『日本一チームの日本一のファン』のバスケとバスケ以外の楽しみ方【B MY HERO!】

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琉球ゴールデンキングスは2連覇を目指すシーズンを戦っています 【(C) B.LEAGUE】

 今年1月、沖縄アリーナで開催されたBリーグオールスターゲームは選手たちがエンタメ能力の高さを発揮! それによりリーグ戦とはまた違ったお祭り感覚でバスケを楽しんだ方も多かったのではないでしょうか?

 沖縄アリーナのコートにはヤシの木がデザインされていて、そこから3Pシュートを決めると“ココナッツスリー”と言われていますが、オールスターでもこのフレーズが飛び交っていましたね。

 どうもご無沙汰しております、そして初めましての方も“ココナッツスリー”を最初に言った実況アナのあったゆういちです。今シーズンもB MY HERO!特派員としてコラムを書かせてもらいます。

1月に沖縄アリーナで行われたBリーグオールスターでは選手たちがエンタメ能力を発揮 【(C) B.LEAGUE】

 どうにかこれで覚えてもらおうという下心が透けて見えますが、その他にも“冷静と情熱のスナイパー、岸本隆一”など選手紹介のシーンではこのような二つ名、いわゆるキャッチコピーを使ったりします。これは選手の特徴やプレースタイルを的確に捉え印象的に言語化することで、視聴者、ファンの心を強く捉えるためにとても効果的なので要所で使うようにしています。

バスケ文化が根付いている沖縄ならではのW杯の盛り上がり

 さて、「ひとあし、お咲に」というキャッチコピーのもと沖縄は1月から桜まつりが開かれます。文字どおり、桜の開花が日本一早い沖縄には他にも日本一の肩書きが付くものがあります。マンゴーの収穫量やモズクの収穫量、子どもの出生率など様々。そんな中で昨年5月28日、沖縄が誇るBリーグクラブ、琉球ゴールデンキングスが日本一に輝きました。そのキングスをこよなく愛するファンの皆さんも日本一のファンということになりますし、さらに沖縄はバスケ人口比率も日本一。沖縄はバスケ文化が日本一定着しているまさに“バスケ王国”なのです

 その「バスケ王国が誇る日本一の琉球ゴールデンキングスの日本一のファン」という肩書きを持つキングスファンの職場やプライベートシーンでは、ここ最近バスケの話題がかなり増えたといいます。

昨夏行われたW杯は沖縄県内でももちろん盛り上がった 【(C) Hiromasa Ito】

 そのきっかけは昨年夏に沖縄で開催されたバスケW杯で日本代表がパリオリンピック出場を決めたこと。普段Bリーグを見ない職場の人も盛り上がっていたそうです。開催期間中は県内各地のサテライトスタジオに多くの人が集まり日本代表の試合だけでなくいろんな国のバスケを楽しんだり、W杯は観に行かないと言いながら3回も沖縄アリーナに足を運んだ人がいたり、バスケ文化が定着している沖縄ならではの盛り上がりを感じたという人もいました。

「ゆるゆるバスケ」でみんなで楽しむ

 振り返れば2022年映画スラムダンクの大ヒット、キングス優勝、バスケW杯、そしてBリーグオールスターゲームも沖縄アリーナで開催され大いに盛り上がったことを受け、全国的にもバスケ人気は熱を帯びていますが、沖縄のバスケ熱はさらに上のステージで盛り上がっているように感じます。

 というのも、キングスファンの人たちはSNS文化やマッチング文化を使いこなし、リモートで人が集まりバスケの話をしたり、実際に体育館を借りてバスケをするようになりました。その一大勢力が「ゆるゆるバスケ」というキングスファンが集まるバスケチームです。

 2023年の1月23日にスタートし、LINEのオープンチャット登録人数は77人。毎週体育館を借りて参加者を募り毎回定員オーバーになる盛況ぶり。参加者は20〜50代、老若男女、経験者から未経験者まで幅広い。1度に50人が集まり10チーム編成ができるうえにバスケはプレーしないが見学したり応援したりする人もいるので、まるで小さな大会が開催されてるのかと思うほどゆるバスの日の体育館は活気に溢れています。

