【スターダム】紫雷イオの決意「エースの座を不動に」 団体を背負って臨む里村明衣子戦へ
激動の1年となったスターダムの2015年。その締めくくりとなる大会で、“団体の至宝”である赤いベルト奪還に乗り出すのが、今年の東スポ女子プロレス大賞に輝いた紫雷イオ。団体の意地を懸けた戦いとともに、15年と13年の女子プロレス大賞受賞者同士による“頂上決戦”にもなる。(※14年は該当者なしだった)
今回は重要な一戦に臨む紫雷イオにインタビュー。試合に懸ける意気込み、そして激動の2015年について語ってもらった。
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女子プロレス大賞受賞は「まだ途中段階」
2015年の女子プロレス大賞を受賞したイオ。「まさか自分が取るとは思っていなかったので驚きました」と本音 【スポーツナビ】
ありがとうございます!
――「念願の」という感じですか?
そうですね。まさか自分が取るとは思っていなかったので驚きました。でもやっぱりもらえると、うれしいですね(笑)。
――昨年は赤いベルトの王者として防衛記録を伸ばしながらも該当者なし。悔しい部分もあったかと思いますが、今回の受賞はどんな部分が選考理由だったと感じていますか?
自分自身びっくりしたのは、率先して表に立ったというより、今年はスターダムがいろいろあったので、裏方に回っていたと思うんですよ。ただ、周りの人も言って下さるのですが、そういう部分が逆に安定感につながったというか、団体を支えるために踏ん張ってやれたことが評価されたようで、それがうれしいです。
これは自分ひとりではできなくて、スターダムの選手やファンの皆さん、周りの方のおかげで受賞できたことが本当に感謝ですね。
――周りの支えがあっての受賞でもあると。
特に、仲間たちですよね。岩谷麻優、宝城カイリの成長や頑張りがすごかったです。私はプロレスを始めて来年の3月で9周年になるので、いろいろなことに対応できるのですが、麻優やカイリはキャリアもまだ短かったり、年齢も若いのに頑張ってくれたと。本当に、仲間たちが成長し、一緒に支えてくれたのは目を見張る部分もありました。それに新人もたくさんデビューして、そういう子たちが、スターダムを選んでくれて、一緒に盛り上げてくれて支えてくれたことがうれしいですね。
――宝城さんもノミネートはされており、今年は岩谷さんの成長も含めても、スターダムの下半期の頑張りはすごかったと思います。
そうですね。一致団結。今まで私は「ピンチはチャンス」と言って、そうやって生きてきたんですけど、メインを張れる選手が3人になってしまい、逆に3人だからこそ、1点集中でやっていけたというのはありましたね。
――あと年齢面でいうと、イオさんが90年代生まれで、この年代の選手では初となるようです。こう見ると、女子プロレス界も世代が動いたのかなというイメージですが?
