米国・独立リーグで秋を迎えた渡辺俊介 サブマリンの手応えとMLBへの思い
米国仕様にマイナーチェンジしたサブマリン
NPB通算87勝を挙げたサブマリン。米国向けにフォームをマイナーチェンジし、手応えをつかんでいる 【河野大輔@innings,Co.】
「ベテランと呼ばれる年齢になってきた。もちろん自分の役目もあった。だけど、若手も出てきて、1軍での登板も少なくなってきた。『これから何がやりたいか?』と考えたら、米国でプレーしたいと思った」
メジャー挑戦にあたり、どうすれば実力を発揮できるのかを考えた。そこで投球フォームのマイナーチェンジに取り組んだ。
「メジャー球なので滑るし、ボールの扱いが難しくなる。また遅いボールのコントロールをつけることが大事だと思った。その中で今の投球フォームに行き着いた」
セットポジションから足を高く上げず、クイックのような状態から投げる。
「中継ぎで契約という話だったので、セットで全部行こうと思った。あとは練習時の球数制限が多い。だからセットにまとめてしまったというのも理由の1つ。オフの練習時で前の投球フォームよりしっくりと来たので思い切って変えた」
独立リーグならではの苦労も
「時期によって選手のレベルが変わる。メジャーやマイナーがリリースした選手が集まってきた時期はスゴく強くなったりする。その逆もある。レベルが高い時期なら日本の1軍に近いレベルに感じた。実際に、打者の打撃力だけなら、日本のあまり打てないチームより打つだろうな、という時期もあった」
投手であるからこそ戦力が大きく変化するために感じた苦労もある。
「一番戸惑ったのは毎回、知らない捕手だったこと。投球を受けてもらったことがないので……。どうやって自分の特徴を伝えるかが大変だった。そういう時にはサインを減らした。例えば、こっちの捕手は、小さな変化、速い系だと速い系で対応してくれる。真っすぐやシンカーはサインをまとめてしまった。曲がる系は1つにまとめたり。そこで僕がいろいろ投げ分けたりした」
また、日米の打者のタイプの違いに対してもアジャストすることが求められた。NPB時代とは異なる配球の引き出しも増やしていった。
「渡米当初はデータが少ないことが大変だった。メジャーなら膨大なデータがある。でもマイナーや独立はそんなものがなく、どんな打者か投げてみないと分からない。特徴をつかむまでは、最初は投げるのが怖かった。夏ぐらいに、ようやく分かってきた」
「今は、『こういうタイプはこうだろうな』というのはある程度分かる。それでもたまに『あ、間違えた……』という時もある(笑)。間違えると、こちらの打者は特大ホームランになる。ミスしてもヒットならいいけど……。だから投げていて少し余裕が出てきた」