 これだけ人が集まると運営側も拡声器を使ったりしてアイデアを使って進行するものです。それが、発足から半年を過ぎる頃にはみんなでバスケを楽しむリテラシーが高まっていることを感じました。指定された日時に遅れることなく集まり、編成されたチームごとに分かれ、進行表どおりに試合が進む。みんなで声を掛け合い、最初の準備から撤収まで、運営側が手を煩わせることなく事が進んでいく様子からは、時間にルーズな“ウチナータイム”やダラダラした馴れ合いは一切なく「みんなで楽しむバスケ文化」が浸透し、進化していることを感じました。

キングスファンが集まって楽しむのはバスケだけではない!?

 しかし、キングスファンが集まって楽しむのはバスケだけとは限りません。バスケはできないキングスファンが集まって新たに作ったのが「kingsバド部」。バドミントンならできますと集まったキングスファンはLINEのオープンチャット登録人数で数えると99人! 「ゆるゆるバスケ」の77人をはるかに超える人が集まっていました!!

 バスケなら50人が参加してもみんなで楽しめるのは想像がつきますが、バドミントンは最大で32名、少ない時は16名しか参加できないと、競争率がなかなかに厳しいとのこと。それでも、キングスが好き、バスケが好きということで繋がった仲間とスポーツで汗を流す時間にとても大切なものを感じているようです。琉球ゴールデンキングスは「沖縄を元気に」という理念と、ポジションの役割にとらわれないポジションレスバスケで今シーズンも戦っていますが、キングスファンもスポーツの枠を超えた交流の楽しみ方で健康増進に励み、それこそ「沖縄を元気に」しているようです。

「沖縄を元気に」してくれる沖縄アリーナ 【(C) B.LEAGUE】

 日本一のチームとして今シーズンに臨む琉球ゴールデンキングスは、21節終了時点で24勝12敗、勝率.667と西地区1位ですが、1ゲーム差で名古屋ダイヤモンドドルフィンズが迫ってきています。現状1位とはいえ、EASLを含む鬼のように厳しいスケジュールと今シーズンの戦い方にヒヤヒヤのファンは少なくありません。

 しかしファンの皆さんが口にするのは「信じてる」「最後には優勝する」「最後はみんなと笑いたい」という祈りのような期待の声が多いのですが、中には「みんながバスケを楽しんでる姿が見たい」という母性的な期待から、「横浜行きの航空機チケットもホテルも押さえる」といった強気の期待の声まで個性的なものもありました。

 そんな期待の声の中でキングスファンの1人“組長”さんの「勝てる条件は申し分ないけど、必ず優勝できるとは言い切れない危うさが最大の魅力で、唯一無二の存在」という言葉はとても印象的でした。チームへの期待と信頼、他チームへのリスペクトも言い表していてあまりにもカッコ良過ぎる。ゆるバスでバスケもできる、バドミントンもする57歳の“組長”さん、今度会うときは「ゴッドファーザー」という二つ名を付けたいと思いました。

あったゆういち(B MY HERO!特派員)

【(C)あったゆういち】

1974年9月22日生まれ、沖縄県南城市出身・在住。 俳優、声優、レポーター、ナレーター。 ドラマ、映画、番組ナレーションに多数出演。CMの CM出演、沖縄セルラー「家族割りプラス」父役、やずや「にんにくしじみ」、映画出演、工藤夕貴主演『カラカラ』夫・健一役、阿部寛主演『天国からのエール 医者役、その他、番組ナレーション、ドラマ出演多数。 スポーツ実況はJリーグ「FC琉球」戦、Bリーグ「琉球ゴールデンキングス」戦を担当。

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著者プロフィール

B MY HERO!は「あなたのヒーローを見つける1時間」をコンセプトにしたBリーグ公認の応援番組(毎週火曜18時~)です。番組特派員が推しクラブの模様やゲームの演出など、Bリーグの楽しみ方をレポートしていきます。

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