【スキー】ノルディック世界選手権 複合・混合団体 ゴール前における進路妨害に対するFISへの抗議・上訴について
このレースにおいてゴール前で3位オーストリア選手の進路妨害があったとして、日本チームは試合後にFIS(国際スキー・スノーボード連盟)に抗議を行いましたが認められず、メダルには届きませんでした。
日本チームが進路妨害を訴えた混合団体の後半レース
日本の抗議で約1時間の審議、一度はオーストリア失格も順位は変わらず
レース後、日本チームはFISの定める国際競技規則(ICR)に反する進路妨害があったとしてFISに抗議。約1時間に及ぶ審判団による審議で一度はオーストリアに失格が言い渡されましたが、オーストリアからの抗議で当該場面の映像分析およびICRで定められた各条項が検証された結果、妨害行為はなかったとの判断に至りました。
FIS上訴委員会への上訴と回答
・ランパルター選手の行為にICRで「選手の責任」として定める「全ての競技会において妨害は認められない。こういった行動は身体の如何なるパーツ又はスキー用具を使って故意に妨害、ブロック、体当たり、押しつけと定義される」に対する明らかな違反が認められる
・FIS公式サイトに掲載された同選手のレース後のコメント「F1と同じで、フィニッシュ走路の選択ができるのは前にいる選手です。後ろで彼(=山本選手)のスキーと接触していることに気づき、自分のスプリントが最速ではないことも分かっていたので走路を少し変更する必要がありましたが、自分の選択は全て正しかったと思います」が意図的な妨害行為であったことを示唆
また、今回のケースが妨害と認められないのであれば、こうした行為が戦術として認められる先例を作ることになり、ノルディック複合の価値およびイメージを著しく損ないかねないことに深い懸念を抱いていることも申し添えました。
しかしながらSAJの上訴は認められず棄却されました。委員会は決定理由として、ランパルター選手の進路変更時の一連の動きは「通常ではないものの、それらは状況証拠であり意図的な妨害を証明するものではない」こと、またレース後の発言に関しても「明確な意図を示すものではなく、戦術選択から生じた事象である」ことを挙げました。
河野競技本部長「非常に重く受け止めている。引き続き抗議をしていく」
「 SAJはこの決定を非常に重く受け止めている。今後の対応策についてSAJ内で協議している。このような妨害行為が戦術として認められる前例となれば、ノルディック複合競技の価値を著しく損なうことにつながりかねない。引き続きFISに抗議をしていきたい」
久保ヘッドコーチ「正々堂々戦った選手たちを誇りに思う」
「出場した選手は最高のパフォーマンスを発揮してくれました。チームスタッフも最高のサポートをしてくれました。レース直後に日本チームはオーストリア最終走者の行為について抗議を行いましたが、判定が変わることはありませんでした。ルールのもと、パフォーマンスを競い合うのがスポーツです。しかし、今回の行為が妨害行為ではないとみなされることにより、今後のノルディックコンバインドのレースにおいて同様の妨害行為が蔓延し、クリーンでフェアなスポーツから遠ざかってしまうことを危惧しています。日本チームとしては今後このようなことがないよう、ルール更新や明確化をFISに対して求めていきたいと考えています。最後に、私としては正々堂々レースを戦った選手たちを誇りに思っています」
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