NBLとbjリーグ、最後の役目 すべては日本バスケ強化のために――

大島和人

笑顔で取材に応えてくれたbjリーグの河内コミッショナー 【スポーツナビ】

『日本バスケ戦略会議』をスタートして今月でちょうど1年が経過した。その間、日本バスケットボール連盟(JBA)はものすごい速さで変革を進め、1年前とは状況が一変。国際バスケットボール連盟(FIBA)に課された資格停止処分の解除を経て、Bリーグの開幕が来年秋に決まり、男女バスケットボール日本代表はアジアの舞台で活躍を見せている。今は、確実に新たなフェーズに移行したと言えるだろう。

 日本バスケ界が抱える課題を関係者の声から紐解いていくことを目的としていた『日本バスケ戦略会議』だが、もはや主旨が状況と見合わなくなった今、本企画の役割は終えた。日本バスケ界史でもまれなほど“変化”があったであろうこの1年間で、“日本バスケの最前線”で活躍する多くの人々の声を届けることができた。それによって、日本バスケ界の進むべき道筋の指針を少しでも示すことができたのであれば幸いである。本企画の最終回は、来季からは“仲間”となる両リーグのトップである、NBL・堀井幹也理事長、bjリーグ・河内敏光コミッショナーの未来への言葉で飾りたい。

 1年間、ご愛読ありがとうございました。(スポーツナビ編集部)

両リーグとも最後のシーズンへ

NBLの堀井幹也理事長は、最後のシーズンならではの見どころを語った 【スポーツナビ】

 新生Bリーグは2016年秋に発足し、1部18チーム、2部18チーム、3部9チームの構成でスタートを切る。そしてナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)、ターキッシュエアラインズbjリーグ(bjリーグ)は、この10月から最後のシーズンに入った。ラストならではの楽しさも、おそらくあるだろう。

 NBLの堀井幹也理事長は、今季の戦いについてこう述べる。

「NBLは(Bリーグに移行すると)1部が8チーム、2部に4チームと分かれる。1部チームの選手は1部の誇りを見せてほしいし、2部はチャレンジャーとして、負けないものを出してほしい。広島ドラゴンフライズの竹内公輔が2部になりますけれど、2部からもナショナルチームのメンバーに選ばれるんだというところをアピールしてほしい。同様にNBDLも(Bリーグに移行すると)2部が5チーム、3部が5チームに分かれるので、各チーム頑張ってほしいと思っている」(堀井)

 新リーグに向けた変化は、bjリーグの方が大きいのかもしれない。河内敏光コミッショナーはリーグの見どころ、昨季からの変化をこう説明する。

「今までだと『今年は何とかプレーオフに行って、来年は有明のファイナルズ。次は優勝』みたいな目標設定がチームによってはあったけれど、今年は24チームすべてから最後のチャンピオンになるぞという意欲を感じる。今回は特に2年目の福島……。あの勢い(10月末現在、6勝2敗でイースタンカンファレンス3位)は、このまま突っ走る可能性もあるのかなと思いますね。

 われわれは新リーグへ行くにあたって外国籍選手のオン・ザ・コート(同時にプレーできる人数)を2人、登録も3人までと変えました。タイムアウトも含めて、今までのヘッドコーチ(HC)は(新しいルールを)勉強しているところだと思いますね」(河内)

 得点が増える。日本人選手の活躍が勝負の決め手になる。それが彼の分析だ。

「昨季は(外国籍選手が)お互いにマッチアップしちゃって、(コート上で3人ずつがプレーできた)第2、第4クォーターは意外と点数が入らなかった。だから今季の方が、得点は入っている。外国人3人がDFにいるときよりスペースが広くなって、得点は入っている。だから日本人選手が得点を取るチームは、今年のbjリーグで上位に来る」(河内)

頂上決戦はBリーグ開幕までおあずけ

「試合に関するエンターテインメント性とは、究極は良いプレーをやること」と堀井理事長 【スポーツナビ】

 日本バスケットボール協会(JBA)の川淵三郎会長は、タスクフォースの議論が始まった直後の15年2月に「15−16シーズンは2つのカンファレンスを作り、チャンピオンシップなどの形で優勝チームを決める」という私案を示していた。NBLとbjリーグのチャンピオンによる“ファイナル”は、ファンとしておそらく興味を引くカードだろう。ただ、結論から言うと頂上決戦の実現は難しい。

 両リーグのトップはこう説明する。

「リーグの終わる時期が大幅にずれてしまう。選手を引き留めておく、契約を延ばして待たせるということは難しい。5月中旬でbjリーグは終わってしまいますが、NBLは6月の初旬までやっている。いろいろと検討はして、何とかやりたいとは考えて進めて来たのですが、無理でした」(堀井)

「選手の契約の問題もありますし、何より場所(体育館)を取ることも困難。(新リーグが)来年の秋からスタートすることを考えると、そこまであと数カ月というタイミングでやるのはスケジュール的に難しいのでは。次のシーズンに向かっての準備も足りなくなってしまう懸念もある」(河内)

 つまりお楽しみは16−17シーズンまで取っておく、という話になりそうだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント