球数制限は必要、でも練習量も必要!? 「侍」コーチが高校野球に提言

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甲子園から毎年多くのスター選手を生み出す高校野球。これからの100年を考えるべく、鹿取氏、仁志氏に話を聞いた 【写真:岡沢克郎/アフロ】

 清宮幸太郎(早稲田実業)、オコエ瑠偉(関東一)といったスター選手を生み出し、夏の甲子園大会から第27回WBSC U−18ワールドカップまで、100周年を迎えた2015年の高校野球は大いに盛り上がった。しかし、これからの100年、さらに発展を続けるためには、考えなくてはならない課題も数多くある。

 プロ野球で活躍後、侍ジャパンで15歳以下(U−15)を指導した鹿取義隆氏、12歳以下(U−12)を指導した仁志敏久氏とともに高校野球の未来を考える特別企画。後編では毎年のように話題に挙がる「球数」問題などを語ってもらった。聞き手は自身もヤクルトで活躍したスポーツライター青島健太氏が務めた。

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選手に影響を与えてしまう“親”

青島:高校野球をとりまく問題で、知り合いの監督さんから聞いたのですが、あまりにも親御さんが出てきて「あの監督、代えないとダメだよ」なんてことを言い出すケースもあるそうです。確かに熱心に応援してくれるのは微笑ましいし、選手には大きな支えなんですが。

鹿取:父母会の問題はありますよね。代表では誰も言ってきませんが、チームの監督さんからはそういった話は聞きます。特にU−15代表に選ばれる子の場合、その前後で進む高校が変わってしまうんです。親御さんの期待もあるので、気持ちも分かります。

仁志:確かに昔とは変わってしまいましたよね。今は親も含めた野球チームになっています。これはアマ野球では小学校から高校まで全部同じでしょうね。

青島:今は大学でも応援団のような親が結構いる……。

鹿取:本当ですか……。

仁志:結局、子どもが子どもであるうちは今後もその繰り返しで、大学まで進んでいくのでしょう。ただ、そういった親の子どもは絶対に成長しません。

鹿取:U−15でも親御さんはいらっしゃいますが、意外と何も言いません。選ばれたら遠くで見ていますね。これは親御さんの差があると思います。

投げ込みは必要、でも球数制限も必要?

青島:高校野球で具体的な問題について考えていきたいと思います。鹿取さんはご自身の経験でも話されましたが、投手が投げ過ぎてしまう、という問題は昔から言われています。投手の球数についてはどうお考えですか?

鹿取:投げなければ強くなりません。なので、練習では投げるべきです。練習で投げずに試合でいきなり投げるから壊れるんです。練習の段階でしっかりと投げていれば、いくら投げても大丈夫です。ただ、甲子園で1大会、600球、700球投げるのは投げ過ぎです。どこかで球数制限をしてあげないといけません。プロや大学を目指している子がけがをする可能性もあります。

 これを防ぐにはベンチ入りの人数を増やせばいいんです。1人のエースに頼っていると絶対に最後はヘバリます。明らかに決勝でスピードが落ちている子が多いので、球数はできれば100球で止めてもらえれば、もっと良いパフォーマンスができます。球数は100球投げたら1日空けないといけない、というルールがいいと思います。

 私もコーチ留学をしましたが、米国だととにかく合理的で60球で降板、というのを決めていたら3ボール2ストライクでも交代です。それをなぜやるかっていうとけがのリスクがあるからなんです。

青島:日本だと、「もうちょっと頑張れ!」という方向にギアを上げてしまいますよね。

鹿取:この試合に勝ちたい、という思いは日本の方が強いと思いますが、選手の個人のことはあまり考えられていないのでしょう。米国から今の高校野球を見ると、「球数の制限を作れ、投げすぎだ」と言いたくなります。もちろん試合に出れば、選手・指導者はもちろん、家族や地域も勝ちたい、と思います。だから、そこで投げられないとは言えないんです。ただ、投げている時に“そぶり”が出るので、そのサインを見逃さないことが指導者には求められます。そのまま投げ続けてしまうと壊れる可能性があります。

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