ヤクルト川端を進化させたつなぐ意識 残り3試合で8本、200安打達成なるか

週刊ベースボールONLINE

練習量とコンディションが安打製造の秘けつ

強力ヤクルト打線でつなぎの役割を果たしている川端 【写真=BBM】

 まさに“安打製造機”だ。10月1日現在、打率3割3分7厘でセ・リーグのトップを行く東京ヤクルト・川端慎吾は今シーズン、驚くほどコンスタントにヒットの数を積み上げている。
 なにしろ今季は月間打率が3割を切った月は皆無。月別の安打数を見ても3、4月=38、5月=31、6月=28、7月=31、8月=38、9月=26、と6、9月を除いて毎月30本以上の安打を記録している。7月8日以降は打率が3割2分を切ったことはなく、後半戦に入ってからはほぼ3割3分以上のアベレージをキープ。したがって、三冠王の可能性もあるチームメートの山田哲人がいくら打っても、打率では一向に追いつく気配がない。

 昨年は規定打席に到達して初の打率3割をマークするなど、バッティングの技術には定評のある川端だが、今シーズンはなぜここまで安定してヒットを量産できるのか?

「ひとつは練習量。彼は野球人生の中でも、今年が一番(練習で)打ったんじゃないかな。キャンプからシーズンも含めてね」 

 そう分析するのは“師匠”の杉村繁チーフ打撃コーチ。川端本人もそれを認めるが、何も昨年まで怠けていたということではない。

「今までで一番バットを振っているのは確かですね。体のコンディションがいいから、それができるんですけどね。去年までは痛いトコだらけで、やりたくてもできなかったですから……」 

 かつては常に故障と隣り合わせで「ガラスのプリンス」とやゆされることもあった。宮本慎也の引退で開幕から正三塁手の座が約束され、全試合出場を誓って臨んだ昨シーズンも、4月下旬に腰痛で試合を欠場するなど、目標は達成できなかった。

「今年は今までと比べてしっかりとコンディションを整えていますし、それが良かったと思います。治療院には定期的に通っていますし、自分で『ちょっとヤバいな』と思ったときなども行って、2時間ほどかけて治療してもらっています。どうしても腰が張ってきやすいので、しっかりケアしていかないといけないなと思って、今年はかなり力を入れていますね」(川端)

 肉体的な不安がほとんどないからこその練習量であり、それがあってのここまでの好成績というわけだ。

目立つファウルの多さ

 一方で、「技術的に変わったところは特にない」と杉村コーチも川端自身も言うが、打席で目立つのはファウルの多さだ。追い込まれると、際どいコースのボールは徹底してファウルで逃げ、少しでも甘くなったところを確実に仕留める。

「オールスターで(他球団の選手から)『あのファウルは遅延行為でしょ』って言われました」と笑うが、これぞ川端のメシのタネ。8月25日の巨人戦(神宮)では第3打席で田原誠次に2ストライクを取られながらもしぶとくファウルで粘り、最後は11球目をセンター前にポトリと落とした。 

 シーズン後半戦から打順が2番に固定されたのも、いい結果につながっている。真中満監督の強いこだわりもあり、今年は開幕から2番に座ったが、4月半ばからは3番が定位置となっていた。しかし、球宴明けから2番に戻ると、後半戦はこの打順で打率3割5分2厘をマークしている。

「2番になって長打とかホームランを狙うことがなくなったというか、あんまりムチャ振りはしなくなりました。よりつなぐ意識が強くなって、ただヒットを打ちにいくことが多くなったのが、打率を残せている理由なのかなと思います」(川端)

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