ルカHCが追求する「Beautiful」なバスケットボールの浸透とともにサンロッカーズが着実に変化【B MY HERO!】

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新体制で臨んだ今シーズンのサンロッカーズ渋谷 【(C) B.LEAGUE】

試合を重ねるごとに精度が高まっていったルカバスケ

 こんにちは。『B MY HERO!』特派員の「きんきんきん。」です。5月7日、2023−24シーズン、B1のレギュラーシーズンが終了しました。

「.286」

 これは、2023年11月12日の試合が終わり、1度目のバイウィークに入る前にサンロッカーズ渋谷が記録していた勝率です。

 この時点でリーグ戦の60試合中14試合を消化していましたが、そのうち勝てたのは4試合。川崎ブレイブサンダース・三遠ネオフェニックスが中地区の1位・2位につけており、その2チームとは8ゲーム差となっていました。

 今シーズンはアルバルク東京を2度頂点に導いたことがあるルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが新しい指揮官として就任。さらに、ジョシュ・ホーキンソン選手と田中大貴選手も加入するなど、話題性は十分の中で始まったレギュラーシーズンでしたが、その前評判に比べれば、なかなか厳しい展開となったシーズン序盤でした。

 スタッフも選手層も大きく変わっているうえに、センターの柱であったジェームズ・マイケル・マカドゥ選手が全治未定のケガで開幕前に離脱。イチから作っていかなきゃならない部分も多いことは想像にたやすく、「まだこのチームはポテンシャルを発揮していないだけだから」という気持ちもありました。

 ただ、11月の時点でサンロッカーズがチャンピオンシップに出場するイメージを持つことは、かなり難しかったかと思います。

昨夏のワールドカップで活躍したホーキンソンが加入 【(C) B.LEAGUE】

 しかし、1度目のバイウィークが明けた12月以降、サンロッカーズは成績を向上。12月31日の試合に勝利したことで今シーズン初めて勝率を5割に乗せると、2024年に入ってからは5割以上を維持。

 途中、同一カードの連勝が難しい時期が続いたり、ケガ人が出たりとアクシデントもありましたが、気がつけば最終戦まで「チャンピオンシップに出場できる可能性がある」と思える状況にまでになっていました。

 最終戦の信州ブレイブウォリアーズ戦を勝利で終えて望みをつないだおよそ1時間後、他試合の結果によって、残念ながらチャンピオンシップ出場はかないませんでした。

 ただ、ルカHCが追求する「Beautiful」なバスケットボールが徐々にチームになじんでいき、進化していく様子を、より深いレベルで実感できたシーズンだったのではないかと思います。

 いわゆる「ルカバスケ」とは何かを詳しく説明できないバスケ素人の私ですが、そんな私から見ても、選手とボールの動き方やセットプレーの作り方、必要に応じたオフェンススピードの変え方、堅いディフェンスの仕方など、試合を重ねる度に精度を着実に上げてきている。そんな感覚がありました。

ルカバスケを知る田中大貴の加入は頼もしいものだった 【(C) B.LEAGUE】

悩める津屋一球がチームの変化の中で確実に成長

 タイムシェアの傾向もみられた昨シーズンまでと異なり、中心選手を軸にプレーを作っていくスタイルに変化した今シーズン。

 プレータイムは選手によって大きく差が出ており、ホーキンソン選手、アンソニー・クレモンズ選手、ベンドラメ礼生選手の3名が平均30分超となった一方、出場機会が大幅に限られることになった選手もいます。

 ただ、環境が大きく変化した中でも特に進化を遂げたのは、津屋一球選手ではないでしょうか。シーズン序盤はディフェンスでのプレーでは目立つ部分もあった一方、シュートの試投数は昨シーズンを下回るペース。オープンになってシュートが打てるチャンスに見えたタイミングでもパスを出す場面が目立ち、もどかしさを覚えることもありました。

 全試合出場はしていましたがプレータイムを安定的に獲得できていたとは限らず、中には1分未満となった試合も。

 その中でも着実に結果は残し、2月に田中選手が急性腰痛で一時離脱したことを機に、19試合連続でスターティング5を務めました。

 田中選手が復帰し、スターティング5に戻るようになっても攻守の面でそのアグレッシブさが失われることはなく、プレータイムもほとんどの試合で20分を超えるように。

田中大貴の不在をカバーしただけでなく、存在感を大きくした津屋一球 【(C) B.LEAGUE】

 10月下旬にWebメディア「バスケットボールキング」に掲載されたインタビュー記事の見出しは、彼がインタビューの中で口にしたとされる、「正直楽しくない」。

 記事の内容も、本来の強みであるプレーと、厳しい競争の中でプレータイムを勝ち取るために求められるプレーのギャップに葛藤し、悩む様子も伝わってくるものでした。

 その半年後、4月半ばに「シブヤ経済新聞」に掲載された記事には、以前よりも頼もしさがにじむ津屋選手の言葉が。プレーだけでなく精神面でも成長を果たしていることが見て取れましたし、環境の変化に適応してさらに進化した津屋選手の姿が、率直に嬉しくもありました。

数字が物語るホームの盛り上がり…来シーズンこそさらに上へ

 今シーズンのサンロッカーズは特にホームでの勝率が好調で、1月31日にはクラブ新記録となるホーム戦11連勝を達成。最終的にはホーム30試合のうち22試合で白星を挙げています(これはB1の24チーム中4位タイで、琉球ゴールデンキングスと同じ数でした)。

 同地区のチームとの対戦も多くあった3月から5月にかけてのホーム戦は11戦10勝。

 このうち5試合では10点以上の差をつけられていた時間があった中で勝利を収めており、4月13日のシーホース三河戦では最大23点差をはねのけています。

 ホーキンソン選手も出場した2023年のワールドカップでバスケ人気が急速に高まったことなどから、Bリーグは全体的に観客数が増加。サンロッカーズのホーム戦も同様で、昨シーズンの平均は2,518人でしたが、今シーズンは4,456人とおよそ2,000人増加しました。

「1階席に加えて2階席も空席がなく、立ち見の観客もいる」そんな光景も当たり前に。

 応援の盛り上がりもより厚みを増し、試合中、どこからともなくオフェンス・ディフェンスのコールが響いてきて次第に大きくなり、それに合わせるようにBGMが流れる、ということも。

ホームの熱気はチームを確実に後押し 【(C) B.LEAGUE】

 昨シーズン以上に人数が増えたことで強くなった熱気が、多くのドラマを作ったきっかけにもなった、のかもしれません。

 来シーズンのサンロッカーズのチーム体制がどうなるのかはまだ分かりませんが、何かしら必ず変化は起こるもの。ただ、どんな変化があったとしても、しっかり受け入れて、来シーズンも応援していければと思います。

 来シーズンこそは、さらに上へ行けることを信じて。

 願わくは、チャンピオンシップをホームで迎えられたら。

きんきんきん。(B MY HERO!特派員)

【(C) きんきんきん。】

スポーツにはほとんど興味がなかったが、2016年にたまたまテレビで目にしたBリーグ開幕戦をキッカケにBリーグ・バスケ好きに。ツイッターでは他にはない(?)Bリーグに関するまとめなどをアレコレと発信中。会場で試合を観る時にはカメラのシャッターを押しすぎ、中継で試合を観る時には実況・解説の言葉に聞き耳を立てすぎている。

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