ヤクルト投手陣に起きた意識の変化 防御率最下位からの覚醒、その秘訣は?

週刊ベースボールONLINE

高津コーチがたたき込んだ“切り替え”

真中監督(左端)の下、開幕ダッシュに成功したヤクルト。投手陣の奮起がその要因の一つだ。 【写真=BBM】

 東京ヤクルトの投手陣に何が起きたのだろうか。防御率両リーグトップの1.81(4月29日現在)で、好調のチームの原動力と言われている。開幕から14試合連続3失点以下を続け、1956年西鉄の13試合を抜くプロ野球記録まで樹立した。昨季はリーグワーストの防御率4.62。チーム打率がリーグトップの2割7分9厘だったこともあり、投手陣が2年連続最下位の原因に挙げられることも多かった。昨季と比べると今季は「覚醒」とも言える目覚ましい活躍を遂げており、少々驚いている人も多いのではないだろうか。

 高津臣吾投手コーチは、その変化について「ちょっとしたこと」と強調する。昨年から口を酸っぱくして言い続けてきた「切り替え」ができるようになってきたのだという。走者を出しても次の塁に進ませない、という意識。四球を与えても引きずらずに次の打者との勝負に目を向ける、という意識。

「口うるさいおっさんだなと思われているだろうね」と高津コーチは笑うが、昨年11月の秋季キャンプ、今年2月の春季キャンプでも常に頭にたたき込ませることで、少しずつ浸透しつつある。

徹底した危機管理で故障者減

90年代の黄金時代を支えた高津コーチ(右)と伊藤コーチ。昨年の経験から、意識や調整の仕方などに変化を加えた 【写真=BBM】

 もちろん、昨季の悔しさも大きな原動力だ。石川雅規が「投手陣が課題と言われ続けてきた悔しさは持っているし、今年は投手が野手を助ける試合をしようという話はみんなでしている」と明かせば、小川泰弘は「投手で勝てる試合を増やしていきたい」と語気を強めた。

 また、ここまで大きな故障者が出ていないことも、何よりの要因だろう。昨年は開幕直後に守護神のバーネットが離脱。4月中旬にエースで開幕投手を務めた小川が、右手のひらに打球が直撃し骨折の憂き目に遭った。6月にはバーネットに代わって抑えを務めていたロマンが離脱。エースと抑えを欠いた苦しい戦いが続いた。小川がようやく復帰マウンドに立ったのは7月12日。このときすでにチームは「12」もの借金を抱えていた。

 今季は真中満監督の方針もあり、小さな変化でもすぐに報告することを義務づけている。その結果、春季キャンプで小川が左脇腹の張りを訴えて一部メニューを変更することもあったが、2月28日に初マウンドに立つことができ、予定通りに2年連続の開幕投手を務めた。同じく石山泰稚も股関節の痛みでスロー調整となっていたが、しっかりと開幕先発ローテーションに名を連ねた。危機管理を徹底することで長期離脱を避けている。

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