外国人騎手誕生のインパクト 馬券、日本人騎手への影響、課題を考察
開かれた扉
念願かない“JRA騎手”となったミルコ・デムーロ、彼とクリストフ・ルメールの通年参戦は日本競馬界にどのような影響をもたらすのか(写真は2012年の天皇賞・秋) 【写真:中原義史】
二人は本国でもトップクラスの騎手であるわけですが、デムーロ騎手は1999年から短期免許で来日して354勝(GI10勝)、ルメール騎手の方は2002年からの騎乗で245勝(GI5勝)という勝ち星を積み上げ、ともに多くの日本のファンを魅了してきました。
この二人のJRA騎手免許取得が、今更ながら大きな話題になっているのには、いろいろな理由がありますが、最大のポイントとして挙げられるのは、彼らの“通年免許”の取得が、海外の騎手が日本に“移籍”するようなものであること。
これによって、制度面だけでなく、日本の競馬そのものが大きく変貌する可能性が出てきたのです。
まず重要なのは、ファンにとっての視点ですが、名手二人の騎乗が毎週見られるわけですから、それだけで楽しみが増えることは間違いありません。外国人騎手に乗り替わった途端、別の馬かと思うくらいに一変する馬を何頭も見せられた(この逆はすぐには思いつかない)ファンにしてみれば、大歓迎ととらえる人が多いのではないでしょうか。
しかし、このファンにとって当たり前のようなこのこと自体、これからの日本の競馬に影響を及ぼす可能性があるのです。
遅すぎた開放
馬券になる、激しくかつ美しく陶酔するようなレースを創造してくれる、そして思い通りにゲームにも勝てる……。
この、いいことだらけと言っていい外国人騎手達。毎週、日本で騎乗してくれれば、と思うのがファン心理、のはず。ところが、あくまでも短期免許による“期間限定騎乗”のルールが継続されてきました。