開幕ダッシュ成功、日本ハム首位の要因 近藤、谷口ら若手の活躍が懸案を解決

週刊ベースボールONLINE

セットアッパーの座を奪った鍵谷

就任4年目の今季、若手中心のチームで開幕ダッシュを成功させた栗山監督(中央) 【写真=BBM】

 リリーフ陣は昨季と顔ぶれが変わっているものの、昨季同様に安定感抜群でチームのストロングポイントになっている。昨季素晴らしい働きを見せたクロッタが打ち込まれて信頼を失っているが、鍵谷陽平が7試合に投げて無失点を続け、セットアッパーの地位を奪い取った。谷元圭介、宮西尚生は昨季同様、確実につなぐことができ、ストッパーに定着した増井浩俊も期待に応えている。矢貫俊之が復活の兆しを見せているのも明るいニュースだ。

 昨季のように、左腕不足で宮西にかかる負担が大きくなる可能性があるため、ガラテ、瀬川隼郎の新戦力の台頭、石井裕也、齊藤勝の奮起に期待がかかるところだ。また、昨季の終盤に好投した白村明弘が出遅れているが、力強い速球を武器に、リードの場面で起用されるよう、首脳陣の信頼を勝ち取ることが期待される。

田中賢介、レアードの加入で安定している内野守備

田中が3年ぶりに復帰し、二遊間の守備はより盤石なものに 【写真=BBM】

 もう一つ大事なポイントは守備だ。昨季144試合でリーグワーストの84失策だったが、今季は16試合で失策6と、ここまでは守備がまずまず安定している。

 ただ、11日のソフトバンク戦のように、ミスが続き失点して負けるパターンは昨季何度も見られ、今後なくさなければならない。先発の上沢は走者を出しながらも踏ん張り、6回まで1対1で進み、7回裏を迎えた。先頭の中村晃を四球で歩かせ、本多のバントを処理した捕手の近藤は二塁封殺を狙ったが送球がそれてセーフにしてしまう。続く柳田のファーストゴロを中田がトンネルし、ノーヒットで勝ち越され、さらに内川、松田にもタイムリーを許し、敗れた。

 田中が二塁に復帰して内野守備に定評のある中島を遊撃に固定できたことで、昨季不安定だった二遊間の守備は大幅に改善された。また、併殺を取れる場面では確実に取って投手を助けるなど、記録に残らないミスも大幅に減っている。だが、連勝が7で止まってしまったソフトバンク戦のように、1試合で3つもエラーが出てしまうと、いくら投手が踏ん張っても、守り切れなくなる。レアードの加入で三塁の守備も安定しているため、あとは選手たちが集中力を保ち、ミスを続けないことだ。僅差の勝負を勝ち切るのに、ミスが続くことは命とりになってしまう。

 ここまでは、若いチームの良さでもある勢いに乗って、勝利を重ねている。だが、今後はなかなか勝てない時期、連敗が続くなど苦しい時期は長いペナントレースで必ずやってくるもの。そのときをどう乗り越えるかが、チームが優勝争いに加われるかどうかを左右するのではないか。経験豊かな田中も「チームが苦しくなったときにこそ、何か行動を起こしてみんなを助けたい」と語っている。数少ないベテランの力が必要になる時期は必ず来るだろう。

 また、4年目を迎えた栗山英樹監督がどうチームのかじ取りをするかも、今後の戦いを左右するだろう。4月2日の千葉ロッテ戦(QVCマリン)のように、序盤に8点リードしながら、一時同点に追いつかれてしまう展開には、絶対に持ち込ませてはならない。ただ、試合後の栗山監督の厳しい表情を見れば、あのような過ちは繰り返さないはず。若く、勢いのあるチームを首脳陣がいかに良い方向へ導けるかにも注目だ。

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント