ばるにすたたちが待ち望む『シーズン最後に、これがバルーナーズだという姿』【B MY HERO!】

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2シーズン目となるB1を戦う佐賀バルーナーズ 【(C) 蝦夷】

『結果は結果であって勝たせることができなかったっていうのは全て私の責任です』

 1月26日越谷アルファーズ戦game2に敗戦したのち、佐賀バルーナーズを率いて4シーズン目の指揮官はこう語りました。

 同意義の言葉を試合直後にも口にし、会場でそれを目の当たりにしたばるにすたたちは、各々様々な感情を抱いたことでしょう。私もその1人でした。

 ご無沙汰しております。B MY HERO!特派員の蝦夷です。Bリーグを愛するみなさま、今シーズンも早いことに後半戦に突入しましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 かくいう私の今シーズンは、住まいが変わったところからのスタートでした。距離は遠くなれど、相変わらず佐賀バルーナーズを中心にBリーグを見て、歓喜と歓声、少しばかりのため息と、カメラとアルコールと共に週末を送っています。

2年目の苦悩

 B1での2年目を迎えた今シーズン、佐賀バルーナーズは昨シーズンからロスターをほぼ変えることなく、新加入は三遠から九州へ帰ってきた金丸晃輔選手のみ。

 スローガンは「GRAB.600」。6割以上の勝率、言い換えればCS出場を目標としてスタートしました。そのはず、でした。

 2度目のB1バイウィーク前、37試合を終えた現段階での勝敗は11勝26敗。勝率は3割を切りました。特に、ホームではわずか2勝しかできておらず、厳しい状況が続いています。

4シーズン目となる宮永HC(中)と高橋AC(右)、今季から加入の阿蘓AC(左) 【(C) 蝦夷】

 それもそのはず、ハンドラー以外でオフェンスの起点となりうるチームの中心選手たちが、序盤に相次いで負傷してしまいました。その日のことはよく覚えています。なぜなら2度とも、私はその場にいたからです。

 選手の何人かは目に涙を浮かべ、首脳陣たちは天を仰ぎ、目の前の試合をどう完遂するかと向き合うと同時に、今後のことも考えざるを得なかったでしょう。

 今のチーム状況を一言で表すのならば、「ずらせないのに、ずらされる」といったところでしょうか。

 オフェンスに関して言えば、金丸、狩野祐介と過去のスリーポイント王を擁するのにも関わらず、スリーのアテンプト自体が少なく、なかなかいいショットを打てていません。現状のロスターがインサイドで得点を重ねられていればそれでも問題ないと思うのですが、インサイドをがっちり固められる選手がヨーリ・チャイルズだけになってしまった以上、攻め手が少なくなっていることは否めません。

 負傷離脱中のジョシュ・ハレルソンもチェイス・フィーラーも、ピックアンドロールからのポップスリーという大きな武器を持っていました。それが使えなくなってしまったというのも、スリーアテンプト数が現時点で24チーム中下から数えて3番目である大きな要因でもあります。

さらなる得点力を期待したい新加入の金丸 【(C) 蝦夷】

 昨シーズン、上位陣にも劣らない守備力を保つことができていたディフェンスについても、スイッチした際のローテーションが崩れてしまい、容易に失点を許してしまう場面が多く見られます。

 外国籍PGのレイナルド・ガルシアや、昨シーズン終盤から特に成長著しい相原アレクサンダー学が、その身体能力を生かしてスティールを狙うようなディフェンスを仕掛けても、ファウルがかさんでしまうこともしばしばあり、満原優樹がその場を整えようとベンチから登場するも、ハンドラーのところからのズレを修正できずにアウトサイド、インサイドともに攻略され、特に試合後半に点差が離れてしまう試合が続いています。

不運が続く佐賀のインサイド陣には欠かせない満原 【(C) 蝦夷】

 本来であれば、前半戦の反省を生かした上で、後半戦でいかに勝ち星を伸ばしていくかを考える時期であったのが、チーム作りを一からに近しいほどにせねばならなくなった。見ているだけのこちらも、もどかしいです。

