせられたとは思います。内容のある本塁打でした。2本目はバットの先でしたので、スタンドに入るか分からなかったんです。

――バットの先ながら飛距離はすごく出ていました(左翼席中段)。

 本当ですか? どうなんですか? あのとき風でも吹いていたんじゃないですか?(笑)

――東京ドームなのに?(笑)

 はい(笑)……。ピッチャーがマシソンで、初球空振りしたんです。「速えー!」と思ったので、トップを小さく、速い球に対応できるようにしました。コンパクトな打撃にするために、タイミングを早めに。2球抜けたスライダーが来て2ボール1ストライクとなって、次のボールが絞りやすくなりました。それで真っすぐが来て、振りにいったら、少しタイミングが早過ぎて、バットの先に当たった結果が、ホームランというのが真相です。

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