ヤクルト投手陣に起きた意識の変化 防御率最下位からの覚醒、その秘訣は?
高津コーチがたたき込んだ“切り替え”
真中監督(左端)の下、開幕ダッシュに成功したヤクルト。投手陣の奮起がその要因の一つだ。 【写真=BBM】
高津臣吾投手コーチは、その変化について「ちょっとしたこと」と強調する。昨年から口を酸っぱくして言い続けてきた「切り替え」ができるようになってきたのだという。走者を出しても次の塁に進ませない、という意識。四球を与えても引きずらずに次の打者との勝負に目を向ける、という意識。
「口うるさいおっさんだなと思われているだろうね」と高津コーチは笑うが、昨年11月の秋季キャンプ、今年2月の春季キャンプでも常に頭にたたき込ませることで、少しずつ浸透しつつある。
徹底した危機管理で故障者減
90年代の黄金時代を支えた高津コーチ(右)と伊藤コーチ。昨年の経験から、意識や調整の仕方などに変化を加えた 【写真=BBM】
また、ここまで大きな故障者が出ていないことも、何よりの要因だろう。昨年は開幕直後に守護神のバーネットが離脱。4月中旬にエースで開幕投手を務めた小川が、右手のひらに打球が直撃し骨折の憂き目に遭った。6月にはバーネットに代わって抑えを務めていたロマンが離脱。エースと抑えを欠いた苦しい戦いが続いた。小川がようやく復帰マウンドに立ったのは7月12日。このときすでにチームは「12」もの借金を抱えていた。
今季は真中満監督の方針もあり、小さな変化でもすぐに報告することを義務づけている。その結果、春季キャンプで小川が左脇腹の張りを訴えて一部メニューを変更することもあったが、2月28日に初マウンドに立つことができ、予定通りに2年連続の開幕投手を務めた。同じく石山泰稚も股関節の痛みでスロー調整となっていたが、しっかりと開幕先発ローテーションに名を連ねた。危機管理を徹底することで長期離脱を避けている。