「おもてなし」精神から感じる街の誇り=ル・マンの風 現地レポートVol.2
王者の登場に盛り上がり見せる公開車検場
トヨタ・GAZOO・レーシングの記念撮影はスタッフも参加。チャンピオンマシン登場に、現地のファンも大いに盛り上がった 【田口浩次】
ポルシェは、昨年のマーク・ウェバー(元レッドブル)人気に加え、今年は現役F1ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)が参加。多くのメディアがこの2人を囲んでいた。
すっかり元気な様子を見せる中嶋一貴。今回、ル・マンを訪れている脇坂寿一(右)の要望にこたえて、日本のファンに動画で無事を報告 【田口浩次】
そんなトヨタ・GAZOO・レーシングは、リパブリック広場での記念撮影には、チームスタッフが全員集合。カーナンバー1と2のマシンが並ぶ姿は、メディアという立場にあっても、非常に感動する。日本チーム、日本車、そして日本人ドライバーという組み合わせでの優勝はまだないだけに、チャンスがあればその姿を見てみたいと、記念撮影風景を見ながら感じていた。
他の都市とは違うル・マンの街
昔から、フランス人は少し気難しいというか、母国語にプライドがあり、観光客相手であっても、フランス語で話しかけられなければ、接する態度がずいぶんと違うと言われてきた。また、田舎では本当にフランス語以外を話せない人が多く、どうしても排他的な雰囲気になってしまう。実際、筆者もそうした体験を何度もパリや、フランスGPが開催されていたマニ・クール周辺でしたし、今回、同行していたフランス留学の経験もあるジャーナリストたちも同意見だった。しかし、ル・マンの街は何かが違う。
日本はいま、世界から観光客が増えていている。円安以外の理由のひとつとして、日本は安全で、誰もがとても親切という点が挙げられる。まさに東京五輪誘致で語った「おもてなし」が魅力なのだと。その「おもてなし」精神がル・マンに住む人々にはあると感じられた。これは、他の日本人ジャーナリストに聞いても同じように感じていたし、フランス在住40年を超えるコーディネーターに聞いても、ル・マンは他の都市とは違うと話す。
長く、国際的なレースを開催し続けてきたことで、毎年、世界中から多くのファンが集まり、そうした人々とのつながりを持つことで、本来の少し田舎で素朴な良さと、常に世界から注目され、世界に誇れる祭りを開催している自負からなのか、自然と人に優しくなっているのではないだろうか。