“とにかく明るい”松田流出危機も 「安心してください」と言えるソフトB

ベースボール・タイムズ

日本一の立役者2人にMLB移籍の可能性

35本塁打、94打点をマークした松田、MLB移籍も視野にFAを行使した 【写真は共同】

「世界野球プレミア12」が、韓国優勝、日本3位という結果で閉幕した今、福岡ソフトバンク所属の2選手の去就に注目が集まっている。侍ジャパンの野手最年長者であり、チーム一の元気印でもあった松田宣浩と、韓国代表チームの4番として優勝に貢献、準決勝の日本戦で9回に逆転打を放った李大浩の2人である。

 松田は「残留か、メジャー移籍か」の二択に絞って海外FA権を行使。「プレミア12期間中はゲームに集中したい」と、去就についてのコメントを避けていたが、23日にはパドレス球団幹部と接触したと一部報道で明らかにされた。
 一方の李大浩は、韓国帰国時の11月3日にメジャー挑戦の意向を宣言。「条件が合わなければソフトバンクでプレーする可能性もある」としているが、松田以上に移籍する可能性は高い。

 そこで心配されるのが、来季のソフトバンクだ。今季、主に5番打者として活躍した李大浩は31本塁打、98打点でともに日本でのキャリアハイを記録し、内川聖一に代わって4番を務めた日本シリーズでは5試合8打点の活躍でMVPも受賞した。松田も35本塁打、94打点はともにキャリアハイ。さらに、選手会長としてもチームをけん引し、常に声を出して仲間を鼓舞し続けたムードメーカーでもある。球団は「FA残留」を認めたうえで松田にラブコールを送り続けているが、来季もソフトバンクのユニホームを着ているかどうかは不透明だ。

実力者の覚醒と若手の奮起に期待

 では、もしも李大浩と松田がいなくなったら、ソフトバンクはどうなってしまうのか。
 守備面を考えれば、李大浩が守っていた一塁は、中村晃、明石健志、吉村裕基、カニザレスが候補となり、松田の三塁も吉村、川島慶三、高田知季ら、現有戦力でカバーすることはできる。しかし、いくら分厚い選手層を持つソフトバンクであっても、2人合わせて66本塁打、192打点という攻撃の穴を埋めるのは容易ではない。

 来季への可能性を感じさせる要素として、右足の回復が遅れて今季30試合の出場に終わった長谷川勇也、ウエスタン・リーグで本塁打王(18本塁打)、打点王(56打点)の二冠に輝いたカニザレス、FA権を取得しながら残留を決めた吉村などが挙げられる。しかし、それよりもこの非常事態を“チャンス”と捉える若鷹たちの奮起こそが、チームをV3へと導く近道となるだろうと考えたい。

 松田や李大浩と同じ「右の大砲」の候補には、29歳の江川智晃、26歳の塚田正義、24歳の猪本健太郎の名前が挙がる。2013年に1軍で2ケタ本塁打を放った実績のある江川は、今季ウエスタンでリーグ2位タイの16本塁打をマーク。塚田はプロ入り後に故障で出遅れたが、昨季はウエスタン2位の15本塁打&同1位の70打点をマークし、今年4月には1軍でプロ初安打初本塁打を記録した。育成出身の猪本は、昨季2軍で17本塁打を放って本塁打王に輝くと、今季も江川に並ぶリーグ2位タイの16本塁打を放った。

 来季からソフトバンクはファーム本拠地を福岡県筑後市に移転して、最高の施設を整えてウエスタン・リーグ5連覇を目指す。だが、上述した面々は“筑後で輝く選手”で終わってはいけない存在だ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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