ヤクルト投手陣に起きた意識の変化 防御率最下位からの覚醒、その秘訣は?
先発陣を安定させた変革
2年連続で開幕投手を務め、エースとしての働きを続ける小川 【写真=BBM】
千葉ロッテからFAで加入した成瀬善久は、開幕2カード目初戦のマウンドを担い、小川、石川とともにチームの3本柱となった。昨季途中に先発に転向した石山は、今季から本格的に投げ始めたシュートを武器に安定した投球を続ける。2年目で新人王の資格を持つ杉浦稔大も勝ち星には恵まれなかったが奮闘。右肩の張りを訴え21日に登録抹消となったが、早期復帰を目指し調整中だ。さらに昨季、福岡ソフトバンクからトレードで移籍した新垣渚が、移籍後初となる2年ぶりの白星を挙げるなど、先発陣の安定感は際立っている。
救援陣に表れた「相乗効果」
気迫の投球を続ける守護神・バーネット。12年以来のセーブ王に返り咲けるか 【写真=BBM】
新人だった昨季に61試合登板と大車輪の活躍を見せながら、今季「結果を残さないと1軍に残れない」と危機感を口にする秋吉亮も、2年目のジンクスとは無縁そうだ。
唯一のリリーフ左腕・中澤雅人は厳しい場面での登板が増えるが、風格すら漂う。徳山武陽は「みんなが点を取られないから、自分が取られてたまるものか、という思いはあります」と最強リリーフ陣の思いを代弁した。
真中監督は「投手が頑張ってくれているから、この順位にいられる」と目を細める。投手陣の粘り強さ、次の1点を与えない姿勢が野手陣の踏ん張りを呼ぶ。昨季のように大量得点を奪える試合は少ないが、1点差の試合をモノにする底力を蓄えつつある。「高校野球じゃないけど、1試合1試合成長している」と選手を称えた指揮官。覚醒した投手陣は、チームに一丸の力をももたらしている。