開幕ダッシュ成功、日本ハム首位の要因 近藤、谷口ら若手の活躍が懸案を解決
平均得点4.7とよくつながる打線
正捕手・大野が離脱も4年目の近藤(左)らが台頭し、選手層は厚くなった 【写真=BBM】
よく点が取れているのは大きなポイントだ。16試合で75得点は両リーグトップで、1試合に平均すると約4.7点を奪っていることになる。「4点以内に抑えれば勝てる」と先発投手は楽な気持ちでマウンドに上がれるだろう。また、相手に先制されても、2、3点なら引っくり返せるという余裕を持って戦えるのは、攻守において良いプレーが生まれやすいのではないか。
陽岱鋼、大野が離脱も若手が台頭
新外国人のハーミッダ(写真)とレアードもレギュラー定着。しっかりと成績を残している 【写真=BBM】
唯一の不安は陽岱鋼の状態か。昨季もクライマックス・シリーズでほかの選手たちが躍動する中、一人深刻な不振に陥り、チームの勢いに乗れなかった。もし、陽が本来の調子であれば、福岡ソフトバンクを倒して日本シリーズに出場できていたはず、という声も聞かれる。その陽はオープン戦から当たりが止まっており、開幕後も不調で打率1割台。その上、太ももの裏を痛め、4月12日に登録を抹消された。ただ、陽の抹消により、外野のポジションを争うと思われていた谷口雄也、岡大海らに多くのチャンスが与えられた。谷口は3割と結果を残している。今後も若い選手が実戦経験を得て切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長すれば、さらに層が厚くなり、チーム力は上がるはずだ。
また、昨季の第1捕手の大野奨太、第2捕手の市川友也がともに負傷のために長期欠場することが大きな懸念事項になると思われていた。だが、この危機も21歳の近藤健介と19歳の石川亮という若い2人の健闘により、大きな問題となっていない。近藤は3割2厘、石川は3割と打率を残すなど、“打てる捕手”が誕生したことにより、打線に厚みが加わっている。2人の若い捕手がこの勢いのまま試合に出続けて経験を積めば、大きな力となるはずだ。昨季の大野が打率1割台だったことを考えれば、復帰したとしても、正捕手の座を取り戻せるかどうか、分からない。捕手陣の競争激化も戦い方に幅を広げてくれる。
大野は4月12日に行われた2軍のフューチャーズ戦(鎌ケ谷)でようやく実戦で守りに就き、2打数2安打と打撃でも結果を残した。若い2人の活躍に刺激を受けていることは間違いない。1軍の試合でフルに出場できる状態になったとき、どのように起用されるのか、栗山英樹監督の手腕が注目される。
大谷が3連勝 先発投手陣の状態も上向き
3日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で、相手の先発ディクソンは立ち上がりこそ2四球を出すなど不安定だったが、2回から6回までヒット1本に抑えられ、初回に背負った1点のビハインドを逆転するのは非常に難しいと思われた。だが、7回に先頭のハーミッダがライトスタンドへ運び、一振りで同点にする。続くレアードが四球で歩き、近藤が送るが、次の谷口が倒れ、2死二塁。ここで中島の三塁への強烈な当たりが相手のミスを誘い、勝ち越し。続く西川遥輝は、この日チーム4本目となるヒットで2点差とし、好投を続けていた先発・上沢直之に今季初勝利をもたらした。相手投手が良いときに、このように泥臭く点を奪う、粘り強い戦いができれば、劣勢の試合でも勝利をつかむ確率は高まる。試合中盤から終盤にかけての粘り強さは昨季の終盤から続く、大きな強みでもある。
この粘り強い戦いをするのに欠かせないのが、先発陣のゲームメーク能力だ。12日のソフトバンク戦(熊本)を7回無失点で抑えて開幕3連勝とした大谷翔平は、立ち上がりこそまだ不安を残すものの、試合を重ねるごとに好調時の姿に近づいている。2012年のMVP左腕・吉川光夫が復活し、3連勝スタートを切ったのも大きなポイントだ。
上沢は4月11日(鹿児島)のソフトバンク戦に敗れたものの、防御率は1.20と抜群の安定感を見せており、メンドーサ、武田勝も白星をマークしている。上記の5人は今季のローテーションに定着しそうだ。
ここに負傷離脱中の浦野博司とガラテ、今季は2軍調整が続く中村勝、木佐貫洋、徐々に投球数を増やしている有原航平などが台頭すれば、1シーズンを戦える陣容が完成する。