12球団に残された戦力の「穴」 期待が集まる助っ人と若手選手たち

ベースボール・タイムズ

過去2年間、李大浩の存在もあり2軍暮らしが長かったカニザレス。来季は1軍で打棒爆発となるか? 【写真は共同】

 シーズンが終了したプロ野球界は現在、ストーブリーグの最終段階に突入している。ドラフト、FA、契約更改もひと通り終え、12球団の来季の陣容がほぼ見えてきた。来る2016年を前に、改めて各球団に空いた「穴」と、それを埋めるべき男たちを紹介したい。

ウエスタン2冠の助っ人控えるソフトB

 まずはパ・リーグから見てみたい。2015年日本プロ野球の完全制覇に成功した福岡ソフトバンクだが、今オフに松田宣浩が海外FAを宣言し、李大浩もメジャー移籍希望を表明した。残留という可能性も残してはいるが、このまま両者移籍となれば「指名打者&三塁」、「5番&6番」を失い、2人合計「66本塁打&192打点」という大きな穴が生まれることになる。

 この2つの穴を誰が埋めるのか。李大浩の後釜としては、今季ウエスタン2冠に輝いたカニザレスが期待される。外国人枠の関係で来日2年間は不遇の日々を過ごしたが、その鬱憤(うっぷん)を晴らす舞台が整ったとも言える。また、吉村裕基も定位置獲りに燃えており、さらに故障に苦しんだ長谷川勇也が完全復活すれば、中村晃、あるいは内川聖一を一塁に固定することも可能になる。

 その中で飛躍が期待されるのが、江川智晃、塚田正義、猪本健太郎といった面々だ。パワーが武器の江川は、来季は本職の外野に加えて三塁挑戦も表明。塚田は今季ウエスタンで15本塁打&70打点、猪本もここ3年間で計47本塁打とファームでは実績を残しており、チャンスさえもらえれば結果を残せる人材がそろっていると言える。

今江&クルーズ退団で若手にチャンス

 ソフトバンクと同じく、内野に2つの穴が空くのが千葉ロッテだ。これまでチームの顔であった三塁手・今江敏晃がFAで東北楽天に移籍し、華麗なグラブさばきでゴールデングラブ賞を受賞した二塁手・クルーズは条件面が折り合わずに退団し、巨人へ移籍することになった。

 この緊急事態に燃えるのが、中村奨吾、青松慶侑、三木亮、大嶺翔太、香月一也といった若手陣だ。特に昨年のドラフト1位で入団した中村は、今季ルーキーながら安定した守備力を武器に111試合に出場した。数字的には打率2割3分、5本塁打、21打点と苦しんだが、打撃面を磨けば不動の存在になれる。青松は現在29歳と決して若くはないが、今季はイースタンで3冠(打率2割9分8厘、15本塁打、出塁率4割1分3厘)に輝き、1軍でもプロ初本塁打を放って来季のブレークが期待される。

 この他にも、新外国人候補として名前が挙がっているのが、二塁と三塁を守れ、今季韓国・サムスンで48本塁打を放ったヤマイコ・ナバーロ。そして今秋のドラフトで1位指名した平沢大河(仙台育英高)にもチャンスあり。能力の高さは誰もが認めるところで、アピール次第では開幕1軍入り、高卒1年目でのレギュラー抜擢もあり得ない話ではない。

地味に痛い脇谷の穴

 今季4位に終わった西武にとって痛いのは、脇谷亮太のFAでの巨人復帰だろう。加入2年目の今季は118試合に出場し、内外野さまざまな位置を守りながら打率2割9分4厘の成績を残した。派手さはないが“いつでもどこでも”結果を残せる貴重な戦力だった。想像以上に大きな穴になる恐れがある。そうならないためにも、山川穂高、永江恭平といった若手の奮起が求められる。

 その他のパ・リーグ3球団に大きな戦力流出はない。オリックスでは谷佳知、平野恵一、東北楽天では斎藤隆、小山伸一郎、永井怜、北海道日本ハムでは木佐貫洋らが引退したが、いずれもすでにレギュラーや1軍戦力から外れており、大きな穴にはならない。ただ、契約更改での大幅減俸提示によって退団し、ヤクルトに移籍した坂口智隆の来季の活躍次第では、失った「穴」の大きさを感じることになるかもしれない。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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