長い不遇の時期を乗り越えた酒井高徳 レギュラー奪取に満足せず、高みを目指す
2015年終盤にレギュラーを獲得
出場機会を失っていた酒井高徳(中央)だが、2015年終盤に6試合連続フル出場を果たした 【Bongarts/Getty Images】
左サイドバック(SB)を務めるマティアス・オストルチョレクの調子が上がらず、第8節のヘルタ・ベルリン戦後半に酒井はようやく今季のリーグ戦初出場を果たしたが、ブルーノ・ラバディア監督を納得させることはできず、再びベンチ暮らしが続くようになった。しかし、右SBのレギュラー、デニス・ディークマイヤーが足首を負傷したことによって、酒井に第12節のダルムシュタット戦(1−1)で先発のチャンスが回ってきた。以降、酒井は6試合連続フル出場を果たし、レギュラーメンバーの一員として2015年を締めくくることができた。
中には第13節のドルトムント戦(3−1)のような抜群の集中力を保って対面のマルコ・ロイス、左に流れてくるピエール・エメリク・オーバメヤン、オーバーラップしてきたマルセル・シュメルツァー相手に互角以上の出来を見せて勝利に貢献した試合や、第16節のボルフスブルク戦(1−1)のようにアンドレ・シュールレを途中交代に追い込んだ試合もあった。しかし、今年最後のアウグスブルク戦(0−1)のようにインパクトを残せなかった試合も多かったようで、「個人的にはドルトムント戦以外、満足していない」と今季前半戦を厳しく総括し、「僕自身の特徴を生かして、もっと攻撃に参加したいけれど、うまくいってない。クロスの精度をもっと高めないといけない。相手にとって怖いパスとか攻撃の組み立てをしたい。(アウグスブルク戦では)ボールを触る回数が少なかったし、効果的なパスも出せなかったので、そこらへんは来年の課題としたい」と改善ポイントを挙げた。
長い不遇の時期を過ごした後、徐々に試合勘を取り戻していったのは、「今後のサッカー人生において大事なものになると思っている」とポジティブに捉えつつも、「『こいつが出てなきゃダメだな』と思われるようなチャンスメークをもっとしないといけないと思う。そういう意味では、まだまだ力不足。今日みたいなプレーをしていたら、またディークマイヤーにポジションを取られてしまう」と酒井の反省は尽きない。
年明けからが本当の勝負
ポジションを争うライバルが復帰。酒井の本当の戦いはこれからだ 【Bongarts/Getty Images】
「うまく回ってない時は、やっぱり選手は難しいですよね。試合に出てない中、自信は持ち辛いし、その中で自信を取り戻すというのも難しいと思う。ダメなのかなと思ってしまったことも実際あったと思う。それでも自分でやらなきゃいけないこと、自分のやることだけは見失わないようにしようと常に練習からやってきた。それが今につながったところなのかなと思います。何回も言うようにまだ満足してないので、来年しっかり良い自分を見せられるようにと思います」
負傷の癒えたディークマイヤーは、16節のヴォルフスブルク戦からベンチに入っている。ハンブルクの地元紙『ハンブルガー・モルゲンポスト』は「今季いっぱいでハンブルガーSVとの契約が切れるディークマイヤーが、2018年まで延長のサインをした」と報じた上で、「ディークマイヤー対酒井は熱い戦いになる」と右SBのレギュラー争いが激しくなることを伝えた。酒井にとっては、これからが本当の勝負になる。
「本当にそうだと思いますよ。やっぱり(レギュラー争いは)厳しくなってくると思う。だからこそ、今日のようなプレーだとまだまだ自分のポジションも危ないと思うので、もっともっとやらないと」
リーグ再開は1月22日、ホームの対バイエルン・ミュンヘン戦。この時、右SBを務めるのは酒井か、それともディークマイヤーか。
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