後半の猛追を可能にした戦略とメンタル 渡部香生子が200個メで第1号の銀

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はじける“カナコスマイル”

女子200m個人メドレーで、渡部が今大会最初のメダルを日本にもたらした 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

「最後は竹村(吉昭)先生が足がちぎれてもいいから頑張ってこいと言っていたので、ちぎれてもいいと思って泳ぎました(笑)」

 ロシア・カザンで行われている水泳の世界選手権で現地時間3日、渡部香生子(JSS立石)が見せたとびきりの“カナコスマイル”とともに、日本競泳陣第1号のメダルがもたらされた。

 渡部は、女子200メートル個人メドレー決勝で2分8秒45を記録し、銀メダルを獲得。前日に行われた準決勝で、自身が更新した日本記録(2分9秒61)を1秒16も短縮する離れわざで、女子としては同種目史上初の日本人メダリストとなった。

 4月に行われた日本選手権で4冠を達成しても取材陣には引き締まった表情を見せていたが、この日は笑顔がこぼれた。それほど会心の泳ぎができたということだろう。

決勝は3位狙いだった

前半は抑えたレース展開で8位につけたが、後半の平泳ぎ、自由形で追い上げ、順位を上げた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 決勝に向け、渡部を指導する竹村コーチは、あえて“3位狙い”のレースをするよう指示していた。準決勝のタイムを見ると1位通過のカティンカ・ホッスー(ハンガリー)が2分6秒84、2位のシボーン・マリー・オコナー(イギリス)が2分8秒45と抜きん出ていた。日本記録を更新したばかりの渡部といえども、2人に勝負を挑むのは厳しいと判断したがゆえの結論だ。

 渡部自身も、その戦略に異論はなかったという。「準決勝までの2人(ホッスーとオコナー)には歯が立たないのではないかと思っていたので、私も3位狙いでいいと思いました」

 レースでは3位を争うであろうマヤ・ディラド(米国)をベンチマーク。前半の種目は抑えながら、得意種目を泳ぐ後半で逆転するプランを立てていた。

 渡部は竹村コーチが描いたプランを忠実に実践する。バタフライ、背泳ぎと2種目を終えた段階では全体8位に沈んでいたものの、平泳ぎで4位まで盛り返し、最終的には自由形で終盤に失速したオコナーを捉え、2位まで順位を上げた。

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