一般ランナーはどこまで速さを求めるのか?

青山剛

【青山剛】

 昨年3月から連載してきたランニングナビも今回でいったん最終回。連載スタートと同時に走り始めた方の中には、この1年間にフルマラソンを完走したランナーも多くいると思います。

 では、フルマラソンを完走したランナーは、これからの目標をどのように設定するのが良いのでしょうか? ランニングが楽しくなってきた方は、自己ベスト更新を目指してこのまま走り続けたいと思っていることでしょう。

どこまで記録を追い求めれば満足するのか…

【Getty Images】

 しかし、どこまで記録を追い求めれば人は満足するのでしょうか?

 競技者の場合、現役選手である以上は、もちろん記録と順位を常に追い求めなければいけませんが、皆さんの場合はそれがすべてではありません。趣味(=人生をよりよくするためのもの)なのですから、なおさらです。

 それでもある程度は記録を追い求めたい気持ちも分かります。私がこれまで一般ランナーを指導してきて、そのひとつの「ちょうどいい目安」があることに気づきました。それは、フルマラソンで4時間を切る、いわゆるサブ4です。この「サブ4ライン」に、ひとつの目安が隠されています。

 多くのランナーをパーソナル指導していると、ランニングをされる方の多くが、まずはこのサブ4ラインを目指すことになっていることが分かります。しかし、サブ4を目指し、マラソンだけを頑張っていても、やっていくうちにほかのさまざまなことへもチャレンジしたくなってきます。それは、100キロ(ウルトラ)マラソン、トレイルランニング、トライアスロンなどです。

 しかし、サブ4を達成する前にこれらの競技や大会にたくさん出場し始めると、ほとんどの方は、完走できなかったりケガをしたりして、長続きしないことが分かりました。

 そこで私の指導では、フルマラソン以上のラン大会、長距離のトレイルラン大会、総距離51.5キロ以上のトライアスロン大会に出場する場合、まずはこのサブ4達成を目標にさせます。厳しく言えば、サブ4を達成する「基礎体力」がないと、その競技、大会をちゃんと楽しめないどころか、ケガや病気を引き起こしてしまうからです。

 従って、フルマラソンを完走して、この先いろいろなことにもチャレンジしたいとなっても、まずはサブ4をひとつの目標にすることをおすすめしているのです。

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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