自己ベストを出すなら全力で走らない!? 大会距離別の最適なレースプランとは

青山剛

【青山剛】

 前回はマラソンの「30キロの壁」について取り上げました。そこではエネルギー面とメンタル面の、双方による影響があると説明しました。今回はフルマラソンだけではなく、さまざまな距離の大会に参加する上で「力を出し切れる」ベストなレースプランについて紹介します。

 ランニング初心者〜初級者の方が大会にエントリーして参加すると、「大会=始めから全力」と捉えすぎていて、とにかくどんな距離でもオーバーペースで“突っ込み”過ぎてしまうようです。

 大会で全力を出すということは、「トータルのゴールタイムをいかに短い時間にできるか」ということです。従って、いくら前半にタイムの貯金をしても、後半失速してしまえば莫大な借金になってしまい、結果はプラスマイナスでいえば、マイナス(タイムが遅くなる)の場合がほとんどです。

距離別の最適な「レースプラン」を紹介

【Getty Images】

 そこで、初心者・初級者の方におすすめする大会距離別の最適な「レースプラン」を紹介したいと思います。
・3〜5キロの大会
 スタートしてから500mまで(または2分間くらい)は抑えて走り、そこから「ヨーイドン!」のイメージで頑張る。

・10キロの大会
 1キロまで(または4分間くらい)は抑えて走り、そこから「ヨーイドン!」のイメージで頑張る。

・ハーフマラソン
 15キロまでは、予定ペースで「一定で」走り、そこから残り6キロはどんどんペースを上げていくイメージで走る。

・フルマラソン
 30キロまでは予定ペースで「一定で」走り、そこから「12キロのレースが始まったつもり」で頑張る。

 実は10キロ以下の大会の方が、ペース配分は難しいです。まずは上記のイメージで走って、どれくらいのタイムが出るかを知っていくことが大事。とにかく「スタートの号砲」でスイッチが入ってしまい、オーバーペースになる方が多いので気をつけましょう。

 また、ハーフマラソン以上の距離になれば、連載の秋第4回(http://dosports.yahoo.co.jp/column/detail/201411100003-spnavido)でご紹介した、5キロや10キロのタイムから割り出した「適正ペース」を基に、予定ペースを決めることができます。

 結論として「全力を出しきる=自己ベストを狙う」ということは、スタート直後から頑張ってはいけない、ということです。

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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