 ただ、悪い点ばかりではありません。このチームが向かうべき方向は、徐々にではあるものの見えつつあります。

 1月上旬にアレン・ダーラムが加入し、直近の9試合での平均リバウンド数は41本。特にオフェンスリバウンドの平均数が15本を超えています。この数字は、現在クラブランキングトップの琉球にも劣らない数字であり、ウィークポイントを着実に改善しようとし、何とか勝ち星をファンに届けられるよう、選手たちが必死にもがいていることの現れでもあると思っています。

狩野とダーラムは2019年滋賀以来のチームメイトに 【(C) 蝦夷】

 また、上述の越谷戦以降の5試合、試合全体でのフィールドゴール試投数が1試合を除いて70本を超えています。それまでの32試合の内、70本を超えたのは4試合だけでした。

 オフェンスをアーリー気味にしようとしていることはこの数字からも明らかで、特に先日の三遠戦の2試合では、屈指のオフェンス力を持つ相手に対してゴールを狙い続け、これまでにあまり見られなかったような戦い方を挑んでいました。

生観戦だからこそ見えるもの

 帰化枠として途中加入したモッチ ラミン選手、モッチはどんな時でも、むしろ劣勢の時にベンチから大きく声を張り上げています。「がまーーーーん!!!」「いいよいいよ!つぎつぎ!!!」と。

 ただそれは、配信に映ることはあまりなく、現地にいるからこそ感じ取れるところでもあるのです。

ハッスルプレーが持ち味のモッチ(右)とバイスキャプテンとしてチームを牽引する井上 【(C) 蝦夷】

 現地の楽しみの一つであるのが「”3兄弟”の入場ダッシュ」、昨シーズンの途中から突如として始まった山下泰弘、井上諒汰、角田太輝、3選手の恒例行事。ただ、恒例といえどもアウェーでは、入場してくる選手の名前はロスター順どおりになるため、(素直に)入場することに…。なので毎度見れるとは限りません。

 先日、「全力ダッシュの3兄弟に弟が増える?!」との情報が入りました。昨年の12月から特別指定として加入した、富山仁貴選手が四男になるかもしれないというのです。21歳の若者のデビュー日は果たしていつになるのでしょうか。怪我だけには気を付けた上で、そのポテンシャルを是非とも発揮していただきたいものです。

アウェーではロスター順に選手が呼び込まれるのが普通なので、”3兄弟”の入場ダッシュが見られない場合も 【(C) 蝦夷】

 思えば、尻上がりに調子を上げていくのがこのチームでした。昨シーズンも序盤はB1の高い壁を見せつけられたものの、後半戦に入るにつれてチームとしての成熟が見え、最終的には5割には達しなかったものの、昇格初年度で最も高い勝率を叩き出すことができました。

 B2を制した年もそうでした。前半はビハインドで折り返しても、後半で捲るような試合が多かったように思えます。ただ、今現在は、前半は戦えていても後半崩れ崩されてしまう試合が多く、そこを許さないのがB1であるということも改めて実感しています。

『シーズン最後に、これがバルーナーズだという姿をお見せしますので』

 2月9日三遠ネオフェニックス戦の直後、ファンの前で指揮官はそう強く語りました。その姿を我々ファンに、ばるにすたたちに見せつけてくれるのを、楽しみにしています。

ホームSAGAアリーナでの勝利を期待したい(写真は宮永HC) 【(C) 蝦夷】

蝦夷(B MY HERO!特派員)

【(C) 蝦夷】

2024年4月に九州民を卒業し、カントー地方に帰還。
シーズンオフ中に某フィットネスジムに半強制入会させられた結果、12キロの減量に成功したらしい。
それでもなお、社会人成りたての頃に戻るには数キロ足りないとの噂がある模様。

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