それを思ってもらえるのはうれしいですね! 女子プロレス大賞は平成生まれで初なんですよね。
正直、世間的に見て女子プロレスは、ジャガー横田さんだったり、神取忍さん、アジャ・コングさん、豊田真奈美さん。そのイメージからまったく動いていなくて、それを動かしたいと、私たちの世代はずっと思っていたわけですよ。下からの突き上げというか、女子プロレスを盛り上げたいし、世代も変えたい。ニュー・ジェネレーションの中でトップ、エースを張りたいという気持ちが私の中にありました。
だから今名前を挙げた方たちは一時代を作って、ブームを作っているわけで、今は低迷しているところですけど、私たちがもう一度ブームを作っていきたい。私はそういう目標を持っているので、そのきっかけじゃないですけど、足がかりで今回の受賞があって、ここがゴールじゃないんです。ここからさらに来年も取りたいし、もっともっと、世間に対して名前を広めていきたいです。だから、まだ途中段階ですね。
待ちに待った里村戦に『来たな』
今回のベルト挑戦は里村(右)からの逆指名。「来たな」と思ったと話すイオ 【スポーツナビ】
『来たな』と思いましたね。『よっしゃ、やったぜ!』と(笑)。
というのも、今年は裏方に回っていて、カイリや麻優が里村明衣子と戦っているのをセコンドとして見ていたんですけど、昨年は私が里村さんと対戦をし、自分自身、成長したと思っていました。その経験もあって、今年の受賞にもつながったと思うので、だから里村明衣子と戦うのは、私にとっておいしくてしょうがないわけですよ。
――一方で里村さんとしては、宝城さんからベルトを奪い、岩谷さんに防衛。次のイオさんを破ると、スターダムの3本柱を潰し、優位に立てるという状況でもあります。
そうですよね。ビンゴ、そろっちゃいますね(笑)。確かにリスクは私にもあるし、背水の陣。ただ、その中でも諦めずに何度も挑戦するというのも可能なので、今回で終わりだとは思わないです。
ただ、取り返すのは誰と言われたら、イオでしょ! 紫雷イオでしょと思いたいし、世間にも思ってほしい。誰よりも里村明衣子にそう思って欲しいんです。
――イオさん自身、里村さんをかなり意識している?
今年ずっと裏方にいて、そこまで里村明衣子と試合をしていて、やっぱりこの人はすげえなと思っていたわけですよ。2回シングルマッチをしていて、1度目は負け、2度目は防衛に成功。1勝1敗から里村明衣子との対戦相手から離れていて、改めて里村明衣子はすごいなと思わされたんです。セコンドでカイリや麻優に声援を送って、ベルトを取り返してくれると信じていたのですが、それは叶わなかったのですが、その時リング上で戦う里村明衣子のギラギラした目を見ていて、ゾクゾクしてたんですよ。
今、スターダムで総監督という肩書をもらったので、仲間の練習を見たり、後輩のサポートに徹していたという部分もある中で、でもやっぱり心のどこかに里村明衣子のギラギラした瞳の中に、自分が映っていて欲しいなと。
それで麻優が負けた後に、次の挑戦者は誰かとなった時に、私とカイリが立ち上がったのですが、そこで出遅れてしまって私がとは言えなかった。どうしようと迷っていた時に指名してくれたので、『来たな』と。あ、自分が映っていたんだと。それに「よっしゃ!」と思いましたね。
――自分自身も望んでの対戦だったと?
そりゃそうですよ! 結果論ですけど、女子プロレス大賞13年の受賞者と15年の受賞者の対決。近年の受賞者2人による直接対決。正直、カードを組もうと思っても、なかなか組めるカードじゃないのに、それが偶然実現する形になったのは、運命だったのかなと。
――前回の防衛戦と心境は違いますか?
めちゃめちゃ違いますね。防衛戦の時は、シングルプレーヤーとして、赤いベルトの王者像を作り上げるための、15回目の防衛戦だったのですが、それは紫雷イオを確立させるために一生懸命だった時です。でも今回は団体対抗戦もやってきて、勝ったり負けたりする中で、赤いベルトだけは戻ってきていない。カイリ、麻優が負けて、ベルトを取り返すために団体を代表し、それに今年一生懸命頑張ってきたことの総決算だと思うので、ベルトは取り戻さないといけない。今回はシングルプレーヤーの紫雷イオ対里村明衣子のガチンコ勝負というより、団体を背負って、みんなの思いを背負っての戦いとなると思うので。
――今考えらえる女子プロレス界最高峰の戦いになると?
そう思わせたいですね。そう言わせたいし、思わせたい。今回の試合もそうだけど、この先もずっと続けていきたい。それぐらいのものを残したい気持ちはあります。
――こう見ると赤いベルトの価値が今までにないぐらいに上がっていますね。
上がっていますねー。それは里村明衣子が巻いたことによって思われている部分もありますが、今度は紫雷イオが巻いて、もっと磨きをかけていきたいなと思います。