外国人騎手誕生のインパクト 馬券、日本人騎手への影響、課題を考察

開放への道程

 そもそもの話。日本の競馬は必ずしも外部との交流にとても積極的だった、というわけではありませんでした。

 レースの方では1981年にジャパンCがスタートしましたが、外国産馬の出走制限については21世紀に入っても続き、ダービーに外国産馬が出走できるようになったのが2001年。その際も出走は2頭に限られていたり優先出走権がなかったり。それらが緩和されたのはパート1国に認定された2007年以降の2010年ですから、つい最近まで国外からのダービー参戦には制約が多かったことになります。

 一方、人の方はというと、外国人騎手に短期免許を交付するようになったのが1994年。以来、海を渡ってくる外国人騎手が後を絶たず、競馬主要国のトップクラスの騎手が当たり前のように来日しては、ビッグレースを席巻するようになります。

 昨年までにJRAだけで重賞172勝。うちGI62勝。中にはオークスや皐月賞、ダービーも含まれているのですから、この20年間は彼らを抜きに日本の競馬は語れません。

 しかしながら、少しずつ規制緩和が進んだとはいえ、それでもやっぱり、長い間外国産馬の活躍する場は限られ、外国の騎手が騎乗する期間も限られてきたのです。

開放へ切られた舵

 それが一昨年の平成25年8月7日。JRAから発表された「平成26年度 調教師及び騎手免許試験要領」の中の「6.騎手免許試験(新規)」の内容が一部改定されたことで、騎手については状況が変わりました。

 その「要領」。まず受験資格として、(1)競馬学校騎手過程生徒であって実践課程前期の所定の科目を履修した者及び本会が承認した騎手候補者。(2)地方競馬全国協会の騎手免許を受けている者。そして(3)に、(1)及び(2)以外の者(外国の騎手免許を受けている者も含む)とあります。

 続いてそれぞれの試験内容が記載されていて、(3)の一次試験(学力に関する筆記)のところに“英語による受験も可”と明記されたのです。

 二次試験では日本語による口頭試験がありますが、とりあえず一次試験が“英語による受験も可”になったことで、外国人騎手の通年免許取得の可能性が俄然広がりました。
 昨年デムーロ騎手が受験し、一次試験で不合格となりましたが、リベンジを期した今年、2度目の挑戦で見事に突破。開放初年度の受験は見送ったルメール騎手も、満を持しての受験で合格を勝ち取りました。

 外国から来たトッププレーヤーの活躍の場が限られるというのは、他の競技と比較すると、少しばかり異質な状況だったと言わざるを得ません。が、これでいくらかでも普通の状態に近づくことになりそうです。

 しかし、その異質な状況が何故まかり通ってきたのか。それが解消すると、日本の競馬にどういう変化が生じるのでしょうか。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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