『その舞台をより輝かしいものに…』たくさんの思いと、感謝が交錯した今季最後のホームゲームに勝利!【NECレッドロケッツ】
【NECレッドロケッツ】
『モデルケースとなるようなチームに…』金子監督
「ゲームを見に来た方々が試合を見て元気になって、そのままこれからも元気で過ごしてもらうことを切に願っています」金子監督 【NECレッドロケッツ】
「いろんな意見があって、いろんな見られ方をされると思いますが、すべてのアスリートはオリンピックが開催されると信じています。できるだけお客さんを入れて、無事(五輪が)開催されるようにいろいろな方が尽力している中、我々もこうしてお客さんを入れて試合を行うことでモデルケースとなるようなチームになりたい、という願いを込めました。こうして試合をすることで多くの方にモチベーションとなるようなプレーを見せたいと思いますし、ゲームを見に来た方々が試合を見て元気になって、そのままこれからも元気で過ごしてもらうことを切に願っています」
チーム全員の心は1つに。今季最後のホームゲームは絶対に何が何でも勝つ
Vリーグ通算230試合出場を達成セレモニーで、島村の目には涙 【NECレッドロケッツ】
この試合、今季最後のホームゲームは絶対に何が何でも勝とう、と。
そんな思いをプレーに乗せるかのように、試合の立ち上がり、まずはネリマン、曽我のスパイクでレッドロケッツが先行。中盤も古賀、曽我のスパイクで得点を重ねるたび、会場にはハリセンの音が鳴り響く。
だが、リーグも中盤から終盤へ差し掛かり、上位進出のために1つも負けられないのはレッドロケッツだけでなく日立も同じ。金子監督も「サーブで攻めてくることは予想していた」と言うように、緩急をつけた日立のサーブに揺さぶられたことでミドルが封じられ、攻撃がブロックに捕まり連続失点を喫し、ジュースの末にこのセットを25-27で失う。
途中交代の選手も活躍、まさに全員バレーを体現
途中出場選手が試合の流れをぐっと手繰り寄せることができるのがレッドロケッツの凄み 【NECレッドロケッツ】
今季好調を維持する理由はいくつもあるが、あえて1つ挙げるとしたら、途中交代の選手も活躍する。まさに全員バレーを体現していることでもある。日立戦もまさにそんな試合で、第2セットの25点目を決めた上野もその象徴だった。
全員バレーの象徴となる活躍ぶりを見せた上野 【NECレッドロケッツ】
「監督から『2枚ついてもうまくいなすような攻撃をしてほしい』と言われてコートに入りました。もともとブロックを使った攻撃は得意ですが、テンポを変えたり、攻撃のパターンを切り替えてみようと思えたのは前に出ていたジョン(島村)さんがいたからわかること。自分のスパイクが決まったのも、ジョンさんや、スタートから出ていた人がいるおかげです」
『2枚ついてもうまくいなすような攻撃』で日立を翻弄した上野 【NECレッドロケッツ】
勢いそのままに、第4セットもネリマンのブロックや古賀のサービスエースで9-8とレッドロケッツが先行。しかし中盤、日立のサーブに崩され攻撃が単調になり、相手にチャンスを渡してしまう。
古賀が「中盤に追い上げられてビハインドの状態が続く中、私たちのチームは組織的に動こう、とやってきたのに『ここを止めるから後ろはレシーブでお願い』とか、そういう会話が全くできなくなっていた」と振り返るように、相手に押されたことでそれぞれの視野が狭まり、いい流れの時には当たり前にできていた確認が滞る。
「何が何でも勝つ」という気迫が15-19からの10連続ポイントでの逆転劇を生んだ 【NECレッドロケッツ】
ハリセンの音がより大きく響く中、あえて笑顔は見せず淡々と…
試合終盤での10連続ポイントに繋がった古賀のサーブ 【NECレッドロケッツ】
ライトからスパイクを決め16-19とした後、自身にサーブ順が巡ってくる。「タイムアウトの時に、それぞれの役割をしっかり果たそうと話したので、自分はサーブで崩して攻撃を絞ることを意識して打った」というサーブが、日立のディフェンスを崩す。ダイレクトで返ってきたボールを山内、ネリマンが確実に抑え、山田のブロックやスパイクで連続得点。声は出せずとも、ハリセンの音がより大きく響く中、あえて笑顔は見せず淡々とした表情で古賀はサーブを打ち続けた。
「ここでしっかり最後畳みかけないとまた一緒の展開になってしまう。だから(点数が)決まった時も喜んではいたけれど、すぐに切り替え、と意識しながら打ちました」と古賀は話す。
最後も古賀のサーブで崩したところをネリマンが決め25-19。3-1で勝利したレッドロケッツは2021年に入ってから負けなしの3連勝。多くのサポーターと共に勝利を分かち合った。
今季13勝目で暫定2位に浮上 【NECレッドロケッツ】
声を張り上げての応援を我慢して、ハリセンに願いと祈りを込めるファン・サポーターの絶大なる力
会場を設営する人、入場がスムーズにできるよう誘導する人、ホームゲームで流れる映像をつくり、販売するグッズを揃え、1人でも多くの人に「楽しかった」と思われるようにアイディアを出し、実行する人たち。コートで戦う選手はもちろんだが、その舞台をより輝かしいものにすべく、目立たない場所で尽力する人たちがいる。
そして何より、大きな声を張り上げて応援したいのを我慢して、ハリセンに願いと祈りを込めて叩くファン、サポーターの存在がなければ、これほどの盛り上がりにはつながらない。
すべての力が結集したからこそできた試合で、つかんだ勝利。その喜びを噛みしめ、全員の思いを主将の山内が代弁する。
「1つ1つのプレーにお客さんの後押しがあって、そのつながりがあったからこそ、チームが勝つことができた」山内 【NECレッドロケッツ】
たくさんの思いと、たくさんの感謝が交錯して、大きな力につながった、今季最後のホームゲーム。それぞれが抱く「ありがとう」の気持ちを形にして返せるように。いよいよ迎える終盤、ファイナルへ向け、ホームゲームで送られた大きなパワーと共にレッドロケッツは挑み続ける。
観客と一緒に『勝利のもりくまダンス』を踊る選手たちの笑顔が、会場に満開の笑顔の花を咲かせる 【NECレッドロケッツ】
紛れもなくその1本は、彼女が取った得点だった。
『守護神、降臨!』小島のフォローがあるから攻撃陣はより輝く 【NECレッドロケッツ】
紛れもなくその1本は、彼女が取った得点だった。
第3セット、25-24。次の1点を取るのはどちらか。手に汗握る緊迫した場面で、日立の強打がレッドロケッツコートに放たれる。落ちてもおかしくないボールの先にいたのが、リベロの小島だ。懸命に上げたボールをセッターの澤田はネリマンにトス。しかしネリマンのスパイクが日立のブロックに捕まる。
落ちた、と思う先にいて、決まった、と思う1本を上げたのはまたも小島だった。必死につないだボールを最後に古賀が決め27-25。VOMを受賞し、試合後のコートインタビューでは「そこで拾うのが自分の仕事」と笑顔を見せたが、あの1本がもしも落ちていたら結果は違っていたかもしれない。小島にとっても、それは絶対に逃がせない1本だった。
「セットはとってもなかなか乗り切れない。この試合は絶対に落とせない試合だったので、この1本は死んでも落とせない。絶対に自分がつなぐ、と必死でした」
リベロとは損な役回りだ。
実は隣のスパイカーの守備範囲を少しでも狭くさせようとフォローしていたために逆をつかれたサーブであっても、リベロが弾いたり、うまく返せなければ会場からはため息がもれる。しかもパスで崩されても攻撃で挽回できるスパイカーと違い、守備専門とされるポジションは常に高い要求と向き合い続けなければならない。
決して派手ではなく、自ら得点を取ることもできない。だが、それでも確実にチームを勝利に結びつく1本の先には、食らいついて、ボールをつなげたリベロの存在がある。だからこそ彼女たちは《守護神》と呼ばれる。
諦めず、拾い続けて仲間に託す。できることはシンプルで、この先も変わらない。
「レシーブするだけじゃなく、そのレシーブから攻撃につなげられるようにするのが私の役割。私が拾った時は常に(攻撃が)4枚入れるように、もっと精度を高めて、攻撃の枚数を増やせるサポートをしたいです」
どんなボールも決める攻撃陣も逞しい。だがそこに、どんなボールもフォローする鉄壁の守護神がいるから、レッドロケッツは強い。
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