バスケ新リーグへの試金石となった2試合 「DREAM GAMES」で見えたこと
夢の対戦はNBLの2勝に終わる
NBLとbjリーグの優勝・準優勝チーム同士の注目の対戦「DREAM GAMES」は、NBL勢の2勝に終わった 【松岡健三郎】
両リーグの交流戦は、この数年、公式あるいは練習試合など増えてきていた。だが、今回の「DREAM GAMES」が歴史的なのは、日本バスケットボール協会(JBA)の主導で開催されたことだ。1年後の2016年秋には、新リーグがスタートする。対戦した4チームは、共に1部リーグで戦うチームだ。新リーグの試金石ともなった「DREAM GAMES」から見えてきたことは何か、探ってみたい。
頂上決戦は、アイシンが勝利
5点差を追うアイシンが逆転したのは第3クォーター半ば。攻撃の要・桜木ジェイアールがローポストで老練なうまさを見せてチームをけん引。新加入のアイザック・バッツがディフェンス・リバウンドを支配すれば、交代して入ったギャビン・エドワーズもしつこいゴール下プレーで得点にからみ、アイシンが次第に主導権をにぎっていく。第4クォーターもエドワーズのゴール下プレーが爆発するなど、“歴史的な頂上決戦”はアイシンが83−73で勝利した。
「浜松は非常に3ポイントがうまいチーム。昨年の練習ゲームでも何本も決められている。今日も前半はヒヤヒヤだったが、後半はヘルプに行き過ぎずに自分のマークマンをしっかり守ることを指示。そこがうまくいきわれわれのバスケットができた」と、勝因を語ったアイシンの鈴木貴美一ヘッドコーチ(HC)。
エドワーズ25点、バッツ13得点、比江島慎は20得点。ヒジ痛で調子がイマイチだったエース金丸晃輔も、要所で3ポイントを沈めて意地を見せた。比江島は「NBL王者としてのプライド、またNBL代表として『絶対に勝たなくては』というプライドもあり、みんなが勝ちにこだわって戦った」と話す。大差で勝つのではなく、「負けないバスケ」を得意とするアイシン。その勝負強さがこの頂上決戦でも光っていた。
「細かいことの積み重ねの差」と浜松・東野HC
敗れた浜松・東野智弥HCは「アイシンとの差は細かな部分の積み重ね」と反省を口にした 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ/bj-league】
日本代表でもあるセンターの太田敦也(206センチ、112キロ)は、「bjリーグでも外国籍選手と戦ってきたが、まだまだ足りないと感じた。後半、相手のインサイドに押し切られてしまった。正直、僕の力不足。悔しい」とゲームを振り返った。マッチアップしたアイシンのバッツは208センチ、133キロの堂々の体躯。「bjリーグにも重い選手はいるが、あれだけ高さとパワーがあってガンガンやってくる選手はいない。正直、きつかった」と、悔しさをにじませた。
東野HCは「アイシンはインサイドが身上だけに、そこが痛かった。金丸選手はある程度は抑えたが、比江島選手にやられてしまった。アイシンとの差は細かな部分の積み重ね。勝負どころで流れを読めないようでは勝てない」と、反省点を挙げた。敗れたとはいえ、終始、ベンチ前で選手を鼓舞し続ける東野HCの姿には、指揮官としての熱い情熱がほとばしっていた。