後半戦に突入したBリーグ…静岡が「登」った先にはどんな光景が待っている!?【B MY HERO!】

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静岡の今シーズンのスローガンは「登」 【(C) B.LEAGUE】

「ハリセンにのってましたよ!」

 先日、ベルテックス静岡のホームゲームに行った際、いつも私が座る席の近くで応援されている方から声をかけられました。

 何の話か一瞬理解できませんでしたが、入場する時に配られたハリセンに目をやると、以前の試合で左腕をあげながら声をあげて喜んでいる自分の姿が。

 サイン会や撮影会には一度も当たらないのに、被写体になっている写真が配布物に採用されるとは。

 たいした顔でもないのに恥ずかしいやら、それでも気分は悪くないやら。複雑な感情になりましたが、ハリセンは大事にとっています。

 前置きが長くなりましたが、「B MY HERO!特派員」のきんきんきん。と申します。

 2023-24シーズンからベルテックスの会場へ足を運ぶようになり、可能な範囲で時折アウェーの試合にも出かけています。

 ベルテックスはB2第21節が終わった2月9日時点で23勝16敗、B2プレーオフ圏内である西地区3位。2年連続のプレーオフ進出に加えて、前回はかなわなかったクォーターファイナルのホーム開催を狙えるチャンスがあるという状況です。

見れば見るほど良さが伝わってくる静岡の魅力は?

 ベルテックスの試合を見るようになったのはある選手の加入がきっかけでしたが、見れば見るほど、チームとしての良さも感じるようになってきました。

 今シーズンのベルテックスでは、スターティング5は主に岡田雄三選手、増田啓介選手、橋本尚明選手、ジョン・ハーラー選手、フィン・ディレイニー選手が務めることが多くあります。

 2021年からチームに在籍する岡田選手は、相変わらずエースとして大きな存在感。今シーズンはここまでの39試合すべてでスターティング5に入っており、要所でのビッグプレーの主人公が彼であることもしばしば。

 今シーズンから彼が活躍して勝利した試合のセレモニーでは、「やるぞ!やるぞ!ゆうぞー!」という本人発案のコールをするお約束も。徐々に浸透している感じですが、岡田選手のうしろにいる選手たちがどれだけこのノリに参加しているかをチェックするのもこのコールを楽しむポイントのひとつです(ちゃんと乗る勢・スンとする勢に分かれます)。

ますます増してきた岡田雄三選手の存在感 【(C) B.LEAGUE】

 ベルテックスの公式Xでは日本語でひとこと言う動画シリーズ「#ジョンさんの日本語講座」も好評のハーラー選手。B2ではリーグ3位のリバウンド数で、チーム全体のリバウンド数もリーグ3位になっています。

 勢いのあるダンクで盛り上げることも多く、オフェンスリバウンドから相手のミスを誘発した後に走る流れをつくり、B2のレギュラーシーズン98試合目の出場となった2月8日の神戸ストークス戦では3つダンクを決め、Bリーグ通算100ダンクを達成しています。

 彼がファインプレーをした時には「ジョン・ハーラー!ジョン・ハーラー!ジョン・ハーラー!」とフルネームで繰り返すコールが定番。当初はコールをリードする方が座る席を中心に聞こえていたこのコールも、時が経つにつれベルテックスのホーム戦では会場全体から響くようになっています。

 平均得点数がチームトップのディレイニー選手はシーズン序盤こそ足のケガで一時離脱していましたが、昨年12月7日の福島ファイヤーボンズ戦で復帰して以降はコンスタントに得点を量産。

 インサイドへのアタックも、スリーポイントシュートも、落ち着いたアシストも、ゴール下で体を張ったディフェンスも、状況に応じて的確なプレーをスマートにこなせる感じが、さすがニュージーランド代表経験もある選手だなと思わせます。

B1経験を持つ選手たちの活躍も楽しみの一つ

 B1での経験もある橋本選手や増田選手は、数字に表れづらい部分のプレーにこそ、彼らの魅力が詰まっているような気がしてなりません。

 たとえば、ディフェンスをタイトにすることでボールを回しづらくするとか、速攻を止めるためにチームファウル数の状況を踏まえた判断をするとか、コート上でも他の選手に対して積極的にコミュニケーションを取るとか。

 試合ごとにパフォーマンスの波はありますし、素人の私が見ても「あんまり調子が良くない日だな」と分かることはあります。それでも、自分がコントロールできる部分で献身的にプレーしようという姿勢は絶対に大事ですし、そのマインドセットは確実に、交代して出場する選手にも引き継がれているのではないかとも感じています。

川崎から移籍の増田啓介選手はスターティング5にも名を連ねます 【(C) B.LEAGUE】

 ちなみに、私がベルテックスを見るようになったきっかけは2023-24シーズンに橋本選手が加入したこと。ベルテックス加入前に所属していた福島ファイヤーボンズでプレーを見ていくごとに応援する度合いも強くなっていき、今に至っています(橋本選手については以前のコラムでも書かせていただいたので、よければご一読ください)。

※リンク先は外部サイトの場合があります

 増田選手についても、ベルテックスでのプレーをきっかけに「こんなにいい選手なんだなあ……!」と、より選手として好きになっています。コートインスペクションの際に阿部拓馬ヘッドトレーナーとコートサイドで行っているルーティンも丁寧に見るようになりました。

 この他、途中から出場することが多い選手の魅力についても語っていきたいところですが、またの機会に。

 ただ、加納誠也選手を抜きにしてベルテックスを語ることはできませんので……。

 2020年にベルテックスに加入し、チームで最も長く在籍する加納選手。安定的に出場機会があったこれまでのシーズンと異なり、今シーズン彼がコートに立つ姿を見る機会はそう多くありません。

 それでも、試合前の準備を丁寧にする姿であったり、ベンチでも声をかけて鼓舞する姿であったり。彼の一つひとつの振るまいから見えてくる、チームをしかるべき方向へ導いていこうとする姿勢。

 ウォーミングアップでの選手紹介でアリーナMCが加納誠也の名前を叫ぶ時はひときわ大きな歓声が上がることからも。ブースターが加納選手をどのように思っているのかが伝わってきます。その分、スリーポイントシュートを決めた時の歓声には、これまで以上に特別な思いが乗っかっているのではないでしょうか。

加納誠也選手を抜きに静岡は語れない 【(C) B.LEAGUE】

特別指定の大学生が静岡に新風を吹き込む

 今シーズンのベルテックスには特別指定選手として2名の大学生が加入していますが、このこともチームにポジティブな要素を与えています。

 神奈川大学3年生の山本愛哉選手は静岡県の飛龍高校出身で、身長163cmのポイントガード。ベルテックスのホーム会場でモッパーとして入るユース選手の方が大きいこともあるくらいに小柄で、なおかつ童顔ぎみ。

 大学バスケにあまり手を広げられていない私。「3年生で特指なのだからすごい子なんだろうけどどうなんだろう」という程度の認識でしたが、そのプレーを見て、「甘く見てんじゃねえ!」と強めの張り手をくらったような衝撃を受けました。

 昨年12月29日の愛媛オレンジバイキングス戦でBリーグデビューを果たしてから12試合連続で出場。ポイントガードとして成長を続けている鍋田隆征選手が左アキレス腱断裂という大けがで年明け以降プレーできない中、その穴を埋めて余りある活躍を見せています。

 山本選手を見ていて思うのは、積極的なスリーポイントシュートやスピード感あるドライブ、落ち着きのある状況判断と、とにかく臆さず強気に行けるプレーの姿勢。その姿が、本当に格好良くて、痛快で。

 大学バスケメディア「CSPark」やBリーグの公式YouTubeでは、スリーポイントシュートが得意で小柄なガードが主人公のバスケ漫画になぞらえて「リアルあひるの空」と称されたこともある山本選手。今シーズンのBリーグで見られるのは大学の活動に戻るまでの期間に限られそうですが、これからもインパクトを与えてくれそうな期待感があり、長い目で見てワクワクする選手です。

地元、飛龍高校出身でもある山本愛哉選手 【(C) B.LEAGUE】

 専修大学4年生で、プロ契約で特別指定選手となった上村大佐選手。公式プロフィールでは自分の武器としてスリーポイントシュートをあげており、ここまで出場した7試合で4本を成功させています。Bリーグ初得点は1月5日の山形ワイヴァンズ戦で決めたスリーポイントシュートだったほか、2月1日の青森ワッツ戦では山本選手のアシストを受けて決める場面がありました。

 そうかと思えば、2月9日の神戸ストークス戦では、スリーポイントシュートのフェイクから空いたレーンを走りフローターを決める場面も。着実に片鱗を見せつつある中、これから活躍する場面がもっと増えてくれば、人気はさらに拡大するでしょう。

スリーポイントシュートが武器と自認する上村大佐選手 【(C) B.LEAGUE】

 プレーオフ圏内に入っているベルテックスですが、1月にはシーズン最長となる4連敗も経験。特に、1月25日・26日の鹿児島レブナイズ戦では、第3クォーター終了時点である程度のリードをしていながら、第4クォーターで失速し逆転を許してしまう苦い展開が連日続きました。

 一方で、2月に入ってからは4連勝。3日の青森ワッツ戦では、ターンオーバーからの失点も多く最大で11点差をつけられる場面もあったものの、第4クォーター終盤で逆転し勝利。9日の神戸戦では後半の猛攻を受け4点差に詰められながらも耐えきり、終盤に突き放す展開に持ち込みました。チームとしての我慢強さは以前よりも出てきたようにみえます。

 今後は西地区1位・2位との直接対決や東地区上位チームとの対戦もあり、正念場はまだまだ続きます。

 ベルテックスが今シーズンのスローガンに掲げている「登」。

 今後、どこまで登ることができるのか。そして、登った先にはどんな光景が待っているのか。残りの試合でチームが見せる姿に注目していきたいと思います。

きんきんきん。(B MY HERO!特派員)

【(C) きんきんきん。】

スポーツにはほとんど興味がなかったが、2016年にたまたまテレビで目にしたBリーグ開幕戦をキッカケにBリーグ・バスケ好きに。Xでは他にはない(?)Bリーグに関するまとめなどをアレコレと発信中。会場で試合を観る時にはカメラのシャッターを押しすぎ、中継で試合を観る時には実況・解説の言葉に聞き耳を立てすぎている